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取締役や代表取締役などの役員が職務執行の際に不正行為をした場合、会社側は、その取締役や代表取締役を解任(解職)して対応することもあります。
会社側が取締役や代表取締役を解任(解職)した場合、その旨の登記手続きをすることになります。
【ⅰ.取締役、代表取締役の解任(解職)手続き】
取締役、代表取締役の解任(解職)の手続きは、以下の方法によって行います。
【取締役の解任】
取締役の解任は、原則として株主総会の普通決議によって行います。ただ、累積投票によって選任された取締役を解任するには、株主総会の特別決議を経なければなりません。累積投票とは、複数の取締役を選任する際、各株主が保有する1株につき選任する取締役と同じ数の議決権が与えられ、それぞれの取締役に投票しても、1人の取締役に集中して投票してもよいという制度のことです。
取締役を解任された場合、その者は取締役の地位を失うことになるので、退任することになります。株主総会で取締役を解任する際、その理由の有無は問われません。ただ、解任に正当な理由がない場合、会社側は解任された取締役から損害賠償の請求を受ける可能性があるので注意が必要です。
また、取締役の職務執行の際に不正な行為があったにもかかわらず、その取締役の解任議案が株主総会で否決されたとします。このような場合、一定の条件を満たした株主は、その取締役の解任の訴えを請求することが可能です。(会社法854条)
上記訴えの判決が確定した場合、その取締役は解任されます。
【代表取締役の解職】
代表取締役の解職は、選定した方法と同じ方法で行います。
各自代表の場合は(取締役のなかから代表取締役を定めていない場合)、代表取締役の解職をすることはできません。また、代表取締役である取締役が取締役を解任されると、取締役を退任すると同時に代表取締役の資格喪失により退任します。なぜなら、代表取締役の地位は取締役の地位の存在が前提となっているからです。
【ⅱ.取締役、代表取締役の解任(解職)による退任登記】
取締役、代表取締役の解任(解職)による退任登記の手続き方法と必要書類は以下のとおりです。
【解任(解職)による退任登記の手続き方法】
取締役が解任された場合、「解任」を登記原因として、その者の退任登記を行います。代表取締役が解職された場合も同様です。また、代表取締役である取締役が取締役を解任された場合、「解任」を登記原因とする取締役の退任登記と「資格喪失」を登記原因とする代表取締役の退任登記を同時に行います。
また、代表取締役である取締役を解任することで、当会社の代表取締役がいなくなってしまう場合、後任の代表取締役を選定(場合によっては取締役の選任)手続きが必要となります。このようなケースでは、代表取締役である取締役の解任による退任登記(代表取締役の資格喪失による退任登記も含む)と併せて、後任の代表取締役の就任登記(場合によっては取締役の就任登記も含む)をしなければなりません。
【解任(解職)による退任登記の必要書類】
取締役の解任による退任登記をする場合には、解任決議を行った株主総会議事録、株主リストの提出を要します。
代表取締役の解職による退任登記をする場合に必要となる書類は、以下のとおりです。
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また、代表取締役である取締役の解任にともなって、後任の取締役・代表取締役を選任・選定する場合、上記の解任による退任登記の必要書類の他、取締役・代表取締役の就任登記の必要書類を提出しなければなりません。
【※会社の役員全員を解任対象とする登記申請があった場合の事務取扱について】
会社の取締役・代表取締役など役員全員を解任対象とする登記申請があった場合、当登記手続完了後、法務局側から速やかに解任登記の手続きを行った旨を記載した書面を対象会社の本店宛へ普通郵便で発送して連絡するのを原則とする事務取扱がなされています(令和2年3月23日法務省民商第65号)。
従前においては、会社の役員全員を解任する登記申請があった場合、登記手続完了前に法務局側から速やかに申請対象の会社宛へその旨の連絡をするものとする事務取扱がなされていました(平成15年5月6日法務省民商第1405号)。また、会社の役員全員を解任する登記の申請がなされてから短期間内に解任対象となった代表取締役より、当解任登記申請を行った申請人が代表取締役の地位にないことを仮に定める内容の仮処分の申立を行った旨の上申書が法務局に提出された場合、上記仮処分の申立の決定が行われるまでの間、当解任登記を留保する事務取扱が相当とされていました(平成19年8月29日法務省民商第1753号)。
上記二つの通知は、会社と無関係にある者が当会社を乗っ取るために株主総会等の議事録を偽造して、虚偽の役員解任登記を行う事案が発生したことを受け、このような不実の登記の防止を図る目的で出されました。しかし、会社の役員全員の解任登記申請がなされた場合、一律に上記二つの通知内容の事務取扱をしてしまうと、不実であることを疑うべき事情がない解任登記についても登記が留保されてしまうケースがあり、会社の登記すべき事項の迅速な公示の実現の面で問題が生じていました。
そのような事情から、不実の登記の防止と登記すべき事項の迅速な公示の二つをバランスよく実現できるように、「平成15年5月6日法務省民商第1405号」と「平成19年8月29日法務省民商第1753号」の二つの通知を廃止し、「令和2年3月23日法務省民商第65号」の通知内容の事務取扱がなされることになりました。ただ、会社の役員全員を解任する登記の申請人の申請権限に疑義があると判断される場合は、登記手続完了前に法務局側から申請対象の会社宛へ連絡することを妨げないとされています。
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