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住宅ローンを完済後、銀行等の金融機関から抵当権抹消登記関係の書類を受領して、抵当権抹消登記の手続きを進めていくことになります。
抵当権抹消登記の手続き対象の不動産の所有者が単独(1名)である場合、不動産登記の手続きルールの原則どおり、その不動産の所有者と抵当権の名義人である金融機関が共同で抵当権抹消登記を行えばよいため、手続き方法は単純です。
しかし、抵当権抹消登記の手続き対象の不動産のすべてが単独名義になっているとは限りません。夫婦や親子が共同で自宅を購入したことにより、夫婦間や親子間の共有名義となっている場合も少なくありません。また、住宅ローンの完済等による抵当権消滅の前後に不動産の所有者が死亡して相続が発生してしまうこともあります。
共有名義の不動産に設定されている抵当権は、単独名義の場合と異なり、共有名義の場合ならではの方法で、抵当権抹消登記の手続きを行うことが可能です。
住宅ローンの完済等による抵当権消滅の前後の時期に不動産の所有者が死亡して相続が発生した場合、不動産の所有者の死亡時期が抵当権消滅時期の前か後かによって、抵当権抹消登記の手続き方法も変わってきます。
【ⅰ.不動産の所有者が共有の場合】
抵当権が設定されている不動産の所有者が共有である場合、不動産登記の手続きルールの原則にしたがうと、共有名義人全員と抵当権の名義人である金融機関が共同で抵当権抹消登記の手続きをしなければならないことになります。しかし、上記原則とは異なり、当ケースの場合、共有名義人のうちの1人が抵当権の名義人である金融機関と共同で抵当権抹消登記の手続きを行うことが可能です(登記研究425・127等)。
保存行為(共有物の現状を維持するための行為)は、共有者のうちの1人が単独でできる旨が法律(民法)上で規定されています(民法252条5項)。不動産に設定されている抵当権の登記を外すことで、当不動産の権利負担がなくなってその価値も維持されるため、抵当権抹消登記は保存行為に当たるとされています。
そのような理由から、共有名義の不動産に設定されている抵当権抹消登記を行う場合、共有名義人の1人だけが関与する形で、抵当権の名義人である金融機関と共同で手続きができるようになっています。
一方、不動産登記の手続きルールの原則どおり、共有名義人全員が関与して、抵当権の名義人である金融機関と共同で抵当権抹消登記の手続きを行うことももちろん可能です。
【共有名義の不動産の抵当権抹消登記の手続き方法比較】
※事例:共有名義人がA,Bの2名の不動産に設定されているC銀行名義の抵当権抹消の登記申請を行う場合
| 共有名義人の1人が抵当権の名義人と共同で登記申請する場合 | 共有名義人全員が抵当権の名義人と共同で登記申請する場合 |
| AまたはBのうちの1人とC銀行の共同申請 | AおよびBとC銀行の共同申請 |
【ⅱ.抵当権消滅時の前後の時期に不動産の所有者が死亡した場合】
住宅ローンの完済等による抵当権の消滅前後の時期に不動産の所有者が死亡して相続が発生した場合の抵当権抹消登記は、以下の方法により手続きを行います。
【抵当権消滅後に不動産の所有者が死亡して相続が発生した場合】
抵当権消滅後に不動産の所有者が死亡して相続が発生した場合、当相続人は抵当権抹消登記請求権を不動産の所有者から承継することになります。そのため、当ケースでは、相続登記をすることなく、不動産の所有者の相続人と抵当権の名義人が共同して抵当権抹消登記の手続きをすることが可能です(登記研究661・225等)。不動産の所有者の相続人が複数名である場合、そのうちの相続人の1人が保存行為により、抵当権の名義人と共同して抵当権抹消登記の手続きを行うことができます。
法改正により、2024年(令和6年)4月1日から相続登記の申請が義務化されたことにともない、不動産の所有者の相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、なおかつ、その所有権を取得した日から3年以内に相続登記の手続きをしなければならなくなりました。
また、所有者から相続した不動産を売却等の処分をする場合、その前提として、相続人を名義人とする相続登記の手続きをしておく必要があります。
そのような理由から、相続登記をすることなく抵当権抹消登記の手続きができる上記のケースにおいても、抵当権抹消登記と併せて相続登記の手続きを済ませてしまうのが通常です。
【抵当権消滅前に不動産の所有者が死亡して相続が発生した場合】
抵当権消滅前に、不動産の所有者が死亡して相続が発生した場合、最初に不動産の所有者の相続登記をした後、抵当権抹消登記の手続きをしなければなりません(登記研究661・225等)。抵当権抹消登記は、相続登記によって名義人となった不動産の所有者の相続人と抵当権の名義人が共同で手続きをします。
団体信用生命保険によって住宅ローンが完済になった場合、この手順により抵当権抹消登記の手続きを行います。
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