商号(社名)は、株式会社の定款の絶対的記載事項および登記事項になります(会社法27条・911条3項)。そのため、株式会社を設立する際、商号(社名)を決めなければなりません。商号名は、登記することができる文字を選択して決定する必要があります。

→ 商号(社名)に使用することができる文字についてはこちら

ただ、事前に商号調査を行わないで使用する商号を決めてしまうと、後々、商号使用の件で企業等の他の事業者とトラブルに発展してしまうこともあるため注意しなければなりません。そのようなことから、会社設立時に商号を決める場合、事前に商号調査を行う必要があります。

 

【ⅰ.会社法制定前には必須だった類似商号調査】

 

会社法が制定される前においては、会社設立時に商号を決める場合、必ず事前に類似商号の調査を行っていました。

会社法制定前の旧商法において、「同一市区町村内において、同一の営業のために他人が登記した商号と同一の商号を登記することができない」という規定があったからです(旧商法19条)。

また、旧商業登記法においても、「同一市区町村内において、同一営業のために他人が登記した商号と判然区別することができない商号の登記をすることができない」と定められていました(旧商業登記法27条)。

そのようなことから、会社設立時に商号を決める際、上記の規定に反しないようにするため、必ず類似商号の調査を行っていたのです。

 

【ⅱ.会社法制定後も商号調査の作業は必要】

 

会社法制定時の法改正で類似商号の規制が廃止され、同一市町村内において同一の営業をしている会社と同一若しくは類似の商号でも、現行の法令等に反しない限り、登記ができるようになりました。

しかし、会社法制定後の現行の法令等においても、以下のような「商号の使用禁止」、「商号の登記禁止」等の規定が存在します。そのようなことから、会社法制定後においても、「商号の使用禁止」、「商号の登記禁止」等の規定に反しないように、事前に類似商号調査を行った上で、設立する会社の商号を決めていく必要があります。

 

【※現行の法令における「商号の使用禁止」・「商号の登記禁止」等の規定】

 

【会社法】

会社法においては、「不正な目的を持って、他の会社と誤認されるおそれのある商号を使用してはならない」旨が規定されています(会社法8条1項)。

もし、上記の規定に反して、たとえば、ある会社が顧客を誤認させる目的で有名会社とほぼ同様の商号を使用し、それによって、相手方の会社の営業上の利益が侵害されたり、侵害されるおそれが生じたりした場合、相手方の会社から、その侵害の停止または予防を請求される可能性があります(会社法8条2項)。

 

【商業登記法】

商業登記法においては、「商号が他人の既に登記した商号と同一であり、かつ、本店所在場所も同一である場合、その登記はできない」旨の規定が設けられています(商業登記法27条)。

→ 同一商号・同一本店の禁止についてはこちら

もし、上記の規定に反して、ある会社が既に登記した会社の商号・本店所在場所と同じ商号・本店所在場所の登記申請を行った場合、その登記申請は却下されます(商業登記法24条)。

 

【不正競争防止法】

他の会社ですでに使用している商号が需要者の間に広く認識されていて、その商号と同一若しくは類似のものを使用し、他の会社ですでに使用している商号だと勘違い(混同)を生じさせた場合、不正競争防止法違反に問われる可能性もあります(不正競争防止法2条1項)。不正競争防止法は、事業者間の公正な競争を促進して、国民経済の健全な発展に寄与することを目的として制定された法律になります。

もし、商号使用が不正競争防止法違反となる場合、当商号と同一若しくは類似の商号を以前より使用していた会社から、差止請求や損害賠償請求を受けることもあります(不正競争防止法3条・4条)。

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