2006年(平成18年)5月1日に会社法が施行されましたが、当法施行後に設立された株式会社は、株券不発行会社になるのが原則で、定款に株券を発行することができる旨の定めを設けた場合のみ株券発行会社になります。 

一方、会社法の施行前において、株式会社は株券を発行することが原則であり、定款で株券を発行しない旨の定めを設けた場合のみ株券不発行会社になるという取扱でした。そのため、会社法の施行前に設立された株式会社は、定款で株券を発行しない旨の定めを設けていない限り、会社法施行後も株券発行会社(定款に株券を発行することができる旨の定めがあるもの)とみなされます(会社法整備法76条4項)。 

ただ、株券発行会社であっても、譲渡制限規定を設けている会社の場合、株主の請求があるまでは株券を発行しないことが可能です(会社法215条4項)。したがって、譲渡制限規定を設けているのが一般的である中小企業の株式会社の中には、株券発行会社でありながら株券を発行していない状態の会社も少なくありません。 

株式会社が株券発行会社であると、株主が株券の発行請求をしてきたり、保有株式を他の者へ譲渡したりする場合等に株券を発行しなければならないため(会社法128条、215条等)、株券発行のコスト面でのデメリットが生じます。また、会社側が株主に対して株券を発行した後、当株主が株券を紛失して他の者に善意取得されてしまう(会社法131条)リスクも存在するところです。

そのようなことから、株券発行会社でありながら株券を発行していない状態の株式会社が、上記のデメリットやリスクを回避し、株券を発行していない現状に合わせる目的で、株券不発行会社への移行手続きをするケースもあります。株券発行会社から株券不発行会社へ移行するには、株券発行の定めの廃止手続きを行わなければなりません。

 

【株券発行の定めの廃止の手続き】 

 

株券を発行していない株券発行会社が、株券発行の定めを廃止して、株券不発行会社へ移行するには、以下の手続きを行う必要があります。

  • 株主総会の特別決議
  • 株主等に対する株券廃止公告または通知

 

【株主総会の特別決議】 

株券を発行することができる旨の定款の定めを廃止するには、定款変更の手続きをしなければなりません。そのため、当手続きを行うには、株主総会の特別決議を経る必要があります。 

 

【※実務のポイント:単に株券発行の定めの廃止の規定を削除するだけでは不十分な理由】

当事務所が実際に株券を発行していない株券発行会社から株券発行の定めの廃止の登記のご依頼いただく際、事前に必ずご依頼会社の定款の内容を確認させていただきます。

実際に株券を発行していない株券発行会社の定款を確認させていただくと、定款の「株式」の章の条項の中には、株券発行を前提とする内容の規定が含まれているケースがほとんどです。

(よく残っている規定の例)

  • 発行する株券の種類の規定
  • 株主名簿の記載事項の記載(記録)の請求の際に株券を添えて書類を提出する旨の規定

もし、定款上に上記内容の規定が設けられているにも関わらず、これらの規定に気づかず、株券発行の定めの廃止の手続きだけを進めてしまうと、手続き完了後の定款規定の内容に矛盾が生じるという事態に陥ってしまいます。

そのようなことから、当事務所では、ご依頼会社の会社の定款に株券発行を前提とする内容の規定が含まれていることを確認させていただいた場合、株券を発行する旨の規定と併せて削除または内容を訂正することを提案させていただいた上、手続きを進めさせていただいております。

 

(参考:株券発行の定めの廃止と併せて、株券発行を前提とする内容の他の規定の削除または変更する場合の株主総会議事録の記載例)

第〇号議案  定款変更の件

 議長は、当社定款第〇条で規定する「当会社の株式については、株券を発行する。」旨の定めを廃止したい旨を説明し、当該定めの廃止の効力発生日は、令和〇年〇月〇日とすることにつき、その可否を議場に諮ったところ、満場一致をもって可決確定した。

 議長は、上記株券を発行する旨の定款の定めの廃止に伴い、当社定款「第〇章 株式」の規定内容を株券不発行会社に適合するように、令和〇年〇月〇日付で別紙のとおり定款変更したい旨を議場に諮ったところ、満場一致をもって可決確定された。

※変更後の定款を株主総会議事録と合綴して作成します。

 

【株主等に対する株券廃止公告または通知】 

株券発行の定めの廃止の効力発生日の2週間前までに、株主等(株主および登録株式質権者)に対して、株券廃止の公告または通知のどちらか一方の手続きをしなければなりません。 

※株券廃止の公告は、定款で定められている公告方法によって行います。たとえば、会社の定款に「当会社の広告は、官報に掲載してする。」と定められている場合、官報に掲載して公告することになります。

→ 官報公告の手続き(資本金の額の減少:減資の場合)についてはこちら

※株券を発行している株券発行会社が当手続きを行う場合、公告および通知の双方の手続きをする必要があり、どちらか一方の手続きをするだけでは足りません。

 

株主等に対する株券廃止の広告・通知事項は、以下のとおりです。

  • 株券を発行することができる旨の定款の定めを廃止する旨
  • 定款変更の効力発生日

※株券を発行している株券発行会社が当手続きを行う場合、上記事項の他、定款変更の効力発生日に発行されている株券は無効となる旨も公告および通知しなければなりません。

 

【※実務のポイント:株券発行の定めの廃止の手続き順序(株主総会と株券廃止公告・通知はどちらが先?】 

株券発行の定めを廃止の手続きをさせていただく際、「株主総会の特別決議」と「株主等に対する株券廃止公告・通知」のどちらを先に行うべきかご相談を受けることがよくあります。

結論から申し上げますと、法律(会社法)上、どちらの手続きを先に行っても問題ありません。

 

(当事務所が「株主等に対する株券廃止公告・通知」を先に行う理由)

当事務所が株券発行の定めの廃止の手続きをご依頼いただく場合、原則として「先に株主等に対する株券廃止公告・通知を行い、その後に株主総会を開催する」という順序で進めております。

この順序で手続きを進める最大のメリットは、「株主総会の開催日に株券廃止等の定款変更の効力を発生させられること」にあります。

パターンA(先に株主総会を開催)

パターンB(先に株券廃止公告・通知)

【当事務所推奨】

株主総会を開催後に株券廃止公告・通知を行う場合、株主総会の開催日から効力発生まで2週間以上のタイムラグが生じます。

先に株券廃止公告・通知を行い、当公告・通知期間(2週間以上)経過した後、株主総会を開催すれば、株主総会の開催日を効力発生日とすることができ、スムーズに手続きを完了させることができます。

※株券廃止公告・通知は、効力発生日の「2週間前まで」に行う必要があるため、事前のスケジュール調整が非常に重要となります。

 

※上記の実務的な手続き手順については、株券発行の定めの廃止の他、「資本金の額の減少(減資)」の手続きにおいても、同様に活用されています。

→ 資本金の額の減少(減資)の手続きについてはこちら

 

【株券発行の定めの廃止の登記】 

 

株券発行会社である株式会社が、株券発行の定めを廃止する旨の定款変更をした場合、株券発行の定めの廃止の効力が発生した日より2週間以内に、株券発行の定めを廃止した旨と廃止年月日を登記しなければなりません。 株券発行の定めの廃止の登記の登録免許税は、1件の申請につき3万円です。 

 

株券を発行していない株券発行会社が株券発行の定めの廃止の登記手続きを行う場合の必要書類は、以下のとおりです。

  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 株式の全部について株券を発行していないことを証する書面(例:株主名簿)

※株券を発行している株券発行会社が当手続きを行う場合、「株式の全部について株券を発行していないことを証する書面」ではなく、「株券廃止公告をしたことを証する書面」を提出しなければなりません。

 

お問合せ・ご相談はこちら

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
04-2958-7666

担当:佐伯(さえき)

受付時間:9:00~18:30
定休日:土日祝祭日

遺産相続相談、遺言・相続手続き、遺言書作成のご相談、相続、売買、贈与、抹消などの不動産登記手続き、会社設立、役員変更などの会社の登記手続きは、実績のある埼玉・狭山の佐伯司法書士事務所にお任せください。
親切・丁寧な対応をモットーとしております。お気軽にご相談ください。

 

※非通知でのお電話はつながらない仕様となっておりますので、お電話いただく際には、電話番号の頭に「186」をつけていただく等、非通知設定を解除いただけますようお願い致します。

※当事務所の定休日(土・日・祝日)のご連絡・お問合せは、「お問合せ・ご相談フォーム」または「当事務所のLINE公式アカウント」からお願い致します(当事務所の定休日にお電話いただいても、原則としてつながりません。)。

(当事務所では、面談・電話・メール・LINE等の方法を問わず、無料によるご相談のみのご対応はしておりませんので、ご連絡いただく際にはご注意ください。)

対応エリア
狭山市、日高市、入間市、鶴ヶ島市、所沢市、川越市、飯能市、坂戸市、その他埼玉県、東京都など関東地方全域

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ・相談予約

04-2958-7666
04-2941-6504

<受付時間>
9:00~18:30
※土日祝祭日は除く

  • 一般の相続関連業務

  • 家庭裁判所で行う相続関連業務

  • 不動産登記関連業務

  • 会社・法人登記関連業務

  • 業務に関するQ&A等

  • 改正情報

  • お役立ち情報

  • 相続に関する知識

  • 遺言に関する知識

  • お客さまの声

  • 事務所紹介

ごあいさつ

saeki.jpg

代表の佐伯です。親切・丁寧な対応をモットーとしておりますのでお気軽にご相談ください。

佐伯司法書士事務所

住所

〒350-1308
埼玉県狭山市中央三丁目
6番G-206号

営業時間

9:00~18:30

定休日

土日祝祭日

主な業務地域

狭山市、日高市、入間市、鶴ヶ島市、所沢市、川越市、飯能市、坂戸市、その他埼玉県、東京都など関東地方全域