被相続人と相続登記の手続き対象不動産の登記名義人は同一人物でなければなりません。そのようなことから、相続登記の手続きを行う際、一定の場合を除き、「被相続人と不動産の登記名義人の同一性を証する情報」に該当する書類を提出することになります。

 

【ⅰ.被相続人と不動産の登記名義人の同一性を証する情報とは】

 

被相続人と不動産の登記名義人の同一性を証する情報とは、被相続人と不動産の登記名義人が同一人物であることを証明できる書類のことです。

 

相続登記の手続きを行う際、被相続人が亡くなった事実および当人の相続関係を法務局側に証明するため、戸籍を提出することになります。しかし、戸籍には被相続人の本籍、氏名は記載されているものの住所が記載されておりません。一方、不動産の登記情報にはその登記名義人となっている人の住所と氏名が記録されていますが、本籍の記録はありません。つまり、提出された被相続人の戸籍の記載内容と不動産の登記情報に記録されている登記名義人の情報を照らし合わせただけでは、被相続人と不動産の登記名義人が同一人物である旨を証明できません。そのようなことから、相続登記の手続きを行う際、戸籍に記載されている被相続人と不動産の登記名義人が同一人物であることを証明できる「被相続人と不動産の登記名義人の同一性を証する情報」に該当する書類の提出が求められているのです。

 

「被相続人と不動産の登記名義人の同一性を証する情報」として、被相続人の除票(除かれた住民票)を提出するのが通常です。除票には、住所の他に本籍を記載してもらうことができます。そのため、除票を提出すれば、不動産の登記名義人と戸籍の記載されている被相続人が同一人物である旨を証明することが可能です。また、被相続人が亡くなったときの住所とその不動産を登記情報に記載されている住所が相違している場合、その住所間のつながりを証明しなければなりません。このような場合、複数の除票または戸籍の附票を提出して住所間のつながりを証明していくことになります。

 

一方、被相続人の登記上に記録されている住所と本籍が同一であるときは、それだけで不動産の登記名義人と戸籍に記載されている被相続人が同一人物であることを証明できます。そのため、このような場合は、上記と異なり、「被相続人と不動産の登記名義人の同一性を証する情報」として、除票・戸籍の附票の提出は不要です。

 

【ⅱ.被相続人の除票や戸籍の附票が取得できない場合】

 

被相続人と不動産の登記名義人の同一性を証する情報として提出する除票・戸籍の附票は、戸籍と同様、保存期間の経過による破棄処分がなされているケースもあります。2019年(令和元年)6月20日より、除票や戸籍の附票の保存期間は消除・改製されてから150年とされましたが、それ以前は5年でした。そのため、2014年(平成26年)6月19日以前に消除・改製された除票や戸籍の附票の中には、保存期間の経過により破棄処分されているものも存在します。請求した除票・戸籍の附票が破棄処分の対象となっている場合、当除票・戸籍の附票を取得することはできません。

 

もし、保存期間の経過により除票・戸籍の附票を取得できない場合、他の代替書類を提出する形で対応します。当ケースで提出する他の代替書類の具体的内容は、お手続きをする各法務局によって異なる場合もありますが、一般的に以下の書類が該当します。

  • 登記名義人の登記情報上の住所に被相続人の本籍、住所がない旨の証明書である不在籍証明書および不在住証明書
  • 被相続人が不動産の権利を取得した時に発行された登記済権利証
  • 相続人全員の記名押印(実印)のある被相続人の同一性を証明する上申書および相続人全員の印鑑証明書

 

ただ、2017年(平成29年)に出された「平成29年3月23日法務省民二第175号」の通達において、被相続人が不動産の権利を取得した時に発行された登記済権利証は、被相続人と不動産の登記名義人の同一性を証する情報に該当する旨の見解が示されました。当通達が出されたことにより、被相続人の除票・戸籍の附票を取得できない場合でも、被相続人が不動産の権利を取得した時に発行された登記済権利証を被相続人と不動産の登記名義人の同一性を証する情報として提出すれば、それ以外の書類を提出することなく、相続登記の手続きを進めることが可能となっています。

 

【ⅲ.固定資産評価証明書(納税証明書)と被相続人と不動産の登記名義人の同一性を証する情報】

 

2023年(令和5年)に出された「令和5年12月18日法務省民二第1620号」の通達において、固定資産評価証明書(納税証明書)が被相続人と不動産の登記名義人の同一性を証する情報として提出(他の書類と一緒に提出)された場合、相続登記の提出書類上で被相続人と不動産の登記名義人が同一人物であると認められる時は、被相続人の同一性を証明する上申書を提出することなく相続登記の手続きをしても差し支えない旨の見解が示されています。

 

当通達で示されている見解に該当するのは、以下の2つのケースです。

【ケース1】

【被相続人と不動産の登記名義人の同一性を証する情報として、以下の書類を提出】

  • 被相続人の除票または戸籍の附票
  • 固定資産評価証明書または納税証明書
  • 不在籍証明書および不在住証明書

 

【相続登記の提出書類上から登記官側で以下の点が確認できた場合】

  • 登記記録上の不動産の表示および登記名義人の氏名が、固定資産評価証明書または納税証明書に記載された不動産の表示および納税義務者の氏名と一致している。
  • 固定資産評価証明書または納税証明書に記載された納税義務者の住所・氏名が、除票または戸籍の附票に記載された被相続人の住所・氏名と一致している。
  • 除票または戸籍の附票に記載された被相続人の本籍・氏名が、戸籍・除籍・改製原戸籍の謄本に記載された被相続人の本籍・氏名と一致している。

【ケース2】

【登記原因証明情報として、以下の書類を提出】

  • 公正証書遺言書

【被相続人と不動産の登記名義人の同一性を証する情報として、以下の書類を提出】

  • 固定資産評価証明書または納税証明書

 

【相続登記の提出書類上から登記官側で以下の点が確認できた場合】

  • 登記記録上の不動産の表示および登記名義人の氏名が、固定資産評価証明書または納税証明書に記載された不動産の表示および納税義務者の氏名と一致している。
  • 固定資産評価証明書または納税証明書に記載された納税義務者の住所・氏名が、公正証書遺言書に記載された遺言者の住所・氏名と一致している。
  • 公正証書遺言書に記載された遺言者と相続人の氏名・生年月日が、戸籍に記載された被相続人と相続人の氏名・生年月日と一致している。

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