住宅ローンの借入を完済した場合、借入先の金融機関が設定した抵当権も消滅することになります。それにより、住宅ローンの借入に基づいて設定された抵当権の登記も外すことが可能となり、借入先の金融機関等から抵当権抹消登記の手続きをするための必要書類を発行してもらえます。

しかし、借入先の金融機関等から書類を発行してもらったものの、つい抵当権抹消登記の手続きを後回しにしてしまい、そのまま長い期間手続きをしないで放置してしまうこともあります。その後、抵当権抹消登記の手続きをしなければならない状況になり、手続きをしようと考えても、当時発行してもらった書類を紛失してしまったというのもよくある話です。

住宅ローンの借入の完済当時に借入先の金融機関等から発行を受けた抵当権抹消登記手続きの必要書類を紛失してしまうと、抵当権抹消登記の手続きをすることができなくなってしまうのではないかと不安に感じる方もいるかもしれません。しかし、書類を紛失してしまっても、抵当権抹消登記の手続きを進めることは可能ですので、不安を感じる必要はありません。

抵当権抹消登記手続きの必要書類を紛失してしまった場合、借入先の金融機関等から書類を再発行してもらった上で、抵当権抹消登記の手続きを進めていくことになります。

 

【ⅰ.金融機関への抵当権抹消登記手続き書類の再発行の依頼】

 

以前金融機関から発行してもらった抵当権抹消登記手続きの必要書類を紛失してしまった場合、当登記の手続きを行うために、金融機関へ書類の再発行手続きの依頼をします。依頼を受けた金融機関は、当事者本人の住宅ローンの利用実績や完済状態にある旨を確認した上で、書類の再発行の手続きをしてくれます。

再発行の依頼後、数週間程度で書類を準備してくれるのが通常です。金融機関側で再発行が可能な抵当権抹消登記手続きの必要書類がすべて整った後、金融機関側からその旨の連絡があります。そして、連絡を受けた本人が金融機関の店舗まで足を運んで、発行してもらった抵当権抹消登記手続きの必要書類を受領することになります。

 

【※金融機関側で再発行してもらえる書類とできない書類がある】

抵当権抹消登記は、申請情報(申請書)と一緒にいくつかの種類の書類を管轄の法務局に提出する形で手続きを行います。

→ 抵当権抹消登記に必要な書類についてはこちら

 

抵当権抹消登記の手続きを行うために紛失した書類の再発行を依頼しても、金融機関側は、抵当権抹消登記の手続きに必要となる書類をすべて再発行してくれるわけではありません。金融機関側で再発行してもらえる書類と再発行できない書類があります。

 

抵当権解除証書等の登記原因証明情報金融機関側の登記手続用の委任状等の書類は、再発行してもらうことが可能です

→ 登記原因証明情報についてはこちら

→ 代理権限証明情報(登記委任状)についてはこちら

 

一方、抹消対象の抵当権の設定登記をした時に発行された登記識別情報通知書または登記済証(登記済の赤い判がある抵当権設定契約書等)は再発行してもらえません

→ 登記識別情報についてはこちら

 

再発行してもらえる書類 再発行できない書類
  • 抵当権解除証書等の登記原因証明情報
  • 金融機関側の登記手続用の委任状
  • 登記識別情報通知書
  • 登記済証(「登記済」の赤い判のある抵当権設定契約証書等)

 

【ⅱ.書類を紛失した場合の抵当権抹消登記の手続き方法】

 

抵当権抹消登記の手続きを行う際、抹消対象の抵当権の設定登記時に発行された登記識別情報を提供(登記済証を提出)しなければならないのが原則です。

しかし、抵当権抹消登記の手続きに必要な書類を紛失してしまった時、金融機関へ紛失した書類の再発行を依頼しても、登記識別情報通知書または登記済証を再発行をしてもらうことができません。

そのようなことから、必要書類を紛失してしまった場合、登記識別情報を提供(登記済証を提出)できない時の代替の方法によって、抵当権抹消登記の手続きを行う必要があります。

→ 登記識別情報を失念(登記済証をなくした)ときの登記手続き方法についてはこちら

 

登記識別情報を提供(登記済証を提出)できない時の代替の手続き方法には、「事前通知制度」・「資格者代理人による本人確認情報制度」等があります。

→ 事前通知制度についてはこちら

→ 資格者代理人による本人確認情報制度についてはこちら

 

登記識別情報を提供(登記済証を提出)できない場合、申請する登記の内容によって、選択する代替の手続き方法も異なります。

たとえば、売買代金の決済と所有権移転登記を同じ日に行う不動産売買の場合、取引の安全性を理由に、「資格者代理人による本人確認情報制度」を利用して登記手続きを行います。

一方、抵当権抹消登記は、特定の日時に登記手続きができなくても原則としてリスクはない上に、登記義務者である金融機関側の協力が得やすい等の理由で、「事前通知制度」を選択して登記手続きを行うのが通常です。

 

事前通知制度を利用して抵当権抹消登記の手続きを行う場合、抵当権者である金融機関側の登記手続用の委任状には、実印が捺印されていなければならないので注意が必要です。

そのため、事前通知制度を利用して抵当権抹消登記の手続きを行う際、通常の抵当権抹消登記手続きの必要書類の他、金融機関の印鑑証明書(発行日から3ヶ月以内のもの)も提出しなければなりません。

→ 不動産登記の手続きに必要な印鑑証明書についてはこちら

 

抵当権抹消登記手続きの必要書類の再発行手続きを依頼すると、金融機関側で、抵当権解除証書等の登記原因証明情報、金融機関用の登記手続用の委任状の他、金融機関の印鑑証明書(発行日から3ヶ月以内のもの)も用意してもらえます。

 

【ⅲ.必要書類を紛失された場合の抵当権抹消登記手続きは司法書士にお任せください】

 

不動産登記の手続きの中で、抵当権抹消登記は比較的簡易な登記手続きに分類されるため、ご本人自身で手続きしようとされる方もいらっしゃいます。しかし、必要書類を紛失されてしまった場合の抵当権抹消登記は、書類の再発行が必要となる上に、手続き方法や必要書類が通常の抵当権抹消登記と異なるため、その分手続きの難易度も上がります

そのようなことから、必要書類を紛失された状況で抵当権抹消登記のお手続きをされる場合、不動産登記の専門家である司法書士を活用されるのも一つの選択肢です。司法書士に依頼すれば、このようなイレギュラーなケースの抵当権抹消登記も問題なく手続きをさせていただくことができます。また、金融機関によっては、司法書士が当事者本人の方を代理して、書類の再発行依頼および再発行いただいた書類の受領等をさせていただくことも可能です。

 

埼玉・狭山の佐伯司法書士事務所でも、これまで複数の方から、必要書類を紛失された状況での抵当権抹消登記のご依頼を受けて手続きをさせていただいております。

必要書類を紛失された状況の中で抵当権抹消登記の手続きをされたいとご希望されている方は、当事務所へお気軽にご連絡ください。

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