被相続人に子がいる場合、第一順位の相続人は子になります。第一順位の相続人となる資格を有する子は、法律上の婚姻関係にある夫婦の間に生まれた嫡出子だけではありません。法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた非嫡出子も、被相続人の子としての相続資格を有します(被相続人が父親の場合、非嫡出子は認知されていることが前提。)。
 

被相続人の相続人となる子の中に嫡出子と非嫡出子がいる場合、最高裁判所の決定の内容にともなって、法律(民法)上で規定されている嫡出子と非嫡出子の相続分の割合も変更されました。

 

【ⅰ.嫡出子と非嫡出子の相続分の割合は平等になった】

 

従来、非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の2分の1でした(旧民法900条4項但書前段)。しかし、嫡出子と非嫡出子の相続分にこのような差異を設けることは、非嫡出子を不利益に扱う差別ともとれます。そのようなことから、憲法14条の「法の下の平等」に反するという指摘も少なくありませんでした。
 

そして、平成25年9月4日、最高裁判所により、この民法の規定は、憲法14条の「法の下の平等」に反するとして、違憲決定の判断がなされました。それにともなって、民法の規定も改正(平成25年12月11日法律第94号)され、非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分と等しくなっています(民法900条4項)。

 

【ⅱ.嫡出子と非嫡出子の相続分割合の改正による影響】

 

民法改正(平成25年12月11日法律第94号)後の嫡出子と非嫡出子の相続分の割合を平等とする旨の規定は、平成25年9月5日以降に開始した相続について適用するとしています。そのようなことから、平成25年9月5日以降の相続に関しては、嫡出子と非嫡出子の相続分割合の改正による影響を受けます。

 

一方、最高裁判所が違憲決定の判断をした平成25年9月4日以前に開始した相続については、嫡出子と非嫡出子の相続分割合の改正の影響を受けるケースと受けないケースがあります。

この点につき、「平成13年7月より前に開始した相続の場合」と「平成13年7月から平成25年9月4日の間に開始した相続の場合」に分けて解説すると、以下のとおりとなります。

【ⅰ.平成13年7月より前に開始した相続の場合】

最高裁判所は、平成25年9月4日に「非嫡出子の相続分が嫡出子の相続分の2分の1という規定は、遅くとも平成13年7月当時においては憲法14条1項の法の下の平等に反していた」という内容の違憲決定の判断を下しています。

一方、上記最高裁判所の違憲決定の中で、「平成13年7月より前の相続開始時点において、平成7年7月5日の最高裁判所の決定等で、非嫡出子の相続分が嫡出子の相続分の2分の1という規定が合憲であるとした判断を変更するものではない」との判断が示されています。

非嫡出子の相続分が嫡出子の相続分の2分の1という規定が合憲である旨の判断をした直近の最高裁判所の決定は平成21年9月30日のもので、当事案の相続開始日は平成12年6月30日でした。

そのようなことから、平成12年6月30日までに開始した相続については、今回の民法改正の影響は及ばないため、合憲の取扱がなされることになります。

平成12年7月1日から平成13年6月30日の間に開始した相続についての合憲・違憲の判断を明確に示した最高裁判所の判決・決定等はありません。したがって、今後の最高裁判所の判決・決定等の内容によって、合憲となるか違憲となるかが決まってくると考えられます。

 

【ⅱ.平成13年7月から平成25年9月4日の間に開始した相続の場合】

憲法に反する法律は原則として無効です。そのため、平成13年7月以降に非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1として処理した相続手続きの効力も原則として無効になります。

しかし、平成13年7月から平成25年9月4日の間に済ませた相続手続きの効力を無効とすると、法的安定性が害されてしまいます。そのようなことから、平成25年9月4日の最高裁判所の決定の中で、平成13年7月から平成25年9月4日までの期間に遺産分割協議の合意や審判が成立し、相続に関する法律関係が確定的なものとなっている場合は、違憲判断の影響を受けない旨の判断が示されています。

したがって、平成13年7月から平成25年9月4日の間に、遺産分割協議の合意や審判が成立しておらず、相続に関する法律関係が確定的なものとなっていない場合のみ、違憲判断の影響を受けることになります。

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