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生前に遺言書を残していた人が亡くなった場合、原則としてその遺言書の内容に沿って相続手続きを行います。しかし、被相続人が遺言書を作成したときの事情と、相続が発生したときの事情が変わっているケースも少なくありません。このような場合、遺言書の内容と異なる形で相続手続きを進めたほうが好ましいときもあります。
そこで、遺言書の内容と異なる遺産分割協議を行って相続手続きをすることができるのかみていきます。
【ⅰ.遺贈がなされた場合】
遺贈には特定の財産を受遺者に承継させる「特定遺贈」と遺産全体に対する割合を指定して受遺者に承継させる「包括遺贈」があります。どちらの遺贈がなされた場合でも、原則として遺言書の内容と異なる遺産分割協議をすることは可能です。
遺言書で遺贈がなされている場合、その内容と異なる遺産分割をするには、受遺者の同意が必要になります。受遺者から同意を得るとは、いいかえると受遺者に遺贈を放棄してもらうということです。
特定遺贈の場合、遺言者が亡くなった後、受遺者はいつでも遺贈の放棄をすることができます。そのため、特定遺贈の受遺者に放棄する意思があれば、いつでも遺言書の内容と異なる遺産分割協議をすることが可能です。
一方、包括遺贈の場合、受遺者が遺贈の放棄をするためには、相続開始を知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所に申述しなければなりません。包括遺贈の受遺者は、相続人と同一の権利義務を有すると法律上で定められています。そのため、受遺者が包括遺贈の放棄をするには、相続放棄と同じ方法で手続きをする必要があるのです。
特定遺贈の場合と違い、包括遺贈は放棄できる期限が設けられている点に注意を要します。
【ⅱ.相続させる旨の遺言がなされた場合】
相続させる旨の遺言がなされた場合、相続による権利承継をその相続人の意思表示にかからせたなど特段の事情がない限り、遺言者が亡くなった後、当然にその相続人へ相続による権利承継がされます。そのため、遺言書の内容が相続させる旨の遺言である場合、遺言書の内容と異なる遺産分割協議はできないものと考えられます。
しかし、相続人全員の合意があれば、遺言書の内容と異なる遺産分割協議が可能です。たとえ、相続させる旨の遺言がなされた場合でも、権利承継の対象となる相続人の意思を無視して強制的に権利を取得させるべきではないからです。
東京高裁の2009年12月18日の判決では、相続させる旨の遺言の利益を放棄できない旨が示されましたが、そのなかで相続人全員の合意が得られていない点が指摘されています。逆に、相続人全員の合意があれば、その意思が尊重されるべきであるということです。
したがって、相続人全員の合意があれば、遺言書の内容と異なる遺産分割協議が可能と解されます。
【ⅲ.遺言執行者が定められている場合】
遺言書に遺言執行者が定められている場合、相続人は遺言執行の対象となる相続財産の処分や執行を妨げる行為をすることができないとの規定があります。そのため、相続人全員と受遺者だけではなく、遺言執行者の同意も得たうえで遺言書の内容と異なる遺産分割協議を行ったほうがよいでしょう。
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