NPO法人は、理事3名以上および監事1名以上を当法人の役員として置かなければなりません(NPO15条)。NPO法人の役員で当法人の代表権を有するのは理事になります。そのため、代表権を有する理事の氏名、住所、資格が登記されます。 

 

NPO法人の代表権を有する理事に変更が生じた場合、その都度、登記手続きをしなければなりません。そこで、NPO法人の理事に関する登記について、当法人の役員の特徴と併せてみていくことにします。

 

 

NPO法人の役員の特徴】 

 

NPO法人の役員として、理事と監事が置かれます(NPO15条)。

 

理事は、NPO法人のすべての業務について、当法人を代表するのが原則ですが、定款の規定で理事の代表権を制限することも可能となっています(NPO16条)。一方、監事は、理事の業務執行の状況やNPO法人の財産の状況などを監査する職務を行います(NPO181項、2項)。

 

役員の選任方法は、法律上の規定がないため、定款で定めることになります。たとえば、NPO法人の役員を社員総会で選任する旨を定款で定めた場合、社員総会の決議で役員を選任します。

 

NPO法人の役員の任期は、2年以内において定款で定める期間とされていますが、再任することも可能です(NPO241項)。役員の任期は、2年を超える形で伸長できないのが原則ですが、役員を社員総会で選任する旨の定款規定がある場合、2年を超える形で任期伸長できるケースもあります(NPO法人242項)。

 

また、NPO法人の役員には、欠格事由(NPO20条)、親族等の排除規定(NPO21条)などが設けられています。 

 

破産して復権を得ない者や暴力団の構成員などの者は、欠格事由に該当するため、NPO法人の役員になることができませんNPO20条)。

 

それから、NPO法人の役員につき、親族等の排除に関する以下の二つの規定が設けられていますNPO21条)

  • 役員のうちには、それぞれの役員について、その配偶者若しくは三親等以内の親族が1人を超えて(2人以上)含まれてはならない。
  • 役員のうちには、役員本人とその配偶者および三親等以内の親族の合計人数が、役員総数の3分の1を超えて含まれてはならない。

 

上記二つの規定により、NPO法人の役員総数が5名以下の場合は、その中に各役員の配偶者または三親等以内の親族を1人も含めることができません。たとえば、理事A・B・Cの3名、監事Dの1名、役員総数が計4名のNPO法人があったとします。この状況において、理事Aの配偶者であるEを当NPO法人の理事にしようとした場合、役員総数5名のうちの当2名ということになり、役員総数の3分の1を超えて含まれてしまうため、認められません。

 

NPO法人の各役員の配偶者または三親等以内の親族を新たに役員として加えるには、役員総数が最低6名以上必要となります。

 

【理事の就任に関する登記】 

 

NPO法人の代表権を有する理事として新たに就任したり、任期満了による退任と同時に再任されたりした場合、理事の就任に関する登記を行います。

 

原則として、NPO法人の理事は全員代表権を有するため、定款で代表権を制限していない場合、就任または再任した理事全員を登記しなければなりません。

 

一方、定款で理事の代表権が制限されていて、代表権のない理事が存在する場合、就任または再任した理事のうち、代表権を有する理事のみ登記することになります。

 

たとえば、定款で「理事の互選等で特定の理事を理事長に選定する。」、「理事長は、この法人を代表し、その業務を総理する。」旨の規定が設けられていたとします。このような場合、理事長に選定された理事のみが代表権を有することになります。 

 

もし、定款で上記内容の規定があるNPO法人において、理事にABC3名、監事にD1名が選任され、理事長にAが選定された場合、Aのみを「理事」の資格で登記します。

 

【理事の退任に関する登記】 

 

NPO法人を代表する理事が任期満了や辞任などにより退任した場合、その旨の登記手続きをしなければなりません。

 

NPO法人の理事の任期は、2年以内において定款で定める期間とされているのが原則です。役員を社員総会で選任する旨の定款規定がある場合、2年を超える形で任期伸長できるケースもありますが、あくまで例外規定です。通常は2年以内の期間で理事の任期が満了するため、その都度、退任(再任の場合は重任)登記をすることになります。

 

理事が辞任した場合、その日付で辞任を原因とする退任登記をします。理事の辞任による退任登記の手続きをする際には、辞任届の提出が必要です。法務局に印鑑届出をしている理事が辞任する際に提出する辞任届には、法務局への届出印(NPO法人の実印)または辞任する理事個人の実印を押印しなければなりません。また、辞任届に理事個人の実印を押印している場合、理事個人の印鑑証明書も併せて提出する必要があります。

 

また、理事長である理事のみが代表権を有するNPO法人において、理事長の地位のみ退き、理事の地位にはとどまるケースも、当理事は代表権を失うため、理事の退任登記をしなければなりません。

 

その他、理事が、死亡したり、解任されたりした場合も退任するため、これらの事由が生じた場合も、退任登記をすることになります。

 

【理事の代表権の範囲または制限に関する定めの設定登記】 

 

2012年(平成24年)41日に施行された改正NPO法により、定款による理事の代表権の制限を善意の第三者に主張できない旨の規定が削除されたことにともない、代表権を有する理事のみを登記すればよいことになりました。

 

定款で理事の代表権の一部を制限することも可能(NPO16条但書)ですが、代表権の一部が制限された理事も代表権を有しているため、登記の対象となります。

 

しかし、理事の登記をしただけでは、当理事の代表権の範囲または制限されている事項が不明確であるため、NPO法人と取引をする第三者の安全が図られません。登記されている理事の代表権が制限されている場合、その範囲や制限事項を登記上で公示して明確にしておくことで、NPO法人と取引をする第三者の安全が図られます。

 

そこで、2012年(平成24年)41日に施行された改正NPO法により、NPO法人の登記事項に、「代表権の範囲または制限に関する定めがあるときはその定め」が追加されました。 

 

定款で代表権の一部が制限された理事の登記をする場合、理事の登記の他、当理事の代表権の範囲または制限に関する定めの設定登記も併せてしなければなりません。

 

【理事の住所・氏名の変更登記】 

 

理事の登記事項である住所・氏名に変更が生じた場合、その旨の登記手続きをする必要があります。

 

理事の住所が移転したり、理事の住所地の住居表示の実施・変更がなされたり、行政区画の変更にともなって地番が変更したりした場合、理事の住所の変更登記をします。

 

また、理事が婚姻したり、養子縁組をしたりした場合、理事の氏が変更するため、氏名変更の登記をしなければなりません。理事の婚姻による氏名変更の登記をする際、併せて婚姻前の旧氏の記録申出をすることも可能です。 

→ 婚姻前の旧氏の記録申出についてはこちら

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