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相続登記は、「遺言書による相続登記」、「遺産分割協議による相続登記」の他、「法定相続による相続登記」の方法で手続きを行うことも可能です。
被相続人の相続人が複数名いるケースで法定相続登記を行った場合、法定相続分の持分割合による相続人全員の共有名義で登記がなされます。
相続登記は、被相続人の相続財産である不動産を相続する相続人が登記申請人となって手続きを行うのがルールとなっています。そのため、被相続人の相続人が複数名いるケースで法定相続登記を行う場合、共有で名義を受ける複数の相続人全員で申請手続きをするのが原則です。しかし、例外として、共有で名義を受ける複数の相続人のうちの1人だけで、法定相続登記の手続きを行うことも可能です。
【ⅰ.複数の相続人の共有名義とする法定相続登記を1人の相続人だけで手続きできる理由】
複数の相続人の共有名義とする法定相続登記を1人の相続人だけで手続きができるのは、当相続登記の申請が民法で規定する「共有物の保存行為」に該当するからです(民法252条5項)。
(共有物の管理) 民法第252条 1~4.省略 5.各共有者は、前項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。 |
「共有物の保存行為」とは、共有物の現状を維持するための行為を言います。相続開始現在の各相続人の権利関係(相続分)は、民法の規定(民法900条)によって決まるのが原則です。
複数の相続人の共有名義とする法定相続登記の申請手続きを行うと、相続によって取得した各相続人の持分所有権の記録が登記上に反映されることになりますが、それは各相続人の法定相続分による持分所有権が事実として表示されているに過ぎないと解釈されます。そのようなことから、複数の相続人の共有名義とする法定相続登記は、不動産の現状の権利関係を維持する性質の行為となるため、「共有物の保存行為」に該当するとされています。
上記と反対に、被相続人の相続財産である不動産を複数の相続人が法定相続分の割合で権利を取得した場合、相続人のうちの1人が自己の相続した持分のみを対象とする相続登記の申請手続きはできません。この登記手続き方法を認めてしまうと、すでに亡くなっている被相続人と相続人の共有関係が登記上に表示されて不適切であるため、登記手続の通達でも否定されています(昭和30年10月15日民事甲2216号)。
【ⅱ.複数の相続人の共有名義とする法定相続登記を1人の相続人で行った場合の問題点】
複数の相続人の共有名義とする法定相続登記を1人の相続人で行った場合、後に相続人全員で共同相続した不動産を売却処分する際、登記手続後に発行される登記識別情報の関係で問題が生じてしまうこともあります。
相続登記を申請すると手続き完了後に登記名義人に対して登記識別情報が発行されますが、その対象はあくまで登記申請人となった人だけです。共有物の保存行為によって1人の相続人が複数の相続人の共有名義とする法定相続登記を申請した場合、手続き完了後に登記申請人となった相続人に対してのみ登記識別情報が発行されます。登記申請人以外の登記名義人となった相続人に対しては、登記識別情報は発行されません。
不動産を売却処分する場合、売買の登記の際に、売主側が権利を取得した際に発行された登記識別情報(登記済権利証)を提供しなければならないのが原則です。
しかし、共有物の保存行為という形で相続人の1人が法定相続登記を行って複数の相続人の共有名義にした不動産を売買しようとする場合、登記申請人以外の相続人は、売買の登記の際に登記識別情報を提供することができません。このような場合、登記識別情報を提供できない場合の代替の方法(資格者代理人による本人確認情報制度)を利用して登記手続きをしなければならなくなります。(登記識別情報を提供できない場合の代替の登記手続き方法には、資格者代理人による本人確認情報制度の他、事前通知制度もありますが、売買の登記の場合には、通常利用されません。)
上記の代替の方法を利用して登記手続きを行うと、余計な費用がかかってしまったり、手続きが少し面倒になったりしてしまうなどのデメリットが生じます。そのようなことから、複数の相続人の共有名義とする法定相続登記の行う場合、なるべく登記名義人となる相続人全員が登記申請人になって手続きをしたほうが好ましいです。
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