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相続登記を行う場合、相続放棄をした者が登記名義人になることは基本的にありません。
しかし、被相続人や相続人の債権者の債権者代位によって、法定相続による共同相続登記の手続きがなされ、結果的に相続放棄者が登記名義人となってしまうケースがあります。
相続放棄をした者は、最初から被相続人の相続人ではなかったことになるため、相続放棄者名義でなされた相続登記も、その内容が誤っていることになります。
したがって、被相続人や相続人の債権者の債権者代位によって、法定相続による共同相続登記がなされ、結果的に相続放棄者が登記名義人になってしまった場合、その名義を訂正する登記手続きをしなければなりません。
【ⅰ.相続登記がなされる前に名義人の相続放棄が受理されていた場合】
被相続人や相続人の債権者の債権者代位によって、共同相続人名義で相続登記がなされる前に、共同相続人中の1人の相続放棄が受理されていた時は、更正登記の方法で名義を訂正します。
たとえば、債権者代位によって、A、B、Cの3名の共同相続人名義で相続登記がなされ、Aは相続登記の手続き前に相続放棄をしていたとします。この場合、内容が誤っているのはA名義の登記のみで、B名義とC名義の登記の内容に誤りはありません。したがって、登記内容の一部に誤りがあるため、更正登記の方法で「A、B、C」から「B、C」の共有名義に訂正する手続きを行います。
一方、上記のケースで相続登記の名義人となった相続人全員の相続放棄が受理されていた時は、相続登記を抹消する方法で訂正します。
たとえば、債権者代位による相続登記で共同相続名義人となったA、B、C全員が、相続登記の手続き前に相続放棄をしていたとします。この場合、登記されたA、B、Cの名義は、内容的にすべて誤っていることになりるため、更正登記の方法で名義の訂正はできません。当ケースでは、一度相続登記を抹消して被相続人名義に戻した後、A、B、Cの相続放棄によって新たに相続人となった者の名義にするための相続登記を行う形で訂正します。
【ⅱ.相続登記がなされた後に名義人の相続放棄が受理された場合】
被相続人や相続人の債権者の債権者代位によって、共同相続人名義の相続登記がなされた後、名義人全員の相続放棄が受理された場合、それによって新たに相続人となった者へ移転登記をする方法で名義の訂正手続きを行う旨の登記実務の見解が、かつて存在していました(昭和33年4月15日民甲第771号)。
相続登記がなされた時点では、まだ名義人の相続放棄は受理されていないため、登記内容に誤りはないことを根拠に、登記内容の全部の誤りを訂正する抹消登記の方法ではなく、移転登記の方法で名義の訂正する旨を内容とする上記見解が示されたと考えられます。
その後、「相続放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。」旨の相続放棄の効力を規定する民法939条を根拠に、相続放棄をした相続人名義の登記は、真実の権利関係と一致しない無効な登記であると考え、抹消登記をして被相続人に名義を戻した後、新たに相続人となった者へ相続登記を行う方法で名義の訂正手続きする旨の見解が出されています(昭和52年4月15日民三第2379号)。
※ 債権者代位によってなされた相続登記の更正登記・抹消登記をするにおいて、代位債権者(債権者代位によって相続登記を行った債権者)は、登記上の利害関係人(更正登記・抹消登記によって登記上不利益を受ける者)となります。そのため、更正登記・抹消登記の手続きを行う際には、代位債権者の承諾が必要となり、代位債権者の承諾情報(印鑑証明書付)の提供が必要です。
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