不動産の権利に関する登記の申請手続きを行う際、法令に別段の定めがある場合を除いて、登記原因証明情報を登記申請情報(登記申請書)と一緒に提供しなければならない旨が法律上で規定されています(不動産登記法61条)。

そのようなことから、不動産の権利に関する登記の申請手続きを行う際には、原則として、登記原因証明情報の提供が必要になります。

 

【ⅰ.登記原因証明情報とは】

 

登記原因証明情報とは、申請手続きをする登記の原因となった事実または法律行為によって、その権利関係が変動したことを証明する情報です。登記原因証明情報の制度は、登記原因の真実性を担保する目的で、2005年(平成17年)の不動産登記法改正の時に設けられました。

 

上記改正前においても、「登記原因証書」が不動産の権利に関する登記の必要書類とされていて、売買を原因とする所有権移転登記の申請時には、売渡証書等を登記原因証書として提出していました。提出された登記原因証書は、登記完了後、「登記済」の赤い印が登記官によって押印され、「登記済権利証」という形で登記権利者等に渡されていました。また、登記原因証書に該当する書類がない場合は、申請書副本(登記申請書の写し)を代わりに提出し、当書類を素材にして登記済権利証が作成されました。

現行法の登記原因証明情報の前身にあたる登記原因証書は、登記原因となった事実や法律行為により権利変動を証明するためというよりは、登記済権利証を作成するために提出を求められていたものだったと言えます。

 

しかし、上記法改正前の不動産登記実務の環境では、申請された登記原因の真実性の担保の面で十分とは言えません。そのようなことから、登記原因証書(申請書副本)の制度を廃止し、登記原因証明情報の制度を設けて、登記申請当事者から、申請する登記の原因となった事実や法律行為に関する情報を提供させることを原則としたのです。

登記申請情報(登記申請書)と一緒に提供された登記原因証明情報は、登記済権利証の素材となる登記原因証書(申請書副本)と異なり、一定期間法務局に保管されて、利害関係人も閲覧可能な状態におかれます。それにより、不動産取引の安全性の確保につながることも期待されています。

 

【ⅱ.提供する登記原因証明情報の具体的内容】

 

不動産の権利に関する登記を申請する際に提供する登記原因証明情報は、登記を共同で申請する場合と単独で申請する場合において、その内容が少し異なります。

【1.共同申請の場合】

共同申請の場合、登記申請の当事者が作成した報告形式の登記原因証明情報を提供するのが原則です。また、不動産の売買や担保権設定等の契約をする際に作成される契約書を、登記原因証明情報として提供することもできます。

 

【2.単独申請の場合】

不動産の権利に関する登記を単独で申請する場合、共同申請の場合と異なり、報告形式のものや各種契約書等の私署証書を登記原因証明情報として提供することはできません。登記原因となる事実や法律行為を証明できる公的な情報(書類)を登記原因証明情報として提供する必要があります。

たとえば、登記名義人の住所変更による名変登記を申請する時には、当住所変更の内容を確認できる住民票の写し等を登記原因証明情報として提供します。

→ 住所氏名変更(名変)登記についてはこちら

単独申請の場合は、共同申請の場合と異なり、登記の申請手続きに関与する相手当事者(登記義務者)が存在しないため、申請形態によって登記の真正を担保することができません。そのようなことから、より証明力の強い公的な情報(書類)を登記原因証明情報として提供を求めることで、登記の真正担保をはかろうとしているのです。

→ 相続登記の登記原因証明情報についてはこちら

→ 遺言書による相続登記の登記原因証明情報についてはこちら

 

【ⅲ.登記原因証明情報の提供が不要な場合】

 

不動産の権利に関する登記の申請をする際、不動産登記法61条の「法令に別段の定めがある場合」に該当する時は、登記原因証明情報を提供が不要となります。

 

たとえば、不動産登記法74条1項の所有権保存登記(戸建ての所有権保存登記)は、上記の法令の別段の定めに該当します。そのため、この登記の申請手続きをする場合、登記原因証明情報を提供する必要はありません。

 

また、上記の法令の別段の定めに該当するわけではありませんが、混同による権利の抹消登記を申請する場合、混同により権利関係が消滅したことが登記記録上明らかである時は、登記原因証明情報の提供は不要です。

→ 混同による仮登記の抹消についてはこちら

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