一般の相続関連業務

一般の相続業務に関するQ&Aを記載させていただいております。

 

 

 

◆ 業務に関するQ&A

 

 

◆ 相続登記関係

 

Q1.

相続登記の手続きに必要となる戸籍について教えていただけますか?

 

A1.

被相続人(亡くなった人)の相続関係を確認できる範囲の戸籍が必要になります。たとえば、被相続人の相続人が配偶者と子である場合、被相続人の出生から亡くなるまでの期間の除籍謄本や改製原戸籍、配偶者と子の現在戸籍が必要です。

 

→ 相続登記の手続きに必要となる戸籍の詳細についてはこちら

 

Q2.

戸籍にはどのような種類のものがあるのですか?

 

A2.

戸籍には、戸籍謄本、戸籍抄本、除籍謄本、改製原戸籍などがあります。また、戸籍の様式も時の経過とともに何度か変更しています。

 

→ 人の相続関係を証明する戸籍の種類の詳細についてはこちら

 

Q3.

相続登記の手続きをする際、必要となる戸籍を取得できない場合はどうすればよいですか?

 

A3.

破棄または滅失などで戸籍の一部を取得できない場合、その旨の証明書と取得可能な部分の戸籍を提出すれば相続登記の手続きができます。

 

→ 戸籍を取得できない場合の詳細についてはこちら

 

Q4.

相続登記の手続きをする際、戸籍の他に亡くなった人に関する書類を何か提出する必要がありますが?

 

A4.

被相続人(亡くなった人)が、手続き対象の不動産の登記名義人と同一人であることを証明できる書類を提出する必要があります。

 

→ 被相続人と不動産の登記名義人の同一性を証する情報の詳細についてはこちら

 

Q5.

複数の相続人の共有名義とする相続登記を行う場合、相続人全員で手続きをしなければなりませんか?

 

A5.

複数の相続人の共有名義にする相続登記は、そのうちの1人の相続人だけで手続きすることができます。ただ、後のことを考えると、相続人全員で手続きをしたほうがよいでしょう。

 

→ 複数の相続人のうちの1人の相続人による相続登記の手続きの問題点の詳細についてはこちら

 

Q6.

相続人による登記とは、どのような登記ですか?

 

A6.

相続人による登記とは、不動産の所有者が亡くなる前にしていた処分行為の登記がされていない場合、その登記を亡くなった不動産の所有者の相続人が行う手続きをいいます。

 

→ 相続人による登記の詳細についてはこちら

 

Q7.

遠方にある不動産の相続登記の手続きもしていただけますか?

 

A7.

当事務所では、全国の不動産の相続登記手続きを承っております。

 

→ 遠方の不動産の相続登記の詳細についてはこちら

 

A8.

先日、夫が亡くなったので、不動産の名義を夫から妻の私へ変更したいと思います。不動産は夫婦共有名義になっているのですが、どのように手続きをすればよいのですか?

 

Q8.

夫名義の持分を妻名義へ移転する方法で相続登記の手続きを行います。なお、その際に妻の住所変更の登記が必要となるケースもございます。

 

→ 被相続人と相続人が共有している不動産の相続登記の詳細についてはこちら

 

Q9.

相続登記の登記原因証明情報の内容について教えてください。

 

A9.

被相続人と相続人の相続関係を証明する戸籍一式、被相続人の同一性を証明する書類(Q4参照)、遺産分割協議書などの書類が相続登記の登記原因証明情報に該当します。

 

→ 相続登記の登記原因証明情報の詳細についてはこちら

 

Q10.

遺言書による相続登記の登記原因証明情報の内容は、通常の相続登記をする場合と違いがあるのでしょうか?

 

A10.

遺言書が含まれる点、遺言者と不動産の権利を取得する相続人との相続関係を証明できる戸籍のみでよい点が通常の相続登記の場合と異なります。

 

→ 遺言書による相続登記の登記原因証明情報の詳細についてはこちら

 

Q11.

対象土地が農地の場合でも、相続登記の手続きができますか?

 

A11.

土地が農地の場合でも、通常どおり相続登記の手続きをすることが可能です。手続きの際には、農地法の許可書なども必要ありません。また、相続によって農地を取得した場合、その旨を市町村の農業委員会に届出をする必要があります。

 

→ 農地の相続登記の詳細についてはこちら

 

Q12.

相続登記の手続きの際にも印鑑証明書が必要となりますか?

 

A12.

遺産分割協議による相続登記の手続きを行う場合、原則として相続人の印鑑証明書の提出が必要となります。

 

→ 相続登記の印鑑証明書の詳細についてはこちら

 

Q13.

被相続人が自身の所有する不動産の権利(持分)を相続人と相続人以外の人へ承継させる旨の遺言書を残していた場合、どのように手続きをすればよいですか?

 

A13.

相続人への相続登記と相続人以外の人への遺贈の登記の手続きを行います。その際、遺贈の登記を相続登記に先行させて手続きしなければなりません。

 

→ 遺言書に基づく遺贈の登記と相続登記をする必要がある場合の詳細についてはこちら

 

Q14.

被相続人の戸籍上の死亡年月日が「推定年月日死亡」となっている場合、相続登記を行う際、登記記録上、登記原因はどのように記載されるのですか?

 

A14.

相続登記の原因日付は、戸籍の記載どおりとするのが原則です。そのため、登記記録上、原因日付は「推定年月日相続」と記載されます。

 

→ 戸籍に「推定年月日死亡」と記載されている場合の詳細についてはこちら

 

Q15.

相続人全員で法定相続分の共有名義の相続登記をした後、遺産分割協議を行って特定の相続人の単独名義にすることはできますか?

 

A15.

上記の方法によって手続きすることも可能です。ただ、通常の相続登記の場合と手続き方法や必要書類などが異なります。

 

→ 法定相続登記後、遺産分割をした場合の詳細についてはこちら

 

Q16.

相続人のなかに相続放棄をした人がいる場合の相続登記の手続き方法について教えてください。

 

A16.

相続放棄をした相続人以外の相続人全員で遺産分割協議を行ったうえで、相続登記の手続きをすることが可能です。また、その際には、相続放棄者の「相続放棄申述受理証明書」を提出する必要があります。

 

→ 相続放棄をした人がいる場合の相続登記の詳細についてはこちら

 

Q17.

相続人のなかに特別受益者がいる場合の相続登記の手続き方法について教えてください。

 

A17.

特別受益者も相続人なので、特別受益者を含めた相続人全員で遺産分割協議を行ったうえで相続登記の手続きをするのが原則です。

 

ただ、特別受益者が法定相続分以上の特別受益を受けている場合、その者以外の相続人全員で遺産分割協議を行ったうえで相続登記の手続きをすることができます。この場合。特別受益者の「特別受益証明書」を提出しなければなりません。

 

→ 特別受益証明書を使用した相続登記の詳細についてはこちら

 

Q18.

被相続人が亡くなる前に、その法定相続人の1人がすでに亡くなっている場合、どのように相続登記の手続きをすればよいですか?

 

A18.

上記の場合、被相続人が亡くなる前に亡くなった法定相続人の子や孫が代襲して相続人となります。そのため、代襲相続人を含めた被相続人の相続人全員で遺産分割協議を行ったうえで相続登記の手続きをするのが原則です。

 

→ 代襲相続の場合の相続登記の詳細についてはこちら

 

Q19.

被相続人が亡くなった後、その法定相続人の1人が相続登記を行う前に亡くなりました。このような場合、相続登記をどのように行えばよいのでしょうか?

 

A19.

上記の場合、亡くなった法定相続人の相続人全員が、被相続人の相続権を承継します。(このことを数次相続といいます。)そのため、亡くなった法定相続人の相続人全員が、他の法定相続人と遺産分割協議をしたうえで相続登記の手続きを進めていくことになります。

 

→ 数次相続の場合の相続登記の詳細についてはこちら

 

Q20.

法定相続人の1人が他の人へ相続分を譲渡しました。このような場合の相続登記の手続き方法について教えてください。

 

A20.

他の法定相続人へ相続分を譲渡した場合、1回の相続登記の申請で、相続分の譲渡を受けた法定相続人名義にできる場合があります。

 

一方、法定相続人以外の人へ相続分の譲渡をした場合、一度法定相続人全員の共有名義にする相続登記を行ったうえで、相続分の譲渡をした法定相続人から譲渡を受けた人へ持分の権利移転の登記手続きをしなければなりません。

 

→ 相続分の譲渡と登記手続きの詳細についてはこちら

 

Q21.

相続人のなかに相続欠格者がいる場合の相続登記の手続き方法について教えてください。

 

A21.

相続欠格者に該当する相続人を除く相続人全員で遺産分割協議を行ったうえで相続登記の手続きをするのが原則です。その際、相続欠格者が相続欠格に該当していることを証明できる書類を提出しなければなりません。

 

→ 相続欠格者がいる場合の相続登記の詳細についてはこちら

 

Q22.

亡くなった被相続人は、生前住宅ローンを組む際に団体信用生命保険に加入していました。このような場合、被相続人所有の不動産の相続登記の他に何か手続きをしなければならないのでしょうか?

 

A22.

住宅ローンの借入をした人(債務者)が、団体信用生命保険へ加入した後に亡くなった場合、保険会社から保険金が支払われて、残っていた住宅ローンも完済されます。そのため、被相続人所有の不動産の相続登記だけではなく、住宅ローン完済による抵当権抹消登記の手続きもしなければなりません。

 

→ 団体信用生命保険と抵当権抹消の詳細についてはこちら

 

Q23.

相続で取得した土地が森林でした。相続登記をする必要があるかと思いますが、その他に何か手続きが必要ですか?

 

A23.

相続で取得した森林の土地が地域森林計画の対象区域内にある場合、原則として森林の土地の所有者となった旨の届出をする必要があります。

 

→ 森林の土地の所有者届出制度の詳細についてはこちら

 

 

◆ 相続、遺言、遺産分割関係

 

Q1.

相続人のなかに未成年者がいる場合、どのように相続手続きを進めていけばよいですか?

 

A1.

未成年者は法律上、原則として1人で法律行為ができません。そのため、法定代理人である親が代わりに遺産分割協議へ参加して手続きを進めていきます。

 

また、未成年者とその親が双方被相続人の相続人であるとき、お互い相続に対して利害関係が生じる形となります。この場合は、家庭裁判所へ申立を行って特別代理人を選任してもらったうえ、その特別代理人が未成年者を代理して手続きを進めていかなければなりません。

 

→ 相続人のなかに未成年者がいる場合の相続手続きの詳細についてはこちら

 

Q2.

相続人のなかに認知症の人がいる場合、どのように相続手続きを進めていけばよいですか?

 

A2.

家庭裁判所へ申立を行い、成年後見人を選任してもらったうえ、その成年後見人と他の相続人で相続手続きを進めていく必要があります。

 

→ 相続人のなかに成年被後見人がいる場合の相続手続きの詳細についてはこちら

 

Q3.

相続人のなかに行方不明者がいる場合、その人を除いて相続手続きを進めることはできますか?

 

A3.

相続手続きは基本的に相続人全員で行う必要があります。そのため、行方不明者である相続人が生存している限り、その者を含めた相続人全員で相続手続きを進めていかなければならないのが原則です。

 

→ 相続人のなかに行方不明者がいる場合の相続手続きの詳細についてはこちら

 

Q4.

相続人の1人が外国に住んでいます。相続手続きの際、外国に住んでいる相続人の協力が必要でしょうか?

 

A4.

相続手続きは基本的に相続人全員で行う必要があります。たとえ、相続人の1人が外国に住んでいる場合でもその結論は変わりません。

 

また、外国に住んでいる相続人がいる場合、通常の相続手続きのときに必要となる書類の内容も変わってきます。

 

→ 相続人のなかに外国に住んでいる人がいる場合の相続手続きの詳細についてはこちら

 

Q5.

先日、夫を不慮の事故で亡くしました。妻である私は現在妊娠しています。このような場合、私のお腹にいる子は相続人になるのでしょうか?

 

A5.

法律上(民法上)、「相続について胎児は生まれたものとみなす」とされています。そのため、お腹のなかにいらっしゃるお子さまも原則として相続人になります。

 

ただ、実務上、お腹のなかのお子さまがお生まれになってから、遺産分割協議を行ったうえで相続手続きを進めていくのが通常です。

 

→ 相続人のなかに胎児がいる場合の相続手続きの詳細についてはこちら

 

Q6.

遺言書を作成する際に聞くことがある「相続させる旨の遺言」とは何ですか?

 

A6.

相続させる旨の遺言とは、特定の相続人に財産を相続させる内容の遺言をいいます。

 

→ 相続させる旨の遺言の詳細についてはこちら

 

Q7.

相続人全員で遺産分割協議を行う場合、法定相続分どおりに財産を分けなければなりませんか?

 

A7. 

相続人全員で遺産分割協議を行う場合、法定相続分と異なる割合で財産を分けることも可能です。

 

→ 法定相続分と異なる遺産分割の詳細についてはこちら

 

Q8.

夫が妻である私に全財産を相続させる内容の遺言書を残して亡くなりました。しかし、私は夫の相続財産の一部を子に相続させたいと考えています。このような場合、遺言書の内容と異なる形で夫の相続財産を各相続人に相続させることができるのでしょうか?

 

A8.

相続人全員の同意があれば、原則として遺言書の内容と異なる内容の遺産分割協議を行って、相続財産を各相続人に相続させることができます。

 

→ 遺言書の内容と異なる遺産分割の詳細についてはこちら

 

Q9.

先日、私の父が遺言書を残して亡くなりました。父の遺言書には、母に相続財産を全部相続させる旨の内容が記載されています。しかし、母は父が亡くなる前にすでに亡くなっています。この場合、どのように相続手続きを進めればよいのでしょうか?(父と母の子は私1人です。)

 

A9.

法律上(民法上)、遺言者が亡くなる前に受遺者(遺言で権利を受ける人)がすでに亡くなっている場合、その部分の内容においては、原則として無効となります。そのため、無効となった部分の権利は、遺言者の相続人である子(ご質問者さま)に帰属します。

 

ただ、遺言書に別段の定め(受遺者が遺言者よりも前に亡くなっていたときに権利を承継する受遺者の定め)がある場合、その定められた受遺者に権利が帰属します。

 

→ 遺言で権利を受ける人がすでに亡くなっている場合の詳細についてはこちら

 

Q10.

認定死亡とはどのようなことですか?

 

A10.

認定死亡とは、人の死亡を直接確認できないときでも、状況から判断して死亡していることがほぼ確実である場合、その人の死亡を認定する制度です。死亡の認定がなされるとその人は死亡したものと推定されるので、相続の発生原因にもなるのが原則です。

 

→ 認定死亡の詳細についてはこちら

 

Q11.

戸籍上に、「高齢者につき死亡と認定」の旨とその許可年月日が記載されていますが、これはどのようなことなのでしょうか?

 

A11.

ご質問の戸籍の記載内容ですが、これは高齢者職権消除がされたことを示しています。高齢者職権消除とは、年齢が100歳以上で生存している可能性がきわめて低い高齢者の戸籍を、行政側が職権で抹消する措置のことをいいます。

 

高齢者職権消除がされた戸籍の対象者は、死亡したと扱われるわけではありません。そのため、この措置がされた場合でも、それだけでは戸籍の対象者の相続手続きができるようになるわけでもありません。

 

→ 高齢者職権消除の詳細についてはこちら

 

Q12.

被相続人が亡くなる前にその孫や子の配偶者と養子縁組をしていた場合、被相続人の孫や子の配偶者は複数の相続資格を取得する場合があるかと思います。

 

このような場合、複数の相続資格を取得した相続人の相続分はどのようになるのでしょうか?

 

A12. 

複数の相続資格を取得した相続人の属性によって、複数の相続資格の相続分を取得するケースと取得しないケースがあります。

 

→ 相続資格が重複する場合の相続分の詳細についてはこちら

 

Q13.

借地上にある建物を相続しました。どのような相続手続きが必要になるのでしょうか?

 

A13.

借地上にある建物を相続した場合、建物とその敷地の借地権に関する手続きが必要になります。建物は相続登記をして名義変更を行い、敷地の借地権は相続によって取得した旨を地主へ通知して行うのが通常です。

 

→ 建物と借地権を相続した場合の相続手続きの詳細についてはこちら

 

Q14.

相続の開始原因について教えてください。

 

A14.

相続の開始原因は、通常の死亡の他、失踪宣告や認定死亡があります。

 

→ 相続の開始原因の詳細についてはこちら

 

Q15.

現物分割とはどのような遺産分割の方法ですか?

 

A15.

現物分割とは、相続財産をそのままの状態で分割する方法のことをいいます。相続財産のほとんどが現金や預貯金である場合など、そのままの状態で相続人の相続分にしたがって分割できるときに適した方法です。

 

→ 現物分割の詳細についてはこちら

 

Q16.

代償分割とはどのような遺産分割の方法ですか?

 

A16.

代償分割とは、特定の相続人が特定の相続財産を単独で取得する代わりに、他の相続人へ現金や財産を渡して行う分割方法のことをいいます。不動産など分割しにくい財産が相続財産のなかに含まれている場合、この方法によって遺産分割を行うことが多いです。

 

→ 代償分割の詳細についてはこちら

 

Q17.

換価分割とはどのような遺産分割の方法ですか>

 

A17.

換価分割とは、相続財産を処分して換価した後、その現金を各相続人が相続分に応じて取得するという遺産分割の方法です。

 

換価分割は、相続人全員で公平に分割をしたい場合に適した分割方法です。また、相続財産のなかに分割しにくい財産が含まれていて、なおかつ代償分割の方法を利用するのが難しいときも、この方法によって遺産分割が行われます。

 

→ 換価分割の詳細についてはこちら

 

Q18.

一度成立した遺産分割協議の内容を変更したいと考えています。一度成立した遺産分割協議を解除することはできるのでしょうか?

 

A18.

相続人全員の合意があれば、遺産分割協議を解除することは可能です。ただ、その後、再分割を行った場合、贈与税や譲渡所得税の課税対象となることがあるので注意が必要です。

 

→ 遺産分割協議の解除の詳細についてはこちら

 

Q19.

先日亡くなった夫から遺言書を作成したことを聞かされていたので、その遺言書の内容に基づいて相続手続きを進めることにしました。しかし、その遺言書が見当たりません。夫が残した遺言書を探す方法はありますか?

 

A19.

公正証書遺言によって作成された遺言書である場合、「遺言検索システム」を利用して探すことが可能です。一方、自筆証書遺言で作成された遺言書である場合は、保管されていた場所を当たって、地道に探すしかありません。

 

→ 被相続人の残した遺言書の探し方の詳細についてはこちら

 

Q20.

法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子と法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子の相続分が同じになったと聞きましたが?

 

A20.

以前は、法律上(民法上)、非嫡出子(法律上の婚姻関係になる男女の間に生まれた子)の相続分は、嫡出子(法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子)の2分の1とされていました。

 

しかし、2013年の最高裁判所の判決で、上記規定は憲法14条の法の下の平等に反するので違憲と判断されました。それにともなって、非嫡出子の相続分と嫡出子の相続分は等しくなっています。

 

→ 嫡出子と非嫡出子の相続分の詳細についてはこちら

 

 

◆ 法定相続情報証明、遺産承継業務関係

 

Q1.

法定相続情報証明制度というものができたと聞きました。どのような制度なのか教えてください。

 

A1.

法定相続情報証明制度とは、被相続人の法定相続関係を法務局に証明してもらう制度です。相続人が法務局へ申出をした後、法務局側で被相続人の法定相続関係が確認されると、認証文つきの法定相続情報一覧図の写しを発行してもらえます。

 

そして、各種相続手続きは、被相続人の法定相続関係を証明できる戸籍一式の代わりに認証文つきの法定相続情報一覧図の写し1通を提出して行うことができるようになりました。

 

→ 法定相続情報証明制度の詳細についてはこちら

 

Q2.

預貯金の相続手続きはどのように行えばよいですか?

 

A2.

預貯金の相続手続きは、原則として、被相続人が生前に取引していた金融機関に相続関係の書類を提出して行います。

 

→ 預貯金の相続手続きの詳細についてはこちら

 

Q3.

株式や投資信託などの金融商品の相続手続きについて教えてください。

 

A3.

被相続人が生前に株式や投資信託を購入していた金融機関(証券会社など)へ相続関係の書類を提出して相続手続きを行うのが原則です。

 

また、株式や投資信託などの金融商品の相続手続きは、被相続人の口座から相続人の口座へ移管する方法で行います。そのため、相続人が証券会社の口座を保有していない場合、事前に相続人名義の口座を開設しなければなりません。

 

→ 株式の相続手続きの詳細についてはこちら

 

→ 投資信託の相続手続きの詳細についてはこちら

相続登記の手続きに必要となる戸籍について

相続が発生すると、亡くなった人の所有していた財産が、相続人へ包括的に承継されるのが原則です。

 

亡くなった人が土地や建物などの不動産を所有していた場合、その不動産の名義を亡くなった人から相続によって取得する相続人へ変更する手続きをしますが、これを相続登記といいます。

 

相続登記の手続きをするためには、登記申請書と一緒にいくつかの書類を添付するのですが、そのなかの一つに戸籍があります。戸籍には、亡くなった旨など人に関する身分に関する事項がいろいろ記載されています。そのため、戸籍によって亡くなった人の相続関係を正確に把握できることから、これを添付することで、実体関係に沿った登記手続きができるのです。

 

戸籍が相続登記の添付書類とされているのは、このような理由があります。

 

→ 相続登記の必要書類についてはこちら

 

 

相続登記の手続きに必要は戸籍は、以下のとおりです。

 

 

 

※ 被相続人(亡くなった人)に関する戸籍

 

 

@ 被相続人の相続人が子の場合

 

 

被相続人の相続人である子を全員確定させる必要があるので、被相続人の出生から亡くなるまでの期間の除籍謄本や改製原戸籍が必要になります。(ただ実際は生殖能力のある年齢までのものがあればよいということになっています。)

 

 

 

A 被相続人の相続人が親の場合

 

 

被相続人に子や孫などの直系卑属がいない場合、被相続人の親などの直系尊属が相続人になります。そのため、この場合も被相続人に子や孫などの直系卑属がいないことを確認する必要があるので、@と同様の除籍謄本や改製原戸籍が必要になります。

 

 

B 被相続人の相続人が兄弟姉妹の場合

 

 

被相続人に子や孫の直系卑属だけでなく、親などの直系尊属もいない場合、被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。そのため、@と同様の除籍謄本や改製原戸籍だけでなく、親などの直系尊属が亡くなっていることと、被相続人の兄弟姉妹の全員を確定させるために被相続人の親の出生から亡くなるまでの除籍謄本や改製原戸籍が必要です。

 

また、被相続人の子や兄弟姉妹が被相続人が亡くなる前にすでに亡くなっていた場合には、代襲相続が生じることになります。このような場合、亡くなった子や兄弟姉妹の出生から亡くなるまでの除籍謄本や改製原戸籍が必要になるので、さらに必要な戸籍の量が多くなります。

 

 

 

※ 相続人になる人の戸籍

 

 

被相続人の相続人になる人の戸籍については、現在の戸籍抄本のみとなります。これは、被相続人の戸籍に記載されている相続人の記載事項と相続人の現在の戸籍抄本をあわせて見れば、相続人の同一性や親子関係、兄弟関係がわかるからです。

 

 

相続登記の手続きをするとき、場合によっては必要な戸籍の量が膨大になることもあります。しかし、このような場合でも当事務所へ相続登記のご依頼をいただけば職権で取得することができますので、それほど心配する必要はございません。

 

また、2017年5月29日より、全国の法務局で法定相続証明情報制度が始まりました。相続登記をする際、上記の被相続人と相続人の戸籍に代えて、この制度を利用して法務局から交付を受けた法定相続情報一覧図を提出して手続きできるようになっています。

 

→ 法定相続情報証明制度についてはこちら

人の相続関係を証明する戸籍にはどのような種類のものがあるか

相続登記の手続きをするためには、亡くなった人(被相続人)の相続関係を証明するための戸籍が必要になります。

 

 

→ 相続登記の手続きに必要となる戸籍についてはこちら

 

 

 

人の相続関係を証明するために必要となる戸籍には、以下の種類のものがあります。

 

 

※  戸籍謄本、戸籍抄本

 

 

戸籍謄本とは、現在の戸籍で請求の対象となる戸籍に入っている人全員の名前が載っている証明書のことを言います。

 

これに対して、戸籍抄本とは、現在の戸籍で請求の対象となる戸籍に入っている一部の人の名前が載っている証明書のことを言います。

 

 

※  除籍謄本

 

 

除籍謄本とは、人が死亡したり、結婚をしたりして戸籍に記載されている人全員が除かれてしまった戸籍のことを言います。

 

 

※  改製原戸籍

 

 

改製原戸籍とは、法令の改正によって戸籍の様式に変更があった場合、その変更する前の戸籍のことを言います。

 

 

 

次に、これまで戸籍の様式も何度か変更がありましたが、その種類は以下のとおりです。

 

 

※  明治5年式戸籍(編製期間 明治5年から明治19年)

 

 

この戸籍は、人の身分に関する証明というよりも人の所在を把握するために設けられたもので、記載内容の一部は公にするのに適さないものも含まれています。

 

また、現在においてはこの戸籍は保存期間が経過してしまっているので請求することはできません。

 

 

 

※  明治19年式戸籍(編製期間 明治19年から明治31年)

 

 

現在の戸籍の本籍欄に相当する部分が、住所欄として設けられており、本籍が住所として取り扱われています。

 

また、他の年代の戸籍の様式に比べて一人一人の記載事項欄が小さいのが特徴です。

 

 

 

※  明治31年式戸籍(編製期間 明治31年から大正3年)

 

 

記載事項として、「戸主と為りたる原因及び年月日」が新たに加わったので、戸籍がいつ編製されたのかわかりやすくなっています。さらに、戸主の記載事項が広くなりました。

 

また、本籍欄が屋敷番号から地番号になり、大正3年の戸籍の様式の変更後もこの様式の戸籍の効力が認められ、そのまま昭和23年戸籍が編製されるまで使用されたものもあります。

 

 

 

※  大正4年式戸籍(編製期間 大正4年から昭和22年)

 

 

戸主の記載事項がさらに広くなり、昭和31年式戸籍の編製の時に記載されるようになった「戸主と為りたる原因及び年月日」の欄が廃止され、代わりに戸主の記載事項欄に記載されることになりました。

 

また、昭和23年の戸籍の編成後も、新法が施行されてから10年経過して改製されるまで戸籍としての効力が認められました。

 

 

 

※  昭和23年式戸籍とコンピュータ化した戸籍(編成期間 昭和23年から現在)

 

戦後に民法が改正されて、従来の制度であった「家制度」の廃止に伴い、1つの戸籍に夫婦とその子が入ることになり、その他の家族は別々の戸籍となり、1つの戸籍に入る人数が大幅に減りました。

 

また平成6年の戸籍法の改正により、法務大臣の指定を受けた市区町村はコンピュータ化した戸籍が発行されるようになりました。

戸籍を取得できない場合について

相続登記の手続きをする場合、亡くなった人(被相続人)の相続関係を証明するための戸籍を取得しなければならないのが原則です。

 

しかし、場合によっては、相続登記の手続きに必要な戸籍をすべて取得できないケースもあります。

 

なぜなら、戸籍に記載されている全員が亡くなって除籍されてから一定期間経過すると、その戸籍は破棄されてしまうからです。

 

また、場所によっては昔の戦争による火災や震災などの自然災害で、役所に保存されていた戸籍が滅失していることもあります。

 

そこで、相続登記をする際、このようなときはどのようにすればよいのでしょうか。

 

平成28年3月11日法務省民二第219号の通達では、取得可能な戸籍や除籍などに加えて、「破棄処分または滅失により除籍謄本を交付できない」旨の市区町村長の証明書を提出すれば、相続登記をして差し支えないという見解が示されています。

 

そのため、破棄処分や滅失などで被相続人の出生から死亡までの期間の戸籍の一部が取得できない場合、上記の書類があれば相続登記の手続きをすることが可能です。

被相続人と不動産の登記名義人の同一性を証する情報

相続登記の手続きをする際、不動産の登記名義人である被相続人が亡くなったことを証明するために戸籍を添付することになります。しかし、戸籍には本籍、氏名は記載されているものの住所が記載されておりません。

 

一方、不動産の登記情報にはその名義人となっている人の住所と氏名が記録されています。そのため、戸籍を添付しただけでは、住所と氏名を一致させることはできません。

 

そのようなことから、相続登記をする場合、戸籍に記載されている被相続人と不動産の登記名義人が同じ人物であることを証明する必要があるのです。具体的には、除かれた住民票(除票)を被相続人と不動産の登記名義人の同一性を証する情報として提供することになります。

 

除票には、住所の他に本籍が記載してもらうことができます。そのため、除票があれば、不動産の登記名義人と戸籍の記載されている被相続人が同じ人物だということを証明できるのです。

 

 

また、被相続人が亡くなったときの住所とその不動産を登記情報に記載されている住所が相違している場合、その住所間のつながりを証明しなければなりません。このような場合、複数の除票または戸籍の附票を添付して住所をつなげることになります。

 

しかし、除票や戸籍の附票は保存期間があり、除かれてから一定の期間が経過してしまうと破棄されてしまうのが原則です。保存期間の経過により破棄されてしまうと、これらの書類を取得できなくなってしまいます。

 

もし、このような状況になった場合、除票や戸籍の附票に代わりに以下のものを添付することによって対応することになります。

(お手続きをする法務局によって必要となる書類が変わってきます)

 

・登記名義人の登記情報上の住所に被相続人の本籍、住所がない旨の証明書である不在 籍、不在住

 証明書

・不動産の権利を取得した時に発行された権利証又は登記識別情報

・相続人全員の記名押印(実印)のある被相続人の同一性を証明する上申書及び相続人全員の印鑑素

 証明書 

 

 

相続が発生してから長期間経過した後に相続登記の手続きをする際、少し手続きに手間がかかってしまう場合もあります。そのようなことから、相続登記の手続きはなるべく早めに済ませてしまったほうがよいでしょう。

複数の相続人のうちの1人の相続人による相続登記の手続きの問題点

相続登記をする際、被相続人が所有していた不動産を1人の相続人が単独で相続することもあれば、複数の相続人が相続することもあります。


もし、1人の相続人が単独で相続するのであれば、相続登記の申請もその相続人が単独で行います。これに対して、複数の相続人が相続する場合、その複数の相続人全員が相続登記の申請人になるのが原則です。

 

しかし、相続登記の申請手続きは、民法252条但書による保存行為と解されています。そのため、複数の相続人名義の相続登記を行うときでも、そのうちの1人の相続人だけで手続きをすることができます。

 

ただ、この場合、必ず複数の相続人全員の共有名義にしなければなりません。申請人となる相続人の持分のみの相続登記はできないことになっています。なぜなら、これを認めてしまうと、被相続人と相続人が共有している形を作り出してしまうからです。

 

 

また、複数の相続人名義の相続登記を保存行為によって行った場合、その後に問題が生じてしまうこともあります。

 

相続登記を申請すると登記名義人に対して登記識別情報が発行されますが、その対象はあくまで登記申請人となった人だけです。そのため、保存行為によって複数の相続人名義の相続登記を申請すると、申請人となった1人の相続人に対してのみ登記識別情報が発行され、その他の登記名義人となった相続人に対しては発行されません。

 

上記の形で複数の相続人名義にした不動産を売買しようとする場合、相続登記の申請人以外の相続人は、売買の登記の際に登記識別情報を提供できません。そのため、代替の方法で登記手続きをしなければならなくなってしまうのです。代替の方法で登記手続きを行うと、余計な費用がかかってしまったり、手続きが少し面倒になったりしてしまうなどのデメリットが生じます。


→ 事前通知制度についてはこちら

→ 資格者代理人による本人確認情報制度についてはこちら

 

そのようなことから、複数の相続人名義の相続登記をする場合、なるべく登記名義人となる相続人全員が申請人になって手続きをしたほうがよいでしょう。

相続人による登記とは

相続に関する登記手続きというと、まず相続登記があげられるでしょう。しかし、その他、相続が発生した際に相続人が登記申請手続きに関わる相続人による登記があります。

 

相続人による登記とは、亡くなった不動産の所有者が生前に処分行為だけをしていて登記手続きをしていない状態である場合、その処分行為を原因とする登記手続きを亡くなった不動産の名義人の相続人が行うというものです。

 

相続人による登記をする場合、通常の不動産の処分行為に関する登記手続きに必要な書類の他、亡くなった不動産の名義人とその相続人の関係をする相続証明書(戸籍など)が必要になってきます。

 

 

そこで、不動産の処分行為の1つである売買の相続人による登記についてみていきましょう。売買の登記を相続人による登記で行う場合、売主が亡くなったときと買主が亡くなったときでその手続きの方法が少し違うので注意が必要です。

 

 

※  売主が亡くなった場合

 

この場合、亡くなった売主の相続人全員が登記手続きに関与する必要があります。そのため、登記手続きをする際に必要となる相続証明書も、相続登記の手続きを行うときと同様に被相続人の相続人全員を証明できるものが必要になります。

 

→ 相続登記の手続きをするときに必要な戸籍についてはこちら

 

また、法定相続情報証明制度の利用により、法務局から交付を受けた法定相続情報一覧図の写しを被相続人と相続人全員の戸籍に代えて提出することも可能です。

 

→ 法定相続情報証明制度についてはこちら

 

 

※  買主が亡くなった場合

 

この場合は、亡くなった買主の相続人の1人が申請人となって手続きできます。登記手続きをする際に必要となる相続証明書も、被相続人と登記申請に関与する相続人の相続関係が証明できる戸籍だけで十分です。

 

ただ、不動産の権利を取得したのはあくまで被相続人です。そのため、登記手続きをする際、必ず被相続人名義にしなければなりません。

遠方の不動産の相続登記について

不動産の相続が発生したときに行う相続登記は、不動産登記手続きの1つになります。不動産登記の手続きをする場合、その対象となる不動産の所在地を管轄する法務局に登記申請書と必要書類を提出して行わなければなりません。たとえば、埼玉県の狭山市、所沢市、入間市を所在地とする不動産の登記手続きをする場合、所沢の法務局へ登記申請の手続きをすることになります。


しかし、相続登記の対象となる不動産の所在地が必ずしもご自宅の近辺であるとは限りません。相続登記の対象不動産の所在地が、自宅からかなり離れているというケースもあります。このような場合、自宅から遠方にある法務局へ相続登記の申請手続きをしなければなりません。

 

一昔前までは法務局まで足を運んで申請をする必要がありました。そのため、遠方にある不動産の相続登記を行う際、現地まで出向いて申請手続きをしたり、現地の司法書士の方に代理申請をお願いしたりして対応していたのです。しかし、インターネットや郵送の方法で登記手続きが可能となって以降、そのような手間がなくなりました。


したがって、自宅から遠方にある不動産の相続登記をする場合でも、ご自宅の近くの司法書士へご依頼すれば問題ありません。

 

当事務所においても、狭山市、入間市、所沢市など当事務所に近辺にある不動産だけでなく、全国の不動産の相続登記を行っております。これまで何度も北海道や九州にある不動産の相続登記のお手続きをさせていただいております。遠方にある不動産の相続登記の手続きをご希望の方でも安心してご依頼ください。

被相続人と相続人が共有している不動産の相続登記について

甲区(所有権に関する事項)

 

順位番号  登記の目的  受付年月日  登記原因  権利者その他事項

 

1         所有権保存  省略                  共有者 

                                                                       住所 省略

                                            持分2分の1 A

                                            住所 省略

                                            持分2分の1 B 

 

※  表題部省略  乙区の権利事項はありません。

 

 

上記のような形でAB夫婦(Aの子はC一人とします)が自宅となる不動産を共有で所有しているとします。このような場合、Aが亡くなって相続人であるBとCで遺産分割協議を行い、BがAの持分所有権を単独で相続することになったとき、Aの持分をBへ移す相続登記をします。

 

しかし、上記の相続登記をする際、亡くなったAの最後の住所とBの現在の住所が登記情報に記載されている住所と相違している場合もあります。このようなとき、相続登記をする前に住所変更の登記をする必要があるのかという疑問が出てきます。

 

 

→ 住所変更の登記についてはこちら

 

→ 相続登記についてはこちら

 

 

この場合、被相続人であるAについては住所変更の登記をする必要はありません。なぜなら、被相続人の登記情報上の住所と亡くなったときの住所が相違していても、そのつながりを証明できる除票や戸籍の附票を添付すれば、そのまま相続登記ができるからです。

 

 

→ 被相続人と不動産の登記名義人の同一性を証する情報についてはこちら

 

 

一方、Bについては、相続登記の手続きをする前に住所変更の登記をしておいたほうがよいでしょう。

 

なぜなら、Bの住所変更の登記の手続きをしないで相続登記の手続きをしてしまうと当初Bが不動産の権利を取得した際に登記した住所と今回相続によって不動産の権利を取得したときに登記した住所が相違してしまうからです。それにより、同じBでも別の人物として扱われ、登記情報上の「権利者その他事項」のところにも「所有者」ではなく「共有者」として登記されてしまいます。

 

これに対し、相続登記の手続きをする前に住所変更の登記をしておけば、当初Bが不動産の権利を取得した際に登記した住所と今回相続によって不動産の権利を取得した際に登記した住所が同じになります。その結果、名義人となる2つのBは同一人物として扱われ、権利者その他事項のところにも「所有者」として登記されるのです。

 

 

そのようなことから、当事務所でもこのようなとき、A持分をBへ移す相続登記をさせていただく前に住所変更の登記をさせていただいております。

相続登記の登記原因証明情報について

不動産登記を申請をする際、一定の例外を除いて登記原因証明情報を添付しなければなりません。登記原因証明情報とは、登記原因となった事実又は法律行為によって権利が変動したことを証明する情報のことです。


→ 登記原因証明情報についてはこちら

 

 

不動産登記は、権利を取得する人と権利を失う人が共同して申請手続きを行います。権利を失う人が登記手続きの関与することで登記の真正を担保することが可能です。そのようなことから、不動産登記を共同で申請する場合に提供する登記原因証明情報は、登記原因となった事実又は法律行為によって権利が変動したことを報告的に記載した書面でよいことになっています。


一方、相続登記の場合、名義人である被相続人はすでに亡くなっているため、共同申請の方法で登記手続きできません。したがって、権利を取得した相続人が単独で登記申請手続きを行います。単独申請という形で行う相続登記は、手続きをする際、登記の真正が担保されない状況となります。そのため、相続登記の際には、より証明力の強い書類を登記原因証明情報として提供しなければならないのです。具体的には、市区町村長その他公務員が職務上作成した書面が必要になってきます。

 

相続登記の際に登記原因証明情報として提供する市区町村長その他公務員が職務上作成した書面とは、被相続人が亡くなった旨とその相続人全員を証明する戸籍一式です。

 

→ 相続登記の手続きに必要となる戸籍についてはこちら

 

ただ、法定相続情報証明制度により、法務局から交付を受けた法定相続情報一覧図を写しを、被相続人と相続人全員の戸籍の代わりに提出することも可能です。

 

→ 法定相続情報証明制度についてはこちら

 

それから、遺産分割協議によって権利を取得する人を定めた場合は、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書(有効期限はありません)も相続登記の登記原因証明情報の一部として提供する必要があります。

 

さらに、実務上では被相続人と不動産の登記名義人の同一性を証する書面も添付することになります。

 

→ 被相続人と不動産の登記名義人の同一性を証するについてはこちら

 

 

その他、相続人のなかに相続放棄をした人がいたり、相続分の譲渡があったりした際、これらの事情があったことを証明する書類が必要になります。その書類が私文書の場合、原則として実印を押印して印鑑証明書(有効期限はありません)も提供しなければなりません。

遺言書による相続登記の登記原因証明情報について

遺産分割協議による場合や法定相続による相続登記の登記原因証明情報として、どのような書類が必要になるのかにつきましてはこの前の記事に記載させていただきました。

 

→ 一般の相続登記の登記原因証明情報についてはこちら

 

 

それでは、遺言書による相続登記をする際、どのような書類を登記原因証明情報として提供しなければならないのでしょうか。遺言書による相続登記をするために必要な登記原因証明情報としてまずあげられるのが遺言書です。


遺言書が公正証書遺言の場合は遺言書の謄本を提供すればよいのですが自筆証書遺言の場合は、原則として、検認手続きをしたことの証明書が合綴されたものが必要となります。自筆証書遺言書を提供して遺言書による相続登記をする場合、原則として、あらかじめ家庭裁判所で検認手続きを受けなければいけないからです。


→ 遺言書の検認手続きについてはこちら

 

それから、被相続人が亡くなった旨と遺言によって権利を取得する人が相続人であることを証明できる戸籍も登記原因証明情報の一部として提供しなければなりません。しかし、一般の相続登記とは必要となる書類の内容が少し変わります。

 

一般の相続登記では、亡くなった人の相続人全員を証明するためのものが必要となります。これに対して、遺言書による相続登記では、権利を取得する人が被相続人の相続人であることを証明できるもので十分です。

 

そのため、親が亡くなって相続人である子の一人が遺言書に基づいて権利を取得する場合、死亡年月日が記載されている亡くなった親の除籍と権利を取得する相続人の戸籍謄本(抄本)のみとなります。

 

その他、一般の相続登記と同様に被相続人と不動産の登記名義人の同一性を証する書面が必要になります。

 

→ 被相続人と不動産の登記名義人の同一性を証する書面についてはこちら

農地の相続登記について

土地のなかにもいろいろな種類がありますが、そのなかの1つに田や畑など耕作の目的に供される農地があります。売買や贈与により農地の所有権を移転する場合、農地法の許可を受けなければなりません。そのため、農地を売買や贈与を原因によって所有権移転登記をする際、農地法の許可書を提供して申請手続きを行います。

 

しかし、相続を原因として農地の所有権移転登記をする場合、上記とは異なり、農地法の許可を受ける必要がありません。そのため、農地の相続登記をする場合には農地法の許可書も必要ないので、通常の場合と同様に手続きをすることができます。

 

相続登記には、遺産分割協議をして行う方法、法定相続によって行う方法、遺言書に基づいて行う方法がありますが、いずれの場合も「相続」を原因として農地の所有権移転登記をする場合、農地法の許可は必要ありません。

 

ただ、遺言書に基づいて農地の所有権移転登記をする際、その内容が相続人以外の人へ特定遺贈するというものである場合は、農地法の許可を受ける必要があります。そのため、農地を相続人以外の人へ特定遺贈をする内容の「遺贈」を原因とする所有権移転登記をするときは、農地法の許可書を提供しなければなりません。

 

また、2009年の農地法の改正により、農地を相続してその権利を取得した人は農地のある市町村の農業委員会にその届出をしなければならないことになりました。農業委員会側で、相続によって農地の権利を取得した人を把握できるようにするためにこのような制度が設けられたのです。

 

農業委員会への届出は、原則として被相続人の相続を知った日から10ヶ月以内にしなければなりません。届出をする際、登記完了後の登記事項証明書(登記簿謄本)のコピーを届出書と一緒に農業委員会へ提出することになります。

 

この届出は、本人だけでなく、代理人によって行うことも可能です。当事務所で農地の相続登記のご依頼をいただいた場合、あわせてこの届出のお手続きを代行させていただいております。

 

 

また、2012年4月以降に森林の土地の所有者となったとき、一定の場合に届出が必要になりました。

 

→ 森林の土地の所有者届出制度についてはこちら

相続登記の印鑑証明書について

相続登記の手続きの方法には、いくつかの方法があります。

 

→ 相続登記の手続きの方法についてはこちら

 

相続登記をする際、遺言書の内容に基づいて行ったり、法定相続によって相続人全員の共有名義にしたりすることもありますが、遺産分割協議をしたうえで申請手続きを行うケースが最も多いといえるでしょう。

 

そして、遺産分割協議をしたうえで相続登記を行う場合、遺産分割協議書を作成して、この書面を登記申請の際に提出しなければなりません。相続登記の際に提出する遺産分割協議書には、登記名義人となる申請人以外の相続人全員の実印を押印する必要があります。さらに、前記の相続人全員の印鑑証明書も提出しなければなりません。

 

ただ、遺産分割協議書は相続登記以外の相続手続きの際にも使用します。相続登記以外の相続手続きをする際(例、預貯金や金融資産の相続手続き)、提出する遺産分割協議書には相続人全員の実印を押印することが求められ、さらには相続人全員の印鑑証明書を提出しなければならないのが通常です。そのようなことから、相続手続きをする際に作成する遺産分割協議書には、相続人全員の実印を押印し、相続人全員の印鑑証明書を用意しておいたほうがよいでしょう。

 

 

また、相続登記を申請するときに提出する印鑑証明書には、発行期限があるのか否かも気になるところです。不動産登記の申請をする際に提出しなければならない印鑑証明書のなかには、発行から3ヶ月以内という期限が設けられているものも多いです。

 

→ 不動産登記の手続きに必要な印鑑証明書についてはこちら

 

 

しかし、相続登記の際に提出する相続人の印鑑証明書には、上記のような発行期限は設けられていません。そのため、発行から3ヶ月を経過しているものであっても、手続きに使用できます。

 

 

それから、相続登記の際に提出する相続人の印鑑証明書は、原本還付が可能であるのも特徴の1つです。原本還付とは、法務局へ書類の原本とコピーを同時に提出し、手続き終了後に原本を返却してもらうことをいいます。

 

売買や贈与を原因とする所有権移転登記をする場合、売主や贈与者など権利を失う側の人の印鑑証明書を提出しなければなりません。このときに提出する印鑑証明書は必ず原本でなければなりませんが、それとは異なります。

相続人の中に未成年者がいる場合

相続が発生した際、被相続人が遺言書を残していない場合、相続人全員で遺産分割協議をして相続する財産を決めていくケースが多いです。ただ、相続人の中に未成年者がいる場合、通常と同じような形で遺産分割協議ができません。なぜなら、未成年者は自身で遺産分割協議に参加できないからです。

 

遺産分割協議は法律行為にあたります。人が法律行為をするには、意思能力や行為能力がなければならないのが原則です。20歳未満の未成年者は、法律上、行為能力はないとされています。そのため、法律行為である遺産分割協議に自ら参加できないのです。


そこで、相続人の中に未成年者がいるとき、どのような形で遺産分割協議を行えばよいのかについてみていきます。




@ 特別代理人を選任して遺産分割協議をする



行為能力のない未成年者が法律行為をしようとする場合、法定代理人である未成年者の親が代わりに手続きするのが通常です。そのようなことから、未成年者の代わりにその親が法定代理人として遺産分割協議に参加して相続手続きを進めればよいのではとも考えられます。

 

しかし、親などの法定代理人が未成年者を代理して遺産分割協議に参加すると、好ましくない問題が生じます。父親が亡くなり、母親と未成年の子が相続人である事例で考えてみましょう。この場合、母親が未成年の子を代理して遺産分割協議をすることになるので、事実上、母親は自分1人で協議内容を決められてしまいます。それにより、未成年の子に不利な内容の遺産分割協議がされてしまい、その利益を害される可能性(利益相反の問題)が出てきてしまうのです。

 

遺産分割協議に参加する相続人に未成年の子とその親がいるとき、上記のような問題が生じないように、親の未成年の子に対する代理権は制限されます。そのため、原則として親は、未成年の子の法定代理人として遺産分割協議に参加できません。このような場合、家庭裁判所へ申立てをして、特別代理人を選任してもらいます。

 

→ 特別代理人選任申立の手続きについてはこちら


そして、選任された特別代理人が、未成年の子を代理して遺産分割協議をするのです。遺産分割協議書への署名捺印も、特別代理人が未成年の子に代わって行います。


一方、相続人が未成年の子とその親である場合でも、利益相反の問題が生じないときは、家庭裁判所で特別代理人を選任してもらう必要はありません。たとえば、親が相続放棄をして、相続人が未成年の子1人になるケースです。この場合は、親が未成年の子の法定代理人として相続手続きをすることができます。




A 相続人に未成年の子が複数人いる場合



母親と2人の未成年の子が相続人である場合、上記@の事例と同じような形で手続きをすることができるのでしょうか。このケースにおいても、遺産分割協議をする際、母親と2人の未成年の子は利益相反の関係になります。そのため、遺産分割協議をするには、家庭裁判所で特別代理人を選任してもらう必要があります。ただ、原則として2人の未成年の子にそれぞれ1人ずつ特別代理人を選任しなければならない点が上記@の事例と違う点です。


一方、母親が相続放棄をして2人の未成年の子だけが相続人になった場合、1人の特別代理人を選任すれば遺産分割協議が可能です。母親が相続放棄をすれば利益相反の問題がなくなります。それにより、未成年の子の法定代理人として遺産分割協議に参加できるようになるからです。母親は、2人の未成年の子のうちの1人の代理人になれます。そのため、特別代理人を1人だけ選任すれば、遺産分割協議をすることができるのです。

相続人の中に成年被後見人がいる場合

法律上の行為能力がない未成年者は、自身で遺産分割協議に参加することができません。そのため、相続人の中に未成年者がいる場合、通常とは違う方法で遺産分割協議をしなければなりません。

 

→ 相続人の中に未成年者がいる場合についてはこちら

 

そして、判断能力(意思能力)のない人が相続人の中にいる状況で遺産分割協議をしようとする際にも、未成年者のケースと同じような問題が生じます。そこで、このような場合は、どのような形で遺産分割協議を行えばよいのかみていきます。

 

 

 

@ 成年後見人を選任して遺産分割協議を行う

 

 

有効な法律行為をするには、判断能力(意思能力)が必要になります。そのため、認知症や知的障害などで判断能力(意思能力)のない人が、自身で他の相続人と遺産分割協議を行っても、無効となってしまうのです。

 

このような場合、家庭裁判所に申立を行い、成年後見人を選任してもらいます。そして、選任された成年後見人が判断能力(意思能力)のない相続人の代理人となって、他の相続人と遺産分割協議をするのです。

 

成年後見人は、本人の利益や生活などを考えながら財産を維持したり、保全したりしなければなりません。そのため、成年後見人は、本人の法定相続分を確保できるように遺産分割協議での話し合いを進めていくのが原則です。

 

 

 

A 相続人の中に成年被後見人と成年後見人がいる場合

 

 

成年後見人として、本人の親や子などの親族が選任されるケースも少なくありません。このような状況にある家族内で相続が発生したとき、成年被後見人と成年後見人がともに被相続人の相続人となることも多いです。成年被後見人と成年後見人が同じ被相続人の相続人となる場合、遺産分割協議をする際に利益相反の問題が生じてしまいます。したがって、このようなケースでは、未成年者のときと同様、成年後見人が成年被後見人を代理して遺産分割協議をすることができません。

 

遺産分割協議の際に、成年後見人と成年被後見人が利益相反の状況になる場合、特別代理人が成年被後見人の代理人となって手続きを進めていくのが原則です。そのため、未成年者のときと同様、家庭裁判所に特別代理人選任の申立をする必要があります。

 

→ 特別代理人選任申立の手続きについてはこちら

 

ただ、後見監督人が選任されている場合、たとえ、遺産分割協議の際に成年後見人と成年被後見人が利益相反の状況にあるときでも、原則として特別代理人を選任してもらう必要はありません。なぜなら、後見監督人が選任されている場合は、その者が成年被後見人の代理人となるからです。

相続人に行方不明者がいる場合

相続人の中に行方不明者がいるときでも、その者が生存している限り、相続権がなくなるわけではありません。遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があります。そのため、もし、生存している行方不明者がいる場合、遺言書があるなどの例外を除き、その者も含めて相続手続きを行う必要があります。

 

そこで、相続人に行方不明者がいる場合、どのようにして相続手続きを進めていけばよいのかみていきます。

 

 

 

@ 行方不明の相続人の所在を調査する

 

 

行方不明の相続人と何かしらの方法で連絡を取ることができれば、通常の方法で遺産分割協議をすることも可能です。そのため、まず行方不明の相続人の所在を調査することから始めます。

 

本籍地には、その場所に本籍を置く人の戸籍だけではなく戸籍の附票という書類が備えられています。戸籍の附票とは、人がある場所に本籍地を置いている間の住所の履歴が記載されている書類です。被相続人の除籍を取得して、行方不明の相続人の戸籍を追っていくと、その者の現在の本籍がわかります。その本籍で戸籍の附票を取得すれば、行方不明の相続人の所在を確認することができるのです。

 

行方不明の相続人の所在が確認できれば、そこへ手紙を出したり、直接訪問したりして連絡を取ることが可能です。このような形で行方不明であった相続人と連絡を取れるようになり、スムーズに相続手続きが進むケースも結構あります。

 

 

 

A 行方不明の相続人と自力で連絡がとれない場合

 

 

自分で行方不明の相続人の所在調査を行っても、連絡が取れないケースもあります。また、行方不明の相続人が戸籍の附票から判明した住所に住んでいないこともあるでしょう。このような場合、以下の2つの方法を利用して相続手続きを進めていきます。

 

 

@ 家庭裁判所で不在者財産管理人を選任してもらう

 

行方不明の相続人の生存は確認できるものの、どこにいるのかわからない場合、家庭裁判所に申立てをして不在者財産管理人を選任してもらいます。不在者財産管理人とは、行方不明の人の財産を本人に代わって管理する人です。行方不明者以外の他の相続人は、選任された不在者財産管理人と協力して相続手続きを進めていきます。

 

不在者財産管理人の権限は、原則として本人の財産の保存行為、利用改良行為に限定されています。そのため、不在者財産管理人は、行方不明の相続人に代わって相続手続きに関与する際、遺産分割協議に無条件で参加できないのです。不在者財産管理人が行方不明の相続人に代わって遺産分割協議に参加するためには、家庭裁判所から権限外行為の許可を得る必要があります。

 

 

A 家庭裁判所に失踪宣告の申立を行う

 

相続人の行方不明期間が一定の年数以上である場合、家庭裁判所に失踪宣告の申立を行って相続手続きを進めることもできます。失踪宣告とは、行方や生死が不明である人を死亡したものとみなす制度です。家庭裁判所から失踪宣告の審判がなされると、対象の行方不明者は死亡したものとみなされるので、それを前提とした相続関係を下に相続手続きを進められるようになります。

 

 

 

不在者財産管理人を選任する方法、失踪宣告の申立をする方法のどちらを利用して相続手続きを行う場合も、数カ月程度の時間を要します。そのため、通常の相続手続きをするときよりも、手続き期間が長期化するのが通常です。

相続人の中に外国に住んでいる人がいる場合

相続人全員が日本人であっても、その中の1人または複数人が外国に住んでいるケースもあります。このような場合でも、遺言書がある場合などの例外を除き、相続人全員で相続手続きを進めなければなりません。そのため、外国に住んでいる相続人にも手続きに協力してもらう必要があります。

 

相続人の中に外国に住んでいる人がいる場合、相続手続きに必要となる書類の内容が少し変わってきます。その点について具体的にみていきましょう。

 

 

 

@ 印鑑証明書の代わりにサイン証明書を提出する

 

 

相続人全員で遺産分割協議を行った後、相続登記の手続きをする際、遺産分割協議書とともに相続人全員の印鑑証明書を提出するのが原則です。預貯金の相続手続きをするときは、遺産分割協議書を必ず提出しなければならないというわけではありませんが、相続人全員の印鑑証明書の提出を求められます。

 

しかし、日本人であっても外国に住所がある場合、日本で印鑑登録をすることができません。そのため、外国に住んでいる人は、印鑑証明書の発行を受けられないのです。そのため、相続手続きをする際に印鑑証明書が必要なとき、どのように対応すればよいのかという問題が生じます。

 

外国に住んでいる日本人が相続手続きをする場合、印鑑証明書の代わりにサイン証明書(署名証明書)を提出して対応します。サイン証明書とは、在外公館が証明する文書で個人の印鑑証明書の代わりとなる書類です。

 

外国在住の日本人がサイン証明書を取得するには、現地の在外公館まで出向く必要があります。そこで領事の前で相続手続きの際に提出する遺産分割協議書に署名し、その横に拇印を押します。そして、その署名と拇印をした遺産分割協議書に署名した旨の証明書を綴じて割印してもらうことにより発行してもらうのです。

 

 

 

A 住民票の代わりに在留証明書を提出する

 

 

相続登記の手続きをする際、原則として名義人となる者の住民票を提出する必要があります。しかし、外国に住んでいて日本に住所がない場合、住民票を発行してもらうことができません。そのため、外国に住んでいる相続人が相続登記の名義人となるとき、どのように対応すればよいのかが問題となります。

 

このような場合、住民票の代わりに在留証明書を提出します。在留証明書とは、外国に住んでいる日本人の現在の住所、またはこれまでの住所の履歴を管轄の在外公館が証明する書類です。

 

在留証明書もサイン証明書(署名証明書)と同様に、現地の在外公館で取得することができます。

相続人に胎児がいる場合

夫が不慮の事故などで亡くなり、その夫の妻が現在妊娠中であったとしましょう。このような場合、妻とそのお腹の中にいる胎児が相続人となります。

 

そこで、胎児が相続人になる場合の相続についてみていきます。

 

 

 

@ 胎児が相続人となる理由

 

 

相続人になるには、被相続人が亡くなったときに生存していることが条件となります。胎児はまた生まれていないので、生存しているとはいえません。しかし、民法の規定では、相続について胎児はすでに生まれたものとみなすと規定しています。そのようなことから、原則の例外として胎児は相続人となるのです。ただ、死産である場合は相続人ではなかったことになります。

 

「相続について胎児はすでに生まれたものとみなす」の規定に対して、以下の2つの考え方があります。

 

@ 停止条件説

 

停止条件説とは、胎児が生きて生まれてくることを条件として、相続開始のときにさかのぼって相続する権利を取得するという考え方です。

 

A 解除条件説

 

解除条件説とは、胎児が生まれる前であっても相続する権利があり、死産となったときだけ、相続開始のときにさかのぼって相続する権利がなかったとする考え方です。

 

 

不動産登記実務では、胎児名義の登記手続きも認められていますが、それは解除条件説の考え方に基づくものです。

 

→ 胎児を名義人とする登記手続きについてはこちら

 

 

 

A 胎児が相続人になるときの遺産分割協議による相続手続き

 

 

相続人全員で遺産分割協議を行い、その内容に基づいて相続手続きを進めていくケースが多いです。そこで、胎児が相続人になる場合でも、遺産分割協議によって相続手続きができるのか気になるところです。

 

解除条件説の考え方であれば、胎児の権利能力が認められるので、胎児の母(利益相反が生じる場合は特別代理人)が代理人となって遺産分割協議ができることになります。しかし、胎児が生まれるとき、人数が1人であるとは限りません。また、死産になる可能性もあり、その場合、胎児は相続人ではなかったことになります。

 

そのようなことから、相続人の中に胎児がいる場合、その段階で遺産分割協議を行って相続手続きをするのは難しいのが現実です。また、実務上では、相続人である胎児が生まれる前に遺産分割協議はできないとされています。

 

したがって、相続人である胎児が生まれてから遺産分割協議をして、相続手続きを進めていくことになります。

相続させる旨の遺言

生前に遺言書を作成しておくことで、自分が亡くなったときに特定の者へ財産を承継させることができます。遺言によって自分の財産を承継させる対象として、相続人を選定することも可能です。

 

そして、遺言で自分の財産を相続人へ承継させる場合、「相続させる旨の遺言」をするのが一般的です。

 

 

 

@ 相続させる旨の遺言とその効力

 

 

相続させる旨の遺言とは、「○○に甲土地、乙建物を相続させる」というような特定の相続人に財産を相続させる遺言のことをいいます。

 

相続させる旨の遺言は、その内容の趣旨が遺贈であることが明らかであるか、遺贈と解すべき特段の事情がない限り、「遺産分割方法の指定」と解されます。そのため、相続させる旨の遺言を作成した被相続人が亡くなり、その遺言書の効力が発生した場合、直ちに相続人へ財産が承継されるのです。

 

相続させる旨の遺言を内容とする遺言書に沿って相続登記をする際、財産を承継する相続人が単独で手続きすることができます。そのようなことから、スムースに相続登記の手続きが行えるのです。

 

なお、2018年の相続法改正により、相続させる旨の遺言は、「特定財産承継遺言」として民法で規定されています。相続させる旨の遺言により、相続人へ権利承継があった場合、その相続人の法定相続分を超える部分については、権利の対抗要件を備えなければ、第三者(他人)に自分が権利者であることを主張できなくなりました

 

→ 相続の効力などに関する見直し(2018年相続法改正)についてはこちら

 

そのようなことから、今後、相続させる旨の遺言により、不動産の権利を相続した相続人は、速やかに登記手続きをすることが求められます。

 

 

 

A 相続させる旨の遺言のメリット

 

 

相続させる旨の遺言を内容とする遺言書を作成すると、その遺言書の効力が発生した後に相続手続きをする際、どのようなメリットがあるのでしょうか。

 

まず、相続登記の手続きをするときの負担する費用が少なくなります。相続登記をはじめとする不動産登記の手続きをする際、原則として登録免許税を納付しなければなりません。「遺贈」を原因として登記手続きをする場合、原則として税率は1000分の20になります。しかし、相続させる旨の遺言を内容とする遺言書を提出して行う相続登記の税率は1000分の4です。そのため、遺贈を原因として登記手続きをするときよりも、負担する費用が少なくなるのです。

 

→ 遺言書による登記手続きについてはこちら

 

承継させる土地が農地である場合、農地法の許可を受ける必要がないのもメリットだといえます。遺言書で農地を相続人以外の者へ特定遺贈する場合、農地法の許可を受けなければなりません。登記手続きをする際にも、農地法の許可書を提出する必要があります。しかし、農地を相続で承継させるときは、農地法の許可を受ける必要はありません。そのため、相続させる旨の遺言により農地の相続登記を行う場合、農地法の許可書も提出しなくてよいのです。

 

遺言によって承継される土地が借地権である場合、地主の承諾を得なくてよいのもメリットです、借地権を遺贈で承継させるときは、地主の承諾が必要ですが、相続の場合は地主の承諾がなくても、借地権を相続人へ承継させられます。

 

→ 建物と借地権を相続した場合についてはこちら

遺言書に基づく遺贈の登記と相続登記をする必要がある場合

遺言書を作成することによって、相続人だけではなくそれ以外の者に対しても被相続人の財産を承継させることが可能です。そのため、遺言書による登記手続きをする際、遺贈の登記と相続登記をしなければならないケースもあります。

 

そこで、遺言書に基づいて遺贈の登記と相続登記をする際の手続き方法についてみていきます。

 

 

@ 先に遺贈の登記手続きを行う

 

生前に遺言書を書いていたAが亡くなり、その遺言書には以下の内容が記載されていました。

 

「遺言書は、遺言者の所有する不動産の持分2分の1を相続人Bに相続させる。残りの持分2分の1を相続人ではないCに遺贈する。」

 

遺言書にこのような内容の記載がある場合、Bに対してA所有不動産の持分2分の1の相続登記を行い、Cに対して残りの持分2分の1の遺贈の登記を行います。

 

→ 遺言書による登記手続きについてはこちら

 

その際、Bに対する相続登記を先行させて手続きをすることはできません。このようなケースでは、最初にCに対する遺贈の登記手続きを行い、その後にBに対する相続登記の手続きをしなければならないのです。

 

 

 

A 遺贈の登記を相続登記よりも先に行わなければならない理由

 

 

遺言書で不動産の持分の一部を相続人へ承継させ、残りの持分を相続人以外の者に承継させる場合、なぜ遺贈の登記を相続登記よりも先に行わなければならないのでしょうか。それは、共同相続人のうちの1人だけの相続分につき、相続登記の手続きができないとされているからです。

 

相続登記を遺贈の登記に先行して手続きをすると、不動産の持分の一部が相続人名義となり、残りの持分は被相続人名義のままの状態になります。それにより、共同相続人のうちの1人だけの相続分につき、相続登記がされたことになってしまうのです。一方、遺贈の登記を相続登記に先行して行えば、このような問題は生じません。

 

したがって、このようなケースでは、まず遺贈の登記手続きを先に行い、その後に相続登記の手続きをするのです。

戸籍に「推定年月日死亡」と記載されている場合

相続登記をはじめとする不動産登記の手続きを行うと一定事項が登記されますが、その1つに原因日付があります。原因日付とは、登記の目的となる権利変動発生の事実や法律行為とその日付のことです。具体的には、所有者となる住所と氏名の上のところに「年月日○○(相続、売買、贈与など)」と記載されます。

 

不動産の所有者が亡くなったとき、権利を承継する相続人名義にするために相続登記を行います。その際、被相続人の戸籍に「推定年月日死亡」と記載されているときの原因日付はどのようになるのでしょうか。相続登記の原因日付とあわせてみていきましょう。

 

 

 

@ 相続登記の原因日付について

 

 

相続登記の登記原因は、原則「相続」となります。これは、遺言に基づいて相続登記を行うか否かにかかわらず、その結論は変わりません。日付は、不動産の所有者が亡くなった日で、戸籍に記載されている死亡年月日がそれに該当します。

 

相続登記をする際、相続人全員で遺産分割協議を行ったうえで手続きをするのが一般的ですが、この場合の登記原因の日付はいつになるのでしょうか。遺産分割協議による相続登記の登記原因の日付も、上記と同じ不動産の所有者が亡くなった日になります。遺産分割協議が成立した日が原因日付となるわけではありません。なぜなら、遺産分割協議の効力は、相続が開始したときまでさかのぼることになるからです。

 

 

 

A 不動産の所有者の正確な死亡年月日が不明な場合

 

 

近年、1人で生活されている高齢者の方が孤独死されるケースも増えています。被相続人となる方が孤独死された場合、正確な死亡年月日がわかりません。そのため、このようなときは、被相続人の戸籍に「推定年月日死亡」と記載されることがあります。

 

そこで、被相続人の戸籍に「推定年月日死亡」と記載されているとき、相続登記の原因日付はどのようになるのでしょうか。相続登記の原因日付は、戸籍の記載どおりとするのが原則です。そのため、原因日付は「推定年月日相続」となります。

 

しかし、上記のように登記されてしまうと、相続した不動産を売却しようとする際、不都合が生じてしまう可能性も少なくありません。そのようなことから、戸籍の記載が「推定年月日死亡」となっているときでも、原因日付を「年月日相続」という形で登記したいという要望も多いです。

 

この点、法務局によっては、気を利かせていただき、「年月日相続」で登記の受付をしてもらえることもあります。当事務所においても、実際にこのようなケースで「推定年月日相続」ではなく、「年月日相続」で登記手続きをさせていただいたこともありました。

 

ですが、上記はあくまで例外であり、原則は戸籍の記載とおりに、「推定年月日相続」として登記手続きをすることになります。

2015年の相続税改正について

人が亡くなって相続が発生をすることになりますが、その際に相続人などが相続や遺贈によって、亡くなった人の財産を取得することになります。

 

そして、相続や遺贈によって取得する財産などの額が一定の額以上の場合には税金がかかってくるのですが、この税金のことを相続税といいます。

 

相続税がかかってくる場合は、一定の期間の間に申告と納税をする必要があるので、相続の手続きとあわせて行う必要があります。

 

 

そして、2015年に相続税が改正されて、いくつかの変更がありましたが、そのなかでも相続税の基礎控除が少なくなったのがメインの変更点です。

 

基本的に、相続や遺贈によって取得する財産などの額が基礎控除の範囲内であれば相続税はかからないのですが、これが縮小されることによって、これまでより相続税の納税義務の対象となる方が増えることが予想されます。

 

2015年の相続税改正により、基礎控除の額は以下のとおりに変更となりました。

 

・  改正前

 

5000万円+1000万円×法定相続人の人数

 

 

・  改正後

 

3000万円+600万円×法定相続人の人数

 

 

たとえば、夫が亡くなって相続人が妻と子一人の場合において、改正前であれば基礎控除は7000万円であったのに対し、改正後は4200万円となります。そのため、4500万円の遺産がある場合、これまでであれば相続税の納税対象外でしたが、改正後は相続税の納税対象になる可能性があります。 

 

また、その他の変更点としてあげられるのが税率が上がったということ、未成年者、障害者控除が拡大したこと、小規模宅地等の特例の改正などがあります。 

 

 

そして、相続登記などの相続手続きを司法書士にご依頼される方の中に相続税の申告をする必要がある方が多くなってくることが予想されます。

 

相続税の申告は、通常税理士さんに手続きをお願いすることになります。当事務所で相続登記などの相続手続きをさせていただく際、相続税の申告が必要となる方には、提携させていただいている相続税に強い税理士さんを紹介させていただくことが可能です。

 

 

相続手続きをご希望の方で、相続税の申告が必要となる方でも安心してご相談下さい。 

法定相続の登記後、遺産分割をした場合

不動産を所有している人が亡くなった場合、相続によって権利を取得する人の名義にするため、相続登記の手続きを行います。

 

→ 相続登記の手続きの方法についてはこちら

 

相続登記をする場合、相続人全員で遺産分割協議をして権利を取得する人の名義にすることが多いですが(遺言書がある場合を除きます)、遺産分割協議をしないで法定相続による登記をする場合もあります。

 

しかし、法定相続による相続登記をした後、遺産分割協議をして不動産を単独で相続する相続人を決めるようなケースもあるでしょう。この場合、どのような方法で手続きを行うのでしょうか。

 

 

 

@ 登記手続きは共同申請の方法で行う

 

 

相続登記は、原則相続によって不動産の権利を取得した人が単独で登記の申請手続きを行います。しかし、法定相続による相続登記を行った後、遺産分割協議によって不動産を単独で相続する相続人を決めた場合、通常の相続登記とは手続き方法が異なります。

 

このようなときは、遺産分割協議によって不動産の権利を単独で相続する人を登記権利者、権利を失う他の相続人を登記義務者とする共同申請の方法で手続きをしなければなりません。

 

具体例をあげて説明しましょう。Aが亡くなって相続人がB、C(持分2分の1ずつ)であるとします。この場合、一度法定相続による相続登記(B、C各持分2分の1)をした後、遺産分割によりBが不動産の権利を単独で取得したとき、Cの持分をBへ移転させる登記手続きをBとCが共同で行うのです。

 

 

 

A 権利証(登記識別情報)が必要になるか否か、登記原因やその日付も異なる

 

 

権利証(登記識別情報)が手続きに必要となるか否かについても違いがあります。通常の相続登記では、手続きをする際、原則として権利証(登記識別情報)を提供する必要はありません。しかし、上記の方法で登記手続きをする場合、権利を失うCの権利証(登記識別情報)の提供が必要です。

 

その他、登記原因やその日付も通常の相続登記と異なります。相続登記の登記原因は「相続」ですが、上記の方法で登記手続きする場合は「遺産分割」が登記原因となります。また、原因日付となる日は、相続が発生した日ではなく、遺産分割協議が成立した日です。

法定相続分と異なる遺産分割

人が亡くなって相続が発生した場合、相続人が被相続人の権利や義務を承継できる割合が法律上で定められていますが、これを法定相続分といいます。相続人全員で遺産分割を行う際、この割合を基準にして決めるケースも多いです。

 

ただ、法定相続分と異なる割合で遺産分割協議を行いたいと希望する相続人も存在します。そこで、法定相続分と異なる割合での遺産分割協議が可能なのかについてみていきます。

 

 

 

@ 法定相続分と異なる遺産分割協議は可能

 

 

相続人全員で遺産分割協議を行う場合、必ず法定相続分のとおりに分割しなければならないわけではありません。法定相続分と異なる割合で遺産分割協議をすることも可能です。

 

民法では、「遺産分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。」と定められています。そのため、相続人間での話し合いがまとまれば、各相続人が取得する遺産の内容や割合を自由に決めることも可能なのです。「相続人のうちの1人が遺産をすべて取得し、他の相続人は遺産を取得しない」という内容の遺産分割協議を成立させることもできます。

 

相続登記をする際も、遺産分割協議を行って権利を取得する相続人を決めた後に手続きをするのが一般的です。法定相続分どおりに登記をするケースはそれほど多くありません。

 

 

 

A 被相続人のマイナス財産は原則法定相続分の割合で承継する

 

 

相続の対象となる財産は、プラスの財産だけではありません。借金などのマイナスの財産もその対象となります。そこで、被相続人のマイナスの財産を相続する場合、遺産分割協議によって特定の相続人へ承継させることができるのでしょうか。

 

借金などのマイナスの財産は、法定相続分の割合で各相続人へ承継されるのが原則です。相続人間だけで特定の相続人へ承継させることはできません。なぜなら、これを認めてしまうと、債権者が不利益を受けてしまう場合が出てくるからです。たとえば、資力の乏しい相続人がマイナスの財産を単独で承継するとなると、債権者は債権を回収できなくなる可能性があります。そのようなことから、債権者に不利益が生じないように、原則としてマイナスの財産は、法定相続分の割合で各相続人へ承継されることになっているのです。

 

ただ、債権者に不利益が生じなければ、遺産分割協議によってマイナスの財産を特定の相続人へ承継させても問題は生じません。そのため、債権者の同意があれば、このような形で処理することが可能です。

遺言書の内容と異なる遺産分割

生前に遺言書を残していた人が亡くなった場合、原則としてその遺言書の内容に沿って相続手続きを行います。しかし、被相続人が遺言書を作成したときの事情と、相続が発生したときの事情が変わっているケースも少なくありません。このような場合、遺言書の内容と異なる形で相続手続きを進めたほうが好ましいときもあります。

 

そこで、遺言書の内容と異なる遺産分割協議を行って相続手続きをすることができるのかみていきます。

 

 

 

@ 遺贈がなされた場合

 

 

遺贈には特定の財産を受遺者に承継させる「特定遺贈」と遺産全体に対する割合を指定して受遺者に承継させる「包括遺贈」があります。どちらの遺贈がなされた場合でも、原則として遺言書の内容と異なる遺産分割協議をすることは可能です。

 

遺言書で遺贈がなされている場合、その内容と異なる遺産分割をするには、受遺者の同意が必要になります。受遺者から同意を得るとは、いいかえると受遺者に遺贈を放棄してもらうということです。

 

特定遺贈の場合、遺言者が亡くなった後、受遺者はいつでも遺贈の放棄をすることができます。そのため、特定遺贈の受遺者に放棄する意思があれば、いつでも遺言書の内容と異なる遺産分割協議をすることが可能です。

 

一方、包括遺贈の場合、受遺者が遺贈の放棄をするためには、相続開始を知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所に申述しなければなりません。包括遺贈の受遺者は、相続人と同一の権利義務を有すると法律上で定められています。そのため、受遺者が包括遺贈の放棄をするには、相続放棄と同じ方法で手続きをする必要があるのです。

 

特定遺贈の場合と違い、包括遺贈は放棄できる期限が設けられている点に注意を要します。

 

 

 

A 相続させる旨の遺言がなされた場合

 

 

相続させる旨の遺言がなされた場合、相続による権利承継をその相続人の意思表示にかからせたなど特段の事情がない限り、遺言者が亡くなった後、当然にその相続人へ相続による権利承継がされます。そのため、遺言書の内容が相続させる旨の遺言である場合、遺言書の内容と異なる遺産分割協議はできないものと考えられます。

 

→ 相続させる旨の遺言についてはこちら

 

しかし、相続人全員の合意があれば、遺言書の内容と異なる遺産分割協議が可能です。たとえ、相続させる旨の遺言がなされた場合でも、権利承継の対象となる相続人の意思を無視して強制的に権利を取得させるべきではないからです。

 

東京高裁の2009年12月18日の判決では、相続させる旨の遺言の利益を放棄できない旨が示されましたが、そのなかで相続人全員の合意が得られていない点が指摘されています。逆に、相続人全員の合意があれば、その意思が尊重されるべきであるということです。

 

したがって、相続人全員の合意があれば、遺言書の内容と異なる遺産分割協議が可能と解されます。

 

 

 

B 遺言執行者が定められている場合

 

 

遺言書に遺言執行者が定められている場合、相続人は遺言執行の対象となる相続財産の処分や執行を妨げる行為をすることができないとの規定があります。そのため、相続人全員と受遺者だけではなく、遺言執行者の同意も得たうえで遺言書の内容と異なる遺産分割協議を行ったほうがよいでしょう。

遺言で権利を受ける人がすでに亡くなっている場合

特定の相続人や第三者に財産を承継させるため、生前に遺言書を残していたとしましょう。しかし、遺言者が亡くなる前に遺言で権利を受ける人がすでに亡くなっているというケースもあります。このような場合、遺言者が亡くなった後、遺言書の内容に沿った財産承継が実現できません。そのため、どのように相続手続きを進めていけばよいか疑問が生じます。

 

そこで、遺言者が亡くなる前に遺言で権利を受ける人がすでに亡くなっている場合、遺言書の効力はどのようになるのかみていきます。

 

 

 

@ その部分において遺言は無効となるのが原則

 

 

「遺言者が亡くなる前に受遺者がすでに亡くなっている場合、遺贈の効力は生じない」旨の規定が民法に定められています。そのため、相続人以外の第三者である受遺者が、遺言者よりも先に亡くなっている場合、その部分において遺言は無効となるのが原則です。その結果、遺言者の相続人に権利が帰属することになります。亡くなった受遺者の相続人が権利を承継するわけではありません。

 

しかし、その遺言書に別段の定めがある場合はこの限りではありません。たとえば、遺言書に「α不動産をAに遺贈する。もし、Aが遺言者より前に亡くなっているときは、α不動産をBに遺贈する。」などの定めがあるときです。このようなとき、Bは遺贈によってα不動産を取得します。

 

特定の相続人に特定の財産を相続させる旨の遺言があった場合で、権利を承継する相続人が遺言者より先に亡くなったときはどのようになるのでしょうか。このケースでも、原則として遺言の効力はなくなります。権利を承継する相続人に子がいるときでも、原則として代襲相続は生じません。無効となった相続させる旨の遺言の対象となる権利は、遺言者の相続人全員に帰属します。

 

→ 相続させる旨の遺言についてはこちら

 

ただ、遺言者が遺言で別段の意思表示をしている場合、遺贈のときと同じように、遺言書の効力はその範囲で生じます

 

 

 

A 遺言者が亡くなった後に権利を受ける人が亡くなった場合

 

 

遺言者が亡くなった後、遺言書に基づいて相続手続きをする前に権利を受ける人が亡くなるということもあります。この場合、@の場合と異なり、通常どおり遺言の効力が生じます。なぜなら、遺言者が亡くなった時点では、まだ遺言によって権利を受ける人は生存しているからです。遺贈や相続させる旨の遺言が原則無効になるのは、遺言者より前に権利を受ける人が亡くなったときです。

 

そして、このケースでは、受遺者の相続人が最終的に権利を取得することになります。

認定死亡

相続の発生原因である人の死亡は、医師の確認により認定されます。しかし、状況によって、死亡したことがほぼ確実であるにもかかわらず、その認定ができないときもあります。このような場合であっても、死亡したものとして扱う制度がありますが、その1つが認定死亡です。

 

そこで、認定死亡とはどのような制度なのかについてみていきます。

 

 

 

@ 認定死亡とは?

 

 

認定死亡とは、直接人の死亡を確認できないときでも、状況から判断して死亡していることがほぼ確実である場合、その人の死亡を認定する制度です。

 

水難、震災などの事故に巻き込まれて死亡した人がいる場合、取り調べや捜索をした官公署は、死亡地の市区町村に死亡の報告をします。官公署が取り調べや捜索をする際、水難や震災にあった人で死亡が確実な状況にあるにもかかわらず、その遺体がみつからないがために、直接死亡が確認できない場合もめずらしくありません。このようなときでも、官公署はその人の死亡を認定して、その旨の報告をすることがあります。

 

認定死亡の制度は、官公署が死亡の報告をする際に職権でなされるものです。そのため、水難や震災などで行方不明になった人の関係者側からの申立により、死亡認定してもらうことは原則としてできません。ですが、取り調べや捜索を行った官公署側へ死亡認定願を提出することで、動いてもらうように働きかけることは事実上可能となっています。

 

 

 

A 認定死亡の効果

 

 

官公署が人の死亡を認定すると、対象者の戸籍に死亡の旨が記載されます。認定死亡がされた場合、死亡を原因とする法律上の効果が当然に認められるというわけではありません。しかし、認定死亡の記載は、反証がなされない限り、戸籍に記載された死亡年月日に死亡したものと推定されるという裁判所の判例があります。そのため、認定死亡がされた場合、その人は死亡したものとして、不動産や預貯金などの各種相続手続きを進めることが可能です。

 

 

 

B 認定死亡と失踪宣告

 

 

認定死亡と同様、人の死亡が確認できないときに死亡したものとして扱う制度に失踪宣告があります。両制度には共通する点もありますが、違う点もあります。そこで、認定死亡と失踪宣告の制度には、どのような違いがあるのでしょうか。

 

まず、死亡を認定する機関に違いがあります。認定死亡は、官公署の死亡報告に基づいて戸籍にその旨が記載されることで死亡したものと扱われます。これに対して、失踪宣告は、家庭裁判所の審判によって死亡したものとされるのです。

 

それから、死亡したものと扱われる法的な効果にも違いがあります。認定死亡では、「死亡したものと推定される」であるのに対し、失踪宣告の場合は、「死亡したものとみなす」です。認定死亡の場合、反証(死亡推定の事実と反対になる証拠)を示すことで、その法的効果がくつがえります。これに対して、死亡したとみなされる失踪宣告は、反証を示しても、その法的効果はくつがえりません。失踪宣告の法的効果を取り消してもらうためには、家庭裁判所に申立をして、その旨の審判を受ける必要があります。

高齢者職権消除

戸籍上に「高齢者につき死亡と認定」の旨とその許可年月日が記載されていることがありますが、これは高齢者職権消除がされたことを示しています。

 

そこで、高齢者職権消除とはどのような制度なのか、また、高齢者職権消除がされた場合、それをもって各種相続手続きができるのかについてみていきます。

 

 

 

@ 高齢者職権消除とは?

 

 

年齢が100歳以上で生存している可能性がきわめて低い高齢者の戸籍を、行政側が職権で抹消する措置を高齢者職権消除といいます。

 

人が死亡した場合、親族や同居者は、死亡者の本籍地などの市区町村へ死亡届を提出し、それにより、死亡者の戸籍に死亡した旨の記載がされます。しかし、各種事情により、死亡届が提出されない場合、死亡者の戸籍に死亡した旨の記載がされません。そのため、亡くなったにもかかわらず、戸籍上では生存している状態が発生してしまうのです。

 

戸籍上のなかで、このような状況が生じるのは好ましくありません。そこで、行政側が必要に応じて、年齢が100歳以上で亡くなっている可能性が高い行方不明の高齢者の戸籍を職権で消除できる制度が設けられているのです。高齢者職権消除は、市区町村長が監督法務局長の許可を得て行います。

 

 

 

A 高齢者職権消除によって相続は開始するか?

 

 

高齢者職権消除がされると、対象者の戸籍に「高齢者につき死亡と認定」の旨が記載されます。「死亡」という文言から、高齢者消除の措置がされたことにより、対象者が亡くなって相続開始の効果が生じたのではないかとも考えられます。

 

しかし、高齢者職権消除はあくまで戸籍の記載事項を整理するための便宜的措置です。この措置により、対象者が死亡したと扱われるわけではなく、相続開始の効果を生じさせるものでもありません。そのため、高齢者消除の記載のある戸籍を使用して、各種相続手続きもできません。この点は、死亡したものと推定され、相続の開始原因となる認定死亡と異なります。

 

→ 認定死亡についてはこちら

 

もし、高齢者消除の対象者となる人の相続を開始させたいのであれば、家庭裁判所へ失踪宣告の申立をして、死亡したものとみなしてもらう必要があります。

相続放棄をした人がいる場合の相続登記

不動産を所有していた人が亡くなって相続が発生すると、遺言書がない場合を除き、相続人全員で相続登記の手続きを進めていくのが通常です。しかし、被相続人とその相続人全員の状況や遺産の内容によっては、相続人のなかで相続放棄をする人が出てくるケースも考えられます。

 

そこで、相続人のなかに相続放棄をした人がいる場合、どのような形で相続登記の手続きを進めていけばよいのでしょうか。相続放棄の内容とあわせてみていくことにします。

 

 

 

@ 相続放棄とは?

 

 

相続放棄とは、被相続人の有する権利や義務の承継を全面的に放棄することをいいます。相続人が相続放棄をすると、その相続に関してはじめから相続人ではなかったことになります。そのため、相続放棄をした後、その相続人は被相続人を一切相続することはできません。

 

相続放棄は、管轄の家庭裁判所に申述(申立)をすることによって行います。相続人が相続放棄の申述を行った後、家庭裁判所側がその内容を審査し、申述した相続人へ照会を行ったうえで受理するか否かの決定を出すのが通常です。

 

審査の結果、要件を満たしていると判断された場合、家庭裁判所から相続放棄申述受理の決定が出されます。これにより、申述をした相続人が相続放棄をしたことになるのです。

 

→ 相続放棄の申述(申立)手続きの詳細についてはこちら

 

 

 

A 相続放棄者がいるときの相続登記の手続き方法

 

 

遺産分割による相続登記をする際、登記手続きの前に、相続人全員で相続不動産の権利取得者を決めるための協議を行うのが原則です。

 

→ 遺産分割による相続登記についてはこちら

 

しかし、相続放棄をした相続人は、はじめから被相続人の相続人ではなかったとみなされます。そのため、相続放棄をした相続人は、遺産分割協議に参加する必要はありません。この場合、相続放棄をした相続人以外の相続人全員で遺産分割協議を行ったうえで、相続登記の手続きをすることになります。

 

 

 

B 相続放棄をした旨を証明する書類の提出が必要

 

 

相続人のなかに相続放棄者がいる場合、その者以外の相続人全員で遺産分割協議を行ってから相続登記の手続きをします。しかし、相続放棄をしたとき、放棄した相続人の戸籍にその旨が記載されるわけではありません。そのようなことから、法務局側が登記審査の際、相続人のなかに相続放棄者がいることを確認できるようにしておく必要があります。

 

相続人のなかに相続放棄者がいる状況で相続登記を行う場合、そのことを証明するために「相続放棄申述受理証明書」を提出しなければなりません。相続放棄申述受理証明書とは、家庭裁判所によって相続放棄が受理された旨を証明してもらえる書類です。したがって、相続登記の手続きを行う前までに、相続放棄をした相続人は、相続放棄申述受理証明書を取得しておく必要があります。

 

相続人が相続放棄の申述(申立)をした後、家庭裁判所から照会書と照会事項の回答書が送付されてきます。相続放棄の申述をした相続人は、照会事項の回答書に回答をして家庭裁判所へ返送することになるのですが、その際、一緒に相続放棄申述受理証明書の取得申請をすることが可能です。

特別受益証明書を使用した相続登記

相続人全員で遺産分割協議を行ったうえで相続登記の手続きをする際、そのなかの1人の相続人が被相続人から法定相続分以上の生前贈与(特別受益)を受けていたとしましょう。このような場合、相続人全員で遺産分割協議をして手続きする他、特別受益証明書を提出して相続登記を行うことも可能です。

 

そこで、特別受益証明書を使用した相続登記について、特別受益の内容と一緒にみていくことにします。

 

 

 

@ 特別受益とは?

 

 

特別受益とは、特定の相続人が被相続人から生前贈与や遺贈によって権利承継を受けたときの利益をいいます。

 

特定の相続人がこのような利益を得ている状況で、さらに被相続人の相続が発生したとき、他の相続人と法定相続分の割合で相続できるとなると不公平感が生じます。そのようなことから、相続人間の均衡を保つため、特別受益者の相続人は、被相続人を相続する際、特別受益の分だけ相続分が少なくなるのが原則です。

 

→ 特別受益についてはこちら

 

 

 

A 特別受益者がいる場合の相続登記の手続き方法

 

 

ある相続人が被相続人から法定相続分以上の特別受益を受けていたとき、相続できる財産はゼロになるのが原則です。しかし、この場合、その特別受益者の相続人の地位までなくなるわけではありません。そのため、相続登記をする際に遺産分割を行うとき、法定相続分以上の特別受益を受けた相続人もその協議に参加しなければならないことになります。

 

ですが、登記実務ではこのようなとき、特別受益証明書を提出することにより、法定相続分以上の特別受益を受けた相続人を除いた相続に全員で遺産分割協議をしたうえで相続登記をすることができます。特別受益証明書とは、特別受益者の相続分がないことを証明する旨が記載された書類をいいます。この書類には、特別受益者の署名と実印による捺印が必要です。そのため、相続登記の申請の際には、特別受益証明書と一緒に特別受益者の印鑑証明書を提出しなければなりません。

 

また、親と未成年の子が共同相続人である場合、親が未成年の子の代わりに特別受益証明書を作成しても利益相反の問題は生じません。特別受益証明書は、相続人が特別受益者である事実を証明するもので、法律的な利害関係を新たに発生させる性質のものではないからです。そのようなことから、この場合、親は未成年の子のために特別代理人を選任する必要もありません。

 

→ 未成年者の相続人の相続手続きと特別代理人についてはこちら


→ 特別代理人の選任についてはこちら

 

 

 

B 事実上の相続放棄をするために利用されることも多い

 

 

特別受益を受けていない相続人を特別受益者として扱い、その旨の特別受益証明書を作成して相続登記をするケースも多いです。これにより、その相続人の事実上の相続放棄を実現できるので、スムーズに登記手続きできるメリットがあります。

 

しかし、上記のような事実に反する内容の特別受益証明書を作成した場合、その証明書の効力が問題となります。この点につき、最近の裁判例の傾向では、証明書の内容が事実に反しているときでも、それだけで単純に無効とはしていません。証明書が作成者の真意に基づいて作成されているか否かを基準に有効無効を判断しています。そのため、内容が事実に反していても、作成者がそのことを把握したうえで証明書が作成されていれば問題ありません。

 

ただ、相続財産のなかに借金などのマイナスの財産があったときには注意が必要です。なぜなら、この場合、特別受益証明書の作成によって事実上の相続放棄をした相続人も、債務の承継を免れられないからです。

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