相続登記のご依頼を受ける際、その対象となる不動産に仮登記が残った状態のままであるケースが散見されます。当事務所へご依頼いただいた相続登記の案件のなかに、以下のような権利関係の不動産がありました。

 

(甲区)

順位番号 登記の目的 権利者その他の事項
1 所有権移転 大正15年12月20日売買
所有者A
2 所有権移転請求権仮登記 昭和28年7月22日贈与予約
権利者B
  余白
 
3 所有権移転 昭和36年11月7日相続
所有者B

 

今回、不動産の所有者であるBが亡くなりました。(相続人はCとD)。そこで、Bの相続人の1人であるCの名義にする相続登記とともに、順位2番で登記されている所有権移転請求権仮登記の抹消手続きをすることになったのです。

 

このような場合、C名義への相続登記を行った後、どのような方法で順位2番の仮登記の抹消手続きをすればよいのでしょうか。

 

【ⅰ.混同による仮登記の抹消手続きを行う】

 

上記の事例では、Bが昭和36年11月7日に相続を原因として不動産を取得したことにより、順位2番の仮登記の権利は混同により消滅しています。そのようなことから、この場合は、混同による仮登記の抹消手続きを行います。

混同とは、同一物について複数の物権あるいは債権債務関係が同一人に帰属した場合、存続させておく必要のない権利を消滅させるという法律の規定です。たとえば、借地人が借地の所有権をした場合、原則として混同により借地権は消滅します。

 

上記の事例でも、Bは昭和28年7月22日にAと贈与予約をして、将来贈与によって所有権を取得できる権利を得ました。しかし、昭和36年11月7日にBはAを相続して不動産の所有権を取得したことにより、贈与予約の権利を存続させておく必要性がなくなりました。そのようなことから、順位2番の仮登記の権利は、混同によって消滅することになるのです。

 

混同による仮登記の抹消は、原則として現在の所有権登記名義人と抹消する仮登記の名義人が共同で申請手続きを行います。そのため、相続登記によって所有権登記名義人になったCが登記権利者、仮登記の名義人であるBの相続人CとDが登記義務者となって順位2番の仮登記を抹消します。

一方、上記の事例でもしBが生存している場合は、Bが単独で「権利混同」を原因として順位2番の仮登記の抹消手続きをすることが可能です(登記研究360・92)。

 

【ⅱ.権利証(登記識別情報)がない場合の手続き方法】

 

混同による仮登記の抹消をする際、原則として仮登記名義人の権利証(登記識別情報)が必要となります。しかし、上記の事例のように、仮登記の権利を取得した時期が昔で権利証をなくしてしまっているケースも少なくありません。

 

このような場合、事前通知制度を利用したり、本人確認情報を提供したりして手続きをすることが考えられます。
 

→ 事前通知制度についてはこちら
 

→ 資格者代理人による本人確認情報についてはこちら
 

しかし、上記の事例ではこれらの方法を利用しなくても順位2番の仮登記を抹消できます。なぜなら、仮登記は利害関係人による単独抹消が認められているからです(不登法110条後段)。

仮登記上の利害関係人とは、仮登記の本登記を行う際、それによって自己の権利が否定されたり、不利益を受けたりする人をいいます。仮登記の抹消登記の登記権利者(上記の事例では新たに相続登記によって名義人になったC)も仮登記上の利害関係人にあたります。そのため、利害関係人による単独抹消の方法によって、Cは順位2番の仮登記の抹消手続をすることが可能です。

 

この方法で仮登記の抹消をする場合、仮登記名義人が抹消手続きに承諾したことを証明する情報(印鑑証明書も必要)を提供して行います。しかし、手続きをする際、仮登記名義人の権利証(登記識別情報)は必要ありません。そのため、仮登記名義人の権利証(登記識別情報)がない場合でも、事前通知制度や本人確認情報制度を利用しないで手続きすることができるのです。

 

当事務所がこの案件のご依頼を受けたときも、仮登記上の利害関係人による単独抹消の方法で手続きを行っています。ただ、法務局によっては、この方法による手続きを認めてくれないところもあるようです。そのため、仮登記上の利害関係人による単独抹消の方法を利用する場合、事前に法務局へ確認をしてから手続きをしたほうがよいでしょう。

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