株式会社の取締役は、会社法の規定により任期が定められています。(取締役の任期は、原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結のときまでです。)そのため、取締役の任期満了する定時株主総会の開催時に、取締役改選の手続きをしなければなりません。

 

取締役の改選をした後、役員変更の登記を行うことになりますが、その際に「重任」を登記原因として手続きをする場合があります。

 

→ 役員変更の登記についてはこちら

 

そこで、重任登記について、具体的にみていくことにします。

 

【ⅰ.重任とは?】

 

重任とは、取締役の任期満了の際、時間を置かずに再選された取締役が就任した後に申請する役員変更登記の原因のことです。たとえば、ある株式会社の取締役Aが任期満了となる定時株主総会において再選された場合、重任を原因として役員変更の登記手続きを行います。

 

上記ケースにおいて、取締役Aは、定時株主総会の終結のときまでに退任と就任をしています。そのため、役員変更の登記手続きをする際、任期満了による退任登記と就任登記をしなければならないのが原則です。しかし、退任と就任に時間的な間隔がない場合、退任登記と就任登記を1つの登記であらわす重任登記によって手続きができます。

 

【ⅱ.登記原因が重任とならない場合】

 

取締役が再選された場合、重任を原因とする役員変更の登記手続きをするケースが多いです。しかし、取締役が再選されたときでも、以下のような場合、重任登記をすることができません。

【定時株主総会で辞任した取締役が再選された場合】

 

定時株主総会の開催中に辞任した取締役が、その定時株主総会で再選されて直ちに就任した場合、重任登記ではなく、辞任登記と就任登記の手続きをする必要があります。

 

→ 取締役の辞任登記についてはこちら

 

「重任」の登記原因は、退任原因が任期満了であるときだけ、同日に再選されて就任した場合に利用することが可能です。そのため、退任原因が辞任である上記のケースでは、登記原因を重任として手続きすることはできません。

 

【任期満了となる定時株主総会の際に取締役改選を忘れていた場合】

 

取締役が任期満了となる定時株主総会の際、取締役の改選をするのを忘れてしまい、後の株主総会で取締役に再選された場合も重任登記はできません。

 

上記のケースでは、定時株主総会が終結したときに取締役の任期は満了します。一方、取締役として再選されて就任するのは、後の株主総会のときです。そのため、任期満了による退任のときと再選による就任のときの時間的な間隔があるので重任登記ができないのです。

 

【ⅲ.再選決議や重任登記をしないとどうなるか?】

 

個人事業者が法人成りしたような中小規模の会社では、役員構成が取締役1人ということもめずらしくありません。このような会社は、何年も役員構成が変わらないため、取締役の任期満了を迎えてもその定時株主総会の際や終了後に、再選決議をしなかったり、重任登記を放置してしまったりすることも多いです。そこで、もし、上記のように取締役の再選決議や重任登記をしないとどのようになってしまうのでしょうか。

 

商業・法人登記においては、基本的に登記事項に変更が生じたとき、一定の期間までに登記をしなければならないことになっています。そのため、上記のように再選決議や登記手続きをしないと、その懈怠期間によっては、会社の代表者に過料が命じられることもあるので注意が必要です。

 

また、取締役の任期満了にともなう再選決議や重任登記をしないまま、長期間放置してしまうと、その会社がみなし解散になってしまう可能性もあります。みなし解散とは、一定期間登記をしていない会社が職権により解散したとみなされる制度のことです。株式会社の場合、最後に登記をしてから12年経過すると、一定の手続きを得た後、その会社の登記上に職権で解散の登記がなされます。

 

当事務所でお手続きさせていただいた役員変更の登記においても、長期間再選決議や重任登記をされていない状態にあり、残り1年程度でみなし解散の対象になってしまうケースもありました。そのようなことから、取締役の任期をしっかり管理したうえで、任期満了を迎えた場合、必ず再選(改選)決議をしたうえで役員変更の登記手続きを忘れずにすることが大切です。

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