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ローン完済によって抵当権が消滅してから10年以上の長期間が経過した後であっても、その当時に金融機関から発行を受けた抵当権抹消登記書類があれば、それを利用して手続きすることが可能です。
しかし、上記のようなケースで、ローン完済によって抵当権が消滅してから、抵当権抹消登記の手続きをするまでの間に、金融機関の代表者が変更になっていることも少なくありません。その場合、抵当権抹消登記の手続きをする時点での金融機関の代表者とローン完済時に金融機関から発行を受けた抵当権抹消登記書類(金融機関の委任状等)に記載されている代表者名が相違することになるため、この点が手続き上で支障になるのではとも考えられます。
ローン完済によって抵当権が消滅して金融機関から抵当権抹消登記書類の発行を受けた後、金融機関の代表者の変更があった場合でも、ローン完済時に発行を受けた金融機関の委任状(変更前の代表者名の記載があるもの)を使用して、抵当権抹消登記の手続きをすることが可能です。
【ⅰ.金融機関の代表者の変更があっても、ローン完済時に発行された金融機関の委任状を使用して手続きできる理由】
ローン完済時に発行された抵当権抹消登記書類を受領してから抵当権抹消登記の手続きをするまでの間に、金融機関の代表者の変更があったとします。このような場合でも、ローン完済時に発行された金融機関の委任状を使用して抵当権抹消登記の手続きができるのは、金融機関の代表者の変更があっても、登記申請の代理権は消滅しないからです。
不動産登記法においては、「代理権の不消滅」の規定があります(不動産登記法17条)。
| (代理権の不消滅) 不動産登記法17条 登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、次に掲げる事由によっては、消滅しない。
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第4項にある「法定代理人」には、法人の代表者も含まれると解されている(平成5年7月30日法務省民三第5320号)ため、当規定により、法人である金融機関の代表者の変更があっても、旧代表者から登記申請の委任を受けた代理人の権限は消滅しません。したがって、金融機関の代表者の変更があった場合でも、変更前の代表者名で作成されている金融機関の委任状を使用して手続きすることができるのです。
【ⅱ.金融機関の代表者変更がある場合の抵当権抹消登記手続きの方法】
ローン完済時に発行された金融機関の委任状(変更前の代表者名が記載されているもの)を使用して抵当権抹消登記の手続きをする場合、その方法は通常の抵当権抹消登記の手続きの時と基本的に変わりません。しかし、登記手続きを行う際、登記申請情報(登記申請書)上において明らかにしなければならない事項がある点が、通常の抵当権抹消登記の手続きの時と異なります。
当ケースにおいて、会社法人等番号を有する法人(金融機関)が抵当権抹消登記の手続きを行う場合、会社法人等番号を提供しなければならない上、「前代表者の代表権が消滅した旨」を登記申請情報(登記申請書)に記載して、その旨を明らかにしなければなりません。
もし、提供した会社法人等番号によって、前代表者の資格を確認することができない場合は、その資格を確認することができる登記事項証明書を提供する必要があります(平成27年10月23日法務省民二第512号)。
上記通達(平成27年10月23日法務省民二第512号)の前に出されていた通達(平成5年7月30日法務省民三第5320号)では、当ケースにおいて、抵当権抹消登記の手続きをする場合、「前代表者の代表権限が消滅した旨」と「前代表者が代表権限を有していた時期」を明らかにしなければならないとされていました。しかし、上記通達(平成27年10月23日法務省民二第512号)が出されたことにより、前代表者が代表権限を有していた時期を明らかにする必要はないとされ(登記研究828号74頁)、取扱が変更されています。
【※抵当権抹消登記書類の再発行を受けて手続きする選択肢もある】
金融機関の代表者の変更があった場合、その前に発行された金融機関の委任状(変更前の代表者名が記載されているもの)を使用するのではなく、現代表者名義の抵当権抹消登記書類を再発行してもらった上で抵当権抹消登記の手続きをすることも可能です。
この場合、発行を受けた抵当権抹消登記書類を紛失してしまった時に準ずる形で、抵当権抹消登記の手続きを進めていくことになります。
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