会社法人登記関係業務

会社・法人登記業務に関するQ&Aを記載させていただいております。

 

 

 

◆ 業務に関するQ&A

 

 

◆ 会社設立関係

 

Q1.

会社を設立したいのですが、専門家へ手続きをお願いしたほうがよいのでしょうか?

 

A1.

会社設立の手続きはご自身でもすることができます。ただ、短期間で正確に手続きをしたい、本業に集中したいとご希望される場合は、専門家へ手続きをお願いしたほうがよいでしょう。

 

→ 会社設立の手続きを専門家へ依頼したときの費用および受けられるメリットについての詳細はこちら

 

Q2.

定款を電子文書で作成すると、会社設立手続き費用を節約できると聞きました。電子定款について具体的に教えてください。

 

A2.

電子定款とは、文書をPDFに変換したうえで電子署名をすることによって作成した定款のことです。

 

会社設立の手続きにおいて、電子定款を作成して認証手続きを受けると、4万円の印紙代がかかりません。そのため、手続きの際にこの4万円を節約することができます。

 

→ 電子定款認証の手続きの詳細についてはこちら

 

Q3.

会社の本店所在地はどのように決めればよいのですか?

 

A3.

会社を設立する際に本店所在地を決める場合、まず最小行政区画の範囲内で定款に記載します。その後、発起人の間で具体的な所在場所を決めるのが通常です。

 

→ 会社の本店所在地の決め方の詳細についてはこちら

 

Q4.

会社法制定により、類似商号規制が廃止されたと聞きました。それであれば、会社設立の手続きをする際、商号調査をしないで商号(社名)を決めても問題ありませんか?

 

A4.

会社法制定後も商号を登記できない場合や使用できない場合の規定が、会社法、商業登記法、不正競争防止法などで定められています。そのため、会社設立の手続きをする際、上記法令の規定に反しないように商号調査をしたうえで商号を決める必要があります。

 

→ 会社設立時の商号調査の詳細についてはこちら

 

Q5.

株式会社設立の際、資本金の額はどのようにして決めればよいのでしょうか?

 

A5.

会社の経営面と信用面、資金調達の有無、税制面などを考慮して妥当な金額に設定するのがよいでしょう。また、許認可を受けなければならない業種である場合、その条件を満たす資本金の額にする必要があります。

 

→ 資本金の額の決め方の詳細についてはこちら

 

Q6.

会社設立時の出資金の払込について教えてください。

 

A6.

出資金の払込は、発起人が設立時に株式を引き受けた後、遅滞なく行わなければなりません。また、払込取扱機関として定めた銀行の発起人代表名義の口座へ出資金の払込をしなければならないのが原則です。

 

→ 株式会社設立時(発起設立)の出資金の払込の詳細についてはこちら

 

Q7.

会社設立の日はいつになりますか?また、会社設立の日はどのように決めればよいですか?

 

A7.

会社設立の日は、法務局へ会社設立の登記を申請した日(登記申請受付日)になります。

 

会社設立の日は、縁起のよい日を選んだり、節税を考慮したりして決めるという方法があります。また、事業者の状況に合わせて決めるのも1つの方法です。

 

→ 会社設立の日とその決め方の詳細についてはこちら

 

Q8.

会社を設立する際、取締役や代表取締役はどのように選任するのですか?

 

A8.

取締役の場合、定款で定めるか発起人間の決議によって選任します。

 

代表取締役の場合、設立する会社に取締役会を設置するか否かでその選任方法が変わってきます。

 

取締役会を設置する場合、設立時取締役(会社設立時に選任された取締役)間で選任します。取締役会を設置しない場合、発起人間の決議、定款で直接定める、定款の規定に基づいて設立時取締役間で決議するなどの方法で選任します。

 

→ 会社設立時の取締役、代表取締役の選任、選定の詳細についてはこちら

 

Q9.

設立する会社の事業内容の定め方について悩んでいます。どのようにして定めればよいのでしょうか?

 

A9.

当初から行っているまたは行おうとしている事業だけではなく、将来行おうとしている事業も一緒に定めておきましょう。また、取引先や金融機関からの印象を考慮し、許認可取得に不都合が生じないように定める必要があります。

 

→ 事業内容(会社の目的)の定め方の詳細についてはこちら

 

Q10.

会社を設立する際、代表者の印鑑を登録する必要があるかと思いますが、その方法を教えてください。

 

A10.

設立する予定の会社の本店所在地を管轄する法務局へ印鑑の届出をすることによって登録を行います。

 

→ 会社の実印(代表者印)の登録の詳細についてはこちら

 

 

◆ 役員変更登記関係

 

Q1.

取締役の任期が満了した場合の登記手続きについて教えてください。

 

A1.

取締役の任期が満了した場合、その者の退任登記をします。退任する取締役が代表取締役である場合、代表取締役の退任登記もしなければなりません。

 

任期満了により退任となる取締役が、定時株主総会で再選された場合、その者の重任登記を行います。そのため、この場合、任期満了による退任登記をする必要はありません。

 

→ 取締役の任期が満了した場合の登記手続きの詳細についてはこちら

 

→ 取締役再選の際に行う重任登記の詳細についてはこちら

 

Q2.

会社の取締役や代表取締役が辞任した場合、どのような手続きが必要ですか?

 

A2.

平取締役が辞任した場合、その旨の退任登記をする必要があります。また、辞任した取締役が代表取締役である場合、取締役の辞任による退任登記の他、代表取締役の資格喪失による退任登記をしなければならないのが原則です。

 

また、代表取締役のみを辞任して取締役の地位にとどまる場合、会社の機関設計や代表取締役の選定の仕方によって、その手続き方法が変わってきます。

 

→ 取締役、代表取締役が辞任した場合の登記手続きの詳細についてはこちら

 

Q3.

会社の代表者が先日亡くなりました。その旨の登記手続きをしなければならないかと思いますが、その方法について教えてください。

 

A3.

会社の代表者である代表取締役が亡くなられた場合、死亡による取締役と代表取締役の退任登記をしなければなりません。

 

また、代表取締役が亡くなられたことにより、取締役や代表取締役が不在となってしまった場合、後任者も選任する必要があります。

 

→ 取締役が亡くなった場合の登記手続きの詳細についてはこちら

 

Q4.

会社の取締役の1人が職務上で不正をはたらいたので解任したいと考えています。どのように手続きをすればよいのでしょうか?

 

A4.

株主総会の決議を経ることで取締役を解任することができます。もし、取締役の職務執行の際に不正な行為があったにもかかわらず、その取締役の解任議案が株主総会で否決された場合、一定の条件を満たした株主は、取締役の解任の訴えを請求することが可能です。

 

取締役が解任された場合、その旨の退任登記をしなければなりません。

 

→ 取締役、代表取締役を解任(解職)した場合の手続きの詳細についてはこちら

 

Q5.

認知症になった会社の代表者が家庭裁判所から後見開始の審判を受けました。この場合、会社の取締役を退任することになると聞いたのですが?

 

A5.

会社法により、成年被後見人は株式会社の取締役の欠格事由として定められています。そのため、認知症になった取締役が後見制度を利用後、家庭裁判所から後見開始の審判を受けると、取締役の地位を退任することになります。

 

取締役が欠格事由に該当して退任することになった場合、資格喪失による退任登記をしなければなりません。

 

→ 取締役、代表取締役が資格喪失により退任した場合の登記手続きの詳細についてはこちら

 

Q6.

取締役、代表取締役の住所や氏名が変更となった場合、何か手続きをする必要がありますか?

 

A6.

取締役の氏名、代表取締役の住所や氏名が変更となった場合、その旨の住所と氏名の変更登記をする必要があります。

 

→ 株式会社の役員の住所と氏名の変更登記の詳細についてはこちら

 

Q7.

取締役を退任しても、引き続きその権利義務を負わなければならない場合があると聞きましたが?

 

A7.

任期満了または辞任で退任した取締役が権利義務取締役に該当する場合、取締役を退任しても、引き続きその権利義務を負わなければなりません。

 

→ 権利義務取締役の詳細についてはこちら

 

Q8.

定款で定めた取締役の任期は変更することができるのでしょうか?

 

A8.

株主総会を開催して、定款変更の決議をすることで、取締役の任期を変更することが可能です。

 

取締役の任期を変更した場合、原則として在任取締役に対してもその効果が及びます。

 

→ 取締役の任期の変更の詳細についてはこちら

 

Q9.

会社の代表取締役に選ばれた場合、その地位に就くために就任承諾を必ずしなければなりませんか?

 

A9. 

代表取締役に選ばれた人がその地位に就くために就任承諾が必要なケースと不要なケースがあります。

 

→ 代表取締役の就任承諾の詳細についてはこちら

 

Q10.

取締役2名の株式会社において、代表取締役である取締役が退任した場合、もう1人の平取締役が当然に代表取締役となるのですか?

 

A10.

上記のようなケースでは、1人となった平取締役が当然に代表取締役となるわけではありません。選定機関で代表取締役に選定された後、就任承諾をする(就任承諾が不要なケースもあります。)ことによってはじめてその地位に就くことがなるのが原則です。

 

ただ、定款の定めの内容によっては、平取締役が当然に代表取締役となる場合もあります。

 

→ 代表取締役である取締役が退任したときの残存取締役の代表権の詳細についてはこちら

 

Q11.

代表取締役の選定方法を変更したいと考えています。もし、選定方法を変更した場合、現在の代表取締役はその地位にとどまることができるのでしょうか?

 

A11.

代表取締役の選定方法を変更した場合、現在の代表取締役は変更後の選定方法で再任されることではじめてその地位のとどまることができます。

 

→ 代表取締役の選定方法を変更したときの代表権の詳細についてはこちら

 

Q12.

代表取締役の選定決議をした各種議事録への押印と印鑑証明書の提出の要否を教えてください。

 

A12.

代表取締役の選定決議をした各種議事録には、議長や出席役員等が実印で押印したうえ、押印した議長や出席役員等の個人の印鑑証明書を提出しなければならないのが原則です。

 

ただ、代表取締役の選定決議をした各種議事録に変更前の代表取締役が届出印を押印している(各種総会決議への参加も必要)場合、議長や出席役員等の個人の印鑑証明書の提出は不要となります。

 

→ 代表取締役の就任登記の議事録等へ押印する印鑑の詳細についてはこちら

 

 

◆ 会社各種変更登記関係

 

Q1.

自分が代表者をしている会社名を変更したいと考えています。その際、法務局に届出をしている代表者印の改印もしたほうがよいでしょうか?

 

A1.

商号(社名)を変更した場合、それと同時に代表者印を改印しなければならないという法的な規制はありません。ですが、代表者印に記載されている社名を変更後の社名にしておいたほうが好ましいので、改印手続きも同時に行ったほうがよいでしょう。

 

→ 商号(社名)変更した時の代表者印の改印手続の必要性の詳細についてはこちら

 

Q2.

会社の本店を移転すると同時に社名を変更したいと考えています。このような場合、会社の登記手続きは一度でできますか?

 

A2.

管轄する法務局の区域外の場所へ会社の本店を移転する登記と商号の変更登記は、原則として同時に申請手続きをすることが可能です。

 

しかし、管轄する法務局の区域外へ本店を移転する場合、その移転先が支店所在地である場合、同時に申請手続きできません。

 

→ 管轄区域外への本店移転の登記と他の変更登記の同時申請の詳細についてはこちら

 

 

◆ 総会および議事録関係

 

Q1.

株主総会とはどのような機関ですか?

 

A1.

株主総会とは、会社の実質的所有者にあたる株主が集まって、会社に関する重要事項を決定する機関です。

 

→ 株主総会の詳細についてはこちら

 

Q2.

取締役会とはどのような機関ですか?

 

A2.

取締役会とは、株式会社の業務執行の意思を決定する機関です。

 

→ 取締役会の詳細についてはこちら

 

Q3.

株主総会の開催後、会社内で作成される株主総会議事録について教えてください。

 

A3.

株主総会議事録とは、株主総会で決議された事項や決議の結果などの内容が記載(記録)された書類(電磁的記録)のことです。

 

→ 株主総会議事録の詳細についてはこちら

 

Q4.

取締役会の開催後、会社内で作成される取締役会議事録について教えてください。

 

A4.

取締役会議事録とは、取締役会で決議された事項や決議の結果などの内容が記載(記録)された書類(電磁的記録)のことです。

 

→ 取締役会議事録の詳細についてはこちら

 

Q5.

株主総会議事録の記載事項とされる「出席した役員」と「議事録作成者」について具体的に教えてください。

 

A5.

株主総会議事録に記載する「出席した役員」とは、株主総会の開催時に役員として権限のある人のことです。また、「議事録作成者」も株主総会の開催時に取締役としての権限のある人を指します。

 

→ 株主総会議事録に記載する出席した役員および議事録作成者の詳細についてはこちら

会社設立のお手続きを司法書士などの専門家へ依頼したほうがよいか

個人で事業をしている方で、その事業がある程度軌道にのってきた場合、会社を設立して法人化しようと検討されている方もいることでしょう。

 

会社設立のお手続きはご自身で行うことも可能です。しかし、会社法などの法令の規定に沿ってお手続きを進めなければなりません。そのため、会社設立に関する法令にあまり詳しくない一般の方がご自身でお手続きをされると、スムーズに進まなかったり、時間や手間がかかってしまったりするケースも出てきます。

 

そのようなことから、会社設立のお手続きは、司法書士などの専門家へ依頼するほうがよい場合も少なくありません。専門家へ会社設立のお手続きをご依頼すると、報酬を支払わなければならない反面、受けられる恩恵もいくつかあります。

 

これらの点を総合的に考慮されたうえで、会社設立のお手続きをする際、専門家へご依頼するか否かを決められるのがよいといえます。

 

 

 

@ 司法書士などの専門家へお手続きを依頼すると費用はどのくらいかかるか

 

 

ご自身でお手続きをされる場合と専門家へお手続きを依頼する場合、総費用額にそれほど大きな差はありません。

 

以下は、株式会社の設立手続きをご自身でされる場合と当事務所へご依頼いただいたときに発生する費用の比較になります。  

 

  ご自身でお手続きをされる場合 当事務所にご依頼する場合
定款認証手数料 約 92,000 円 約 52,000 円
登録免許税 150,000 円 150,000 円
報酬 0 円 88,000 円
約 242,000 円 約 290,000 円

 

※  この他、印鑑証明書や登記事項証明書(会社の謄本)を取得される際に数千円の費用が発生します。(この点については共通事項です。)

 

 

上記のとおり、会社設立のお手続きをご自身でされた場合と当事務所へお手続きをご依頼された場合、その差額は約4万8,000円となります。

 

上記の表によると、ご自身で会社設立のお手続きをする場合、当事務所へお手続きを依頼するときよりも定款認証手数料が4万円ほど高くなっています。なぜ、このようになるのか疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。

 

司法書士などの専門家が会社設立のお手続きをする際、作成した定款の認証手続きは、電子定款認証の方法で行います。電子定款認証の方法を利用してお手続きをすると、書面で定款を作成した場合と異なり、印紙税が課税されません。そのため、書面で定款を作成した場合に必要となる4万円の印紙税も不要となるのです。

 

→ 電子定款認証の手続きについてはこちら

 

当事務所で会社設立のお手続きをする場合も、電子定款認証の方法を利用して定款認証手続きを行っています。そのため、定款認証手数料の金額もご自身で会社設立のお手続きをするより、4万円ほど安くなります。

 

以上により、当事務所へご依頼いただければ、実質5万円弱の報酬額で会社設立のお手続きをすることが可能です。

 

 

 

A 短期間で正確にお手続きを済ますことができ、なおかつ本業に集中できる

 

 

会社を設立する場合、規定された法令に沿ってお手続きを進めなければなりません。そのため、会社設立に関する法令にあまり詳しくない一般の方がご自身でお手続きをすると、時間や手間がかかってしまうケースも多いです。

 

しかし、専門家へお手続きを依頼すれば、そのような問題を解消することができます。なぜなら、専門家は会社法など会社設立に関する法令には精通しているため、スムーズにお手続きを進めることができるからです。それにより、依頼者側は、短期間で正確に会社設立のお手続きを済ませられるという恩恵を受けられます。

 

また、専門家へお手続きを依頼することで、ご自身でお手続きをするための時間を本業のために有効活用できるというメリットもあります。

 

 

 

B 他の専門家の紹介を受けられる

 

 

会社設立のお手続きが完了した後、役所などの機関へいくつかの届出をしなければなりません。また、会社設立後、事業を行っていくうえで、税金面や経営面に関する知識も求められます。そのようなことから、複数の専門家の力が必要になるケースも少なくありません。

 

専門家へ会社設立のお手続きを依頼すれば、その専門家が普段からお付き合いさせていただいている他の専門家を紹介してもらえるのが通常です。

 

当事務所で会社設立のお手続きをさせていただいた場合、会社の税務や経営に関する知識に詳しい税理士さんを無料で紹介することが可能です。

電子定款認証の手続きについて

会社の設立手続きをする際、会社の根本規則ともいえる定款を作成しなければなりません。設立する会社が株式会社である場合、その会社の本店所在地を管轄する公証役場において、作成した定款の認証を受ける必要があります。

 

公証役場で公証人による定款認証を受ける際、定款を書面で作成することもできますが、インターネットを介して電子定款(電磁的記録による定款)を作成することも可能です。

 

株式会社の設立手続きをする際、電子定款を作成して定款認証を受ければ、4万円の印紙税がかからないというメリットがあります。そのため、電子定款を作成して定款認証手続きを行うのが通常です。

 

 

 

@ 電子定款認証の手続きの流れ

 

 

電子定款認証の手続きは、商号(社名)、目的(事業内容)、本店など会社の主要事項を決定して定款を作成した後、認証を受ける公証役場(設立予定の会社の本店所在地を管轄する公証役場)の公証人と連絡を取りながら手続きを進めていきます。

 

具体的には、以下の流れで電子定款認証の手続きを行います。

 

 

@ 認証を受ける予定の定款の内容の事前確認

 

認証を受ける公証役場の公証人に作成した定款の内容を確認してもらうため、メールやFAXで作成した定款の原案を送ります。

 

 

A 手続き書類へのご署名、ご捺印および書類お預かり

 

作成した定款の内容に問題がない場合、発起人の方に定款認証手続き用の委任状(定款の内容を合綴したもの)へご署名、ご捺印していただくとともに、印鑑証明書をお預かりします。(この際、会社設立の登記に必要な書類のご署名、ご捺印および書類のお預かりも同時にさせていただきます。)

 

また、2018年11月30日より、定款認証に関する公証人法施行規則が改正され、法人成立時の実質的支配者に関する一定の情報を申告しなければならなくなりました。(対象法人は、株式会社および一般社団法人、一般財団法人です。)

 

上記改正により、定款認証手続きの際、法人成立時の実質的支配者に関する申告書と身分証明書の写しも認証を受ける公証役場の公証人へ提出する必要があります。

 

そのため、実質的支配者になる方の身分証明書(運転免許証など)の写しも一緒にお預かりします。(発起人となる方が1名である場合、原則としてその方は実質的支配者に該当します。)

 

 

B 電子定款認証手続き

 

委任状へのご署名、ご捺印および必要書類をお預かりさせていただいた後、電子定款認証手続きをさせていただきます。

 

具体的には、まず、電子定款を作成させていただき、それをインターネット上で認証を受ける公証役場の公証人へ送信します。

 

その後、公証役場まで出向いて、定款認証手続きをさせていただくことになります。

 

 

 

A 電子定款認証の手続きに必要な書類と費用

 

 

電子定款認証の手続きをさせていただく際、必要となる書類と費用は以下のとおりとなります。

 

 

@ 必要書類

 

発起人全員の印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)

発起人全員の署名、捺印(実印)をしていただいた委任状

 

 

A 費用

 

定款認証手数料            50,000円

同一の情報の謄本代(2通)    約2,000円

会社の本店所在地の決め方

会社の定款の記載事項のなかには、その事項の記載がないと定款全体が無効となってしまうもの(絶対的記載事項)がいくつか存在します。株式会社の定款には、5つの絶対的記載事項が規定されており、その1つが本店所在地です。そのため、株式会社の設立手続きをする際、その会社の本店所在地を定める必要があります。

 

そこで、会社の本店所在地はどのように定めればよいのかみていきます。

 

 

 

@   株式会社設立時の本店所在地の決定方法

 

 

設立する株式会社の本店所在地の決定方法は、以下の2つの方法があります。

 

 

@ 本店所在地を最小行政区画(例 埼玉県狭山市)の範囲で定款に記載する方法

 

この場合、本店所在地の具体的な場所は、発起人(会社の創立者または出資者)が決定します。

 

 

U 本店所在地の具体的な場所まで定款に記載する方法

 

 

@の方法で本店所在地を決定した場合、後に本店所在地を移転する際、移転先が定款で定めた市区町村内の場所であれば、定款変更の手続きは必要ありません。

 

一方、Uの方法で本店所在地を決定すると、後に本店所在地を移転するとき、必ず定款変更の手続きをしなければなりません。

 

そのようなことから、株式会社の設立手続きをする際、本店所在地の最小行政区画まで定款に記載し、具体的な町名や地番は発起人の間で決める@の方法を選択して手続きをするケースが大半です。

 

 

 

A   本店所在地とする場所の選択方法と注意点

 

 

これから会社を設立して事業を始められる場合、賃貸オフィス、自宅、シェアオフィスなどを本店所在地とすることが考えられます。また、すでに個人で事業を始められていて、法人化する目的で会社を設立される場合、事業を行っている場所を本店所在地にするのが通常です。

 

設立する会社の本店所在地とする場所を決定する際、その選択方法は複数あります。本店所在地とする場所は、今後行う予定の事業内容や資金面、事業を行ううえでのメリットやデメリットなど総合的に考慮し、そのなかで適した場所を選ぶことが大切です。

 

ただ、自宅を本店所在地とするとき、その場所が賃貸マンションや分譲マンションのときは注意が必要です。賃貸マンションの場合、会社の事務所として利用することが賃貸契約の内容に反していないか否かを確認しておかなければなりません。

 

また、分譲マンションの場合も、管理組合などの規約で部屋を事業用として使用することを禁止している場合もあります。そのため、分譲マンションの自宅を会社の本店所在地にしようとする際、管理組合の規約内容を事前に確認しておいたほうがよいでしょう。

 

 

 

B   マンションやビルの1室を本店所在地にする場合の登記の記載について

 

 

マンションやビルの1室を会社の本店所在地にする場合、マンション名やビル名とその部屋番号を省略して登記をすることが可能です。たとえば、「埼玉県狭山市中央三丁目6番地 スカイビル101号」が正式な本店所在地であるとします。このようなときでも、「埼玉県狭山市中央三丁目6番地」という形で本店所在地の登記ができます。

 

マンション名やビル名とその部屋番号まで記載して登記することももちろん可能です。しかし、このような形で本店所在地の登記をすると、マンション名やビル名が変更をした場合、本店の変更登記をする必要があります。また、マンション内の違う部屋に引越しをしたとき、本店移転の登記をしなければなりません。

 

そのようなことから、かかる手間や費用の面から考えると、マンション名やビル名とその部屋番号を省略して登記をしたほうが好ましいといえます。

 

マンション名やビル名とその部屋番号を省略して本店所在地の登記をしてしまうと、郵便物の配達に問題が生じるのではという不安を感じる方もいるかもしれません。

 

ですが、その番地の所在場所まで足を運べば、対象のマンションやビルはすぐにみつけることが可能です。また、そのマンションやビルのポストに会社名のネームプレートを掲示されていれば、部屋番号が登記されていなくても、その場所を特定できます。そのため、郵便物の配達がしっかり行われるのかという点について、それほど気にする必要はないといえます。

会社設立時の商号調査について

会社を設立する際、商号(社名)を決めなければなりません。商号名は、登記することができる文字を選択して決定する必要があります。

 

→ 商号(社名)に使用することができる文字についてはこちら

 

会社設立時に商号を決める場合、事前に商号調査の作業を行うのが通常です。

 

そこで、会社設立時の商号調査についてみていきます。

 

 

 

@   会社法制定前には必須だった類似商号調査

 

 

会社法が制定される前において、会社設立時に商号を決める場合、必ず事前に類似商号の調査を行っていました。

 

会社法制定前の旧商法において、「同一市区町村内において、同一の営業のために他人が登記した商号と同一の商号を登記することができない」という規定があったからです。

 

また、旧商業登記法においても、「同一市区町村内において、同一営業のために他人が登記した商号と判然区別することができない商号の登記をすることができない」と定められていました。

 

そのようなことから、会社設立時に商号を決める際、上記の規定に反しないようにするため、必ず類似商号の調査を行っていたのです。

 

 

 

A   会社法制定後も商号調査の作業は必要

 

 

会社法が制定されてから類似商号の規制が廃止され、同一市町村内において同一の営業をしている会社と同一若しくは類似の商号でも、原則として登記ができるようになりました。

 

しかし、会社法制定後も商業登記法において、商号が他人の既に登記した商号と同一であり、かつ、本店所在地も同一である場合、その登記はできないとの規定があります。会社法においても、不正な目的を持って、他の会社と誤認されるおそれのある商号を使用してはならないと規定されています。

 

また、他の会社ですでに使用している商号が需要者の間に広く認識されている場合、その商号と同一若しくは類似のものを使用すると、不正競争防止法違反にもなりかねません。もし、そのような状況になると、場合によっては上記商号を以前より使用していた会社から差止請求や損害賠償請求を受けることもあります。

 

会社法制定後においても、会社設立時に商号を決める場合、上記の規定に反しないようにしなければなりません。そのようなことから、会社法制定後も商号調査を行ったうえで、設立する会社の商号を決める必要があります。

資本金の額はどのようにして決めるか

株式会社を設立する場合、必ず資本金を定めなければなりません。資本金とは、会社を設立した際に発起人(出資者)が出資したお金の一定額をいいます。株式会社の設立時において、資本金の額をどのくらいにすればよいというのは1つの問題点です。

 

そこで、株式会社を設立する際、資本金の額をどのようにして決めればよいのかみていくことにします。

 

 

 

@   経営面と信用面において妥当と考えられる金額にする

 

 

会社法が制定されてから最低資本金制度が撤廃されました。そのため、株式会社を設立する際、理論上は資本金を1円にすることも可能です。

 

→ 最低資本金制度の撤廃についてはこちら

 

しかし、資本金1円の株式会社を設立しても、会社の経営面と信用面において不安が残ることも多いです。そのため、株式会社を設立する場合、会社の経営面と信用面において、妥当と考えられる金額にするのが好ましいといえます。

 

会社の経営面のことを考えて資本金の額を決定する場合、創業の初期費用と必要となる運転資金を基準にするとよいでしょう。運転資金は、事業内容や事業を行う規模にもよりますが、当面の経営資金不足を避けるため半年程度の金額に設定すると安心です。

 

会社の信用面から考える場合、取引する相手先の種類(企業か個人か)や規模を基準に資本金の額を決めましょう。規模の大きい企業である場合、資本金が一定金額以上ないと、取引の対象外とされてしまうケースもあります。そのため、事業を行う際、規模の大きい企業との取引が想定される場合、信用力で問題が生じないように資本金の額を定めることが大切です。

 

これに対して、取引先を個人中心にして事業を行う予定である場合、資本金の額が少額であることに対する問題は起きにくいです。このようなケースでは、資本金の額を数十万円単位にしても基本的に問題ありません。

 

 

 

A   資金調達の有無を考慮して金額を決める

 

 

会社設立時または事業開始後、事業資金を銀行などの金融機関から融資を受けるケースも少なくありません。もし、金融機関からの資金調達を考えているのであれば、その点を考慮して資本金の額を定める必要があります。

 

売上や営業実績のない会社設立当初に金融機関から融資を受ける際、資本金の額が融資金額を決定する際の基準になるケースもあるからです。

 

また、資本金の額が低すぎると融資先の金融機関に信用面で不利になります。資本金の額が少なくても、自己資金があれば融資してもらうことは可能です。ですが、金融機関に対する信用面のことも考えて、資本金の額を100万円以上にしておいたほうが好ましいです。

 

 

 

B   許認可の条件を考慮して金額を決める

 

 

行う予定の事業が許認可を取得しなければならない場合、その条件を考慮して資本金の額を定める必要があります。業種によって許認可を取得するためには、財産的基礎の存在が条件となっているからです。

 

たとえば、一般の建設業の許可を得るには、財産的基礎の存在の条件として、自己資本が500万円以上あること、または、500万円以上の資金調達能力があることのいずれかを満たす必要があります。

 

上記のケースでは、必ずしも資本金の額を500万円以上にしなければならないわけではありません。ですが、資本金の額を500万円以上にしておけば、それだけで財産的基礎の存在の条件を満たすことができるのです。

 

 

 

C   税制面を考慮して金額を決める

 

 

新規に会社を設立した場合、資本金の額を1000万円未満にすると、設立後1期目と2期目は、一定条件を満たすことで原則として消費税が免税となります。それにより、税制面において有利な扱いを受けることが可能です。

 

また、法人住民税の均等割部分の納税額も会社の資本金などの額によって変わってきます。資本金などの額が大きいほど、それに比例して法人住民税の均等割部分の納税額も大きくなります。

 

そのようなことから、会社設立の際、税制面も考慮して資本金の額を決めたほうがよいでしょう。

株式会社設立時(発起設立)の出資金の払込について

会社設立時において、出資者である発起人は設立手続きの際に出資金の払込をする必要があります。会社設立時に出資金の払込を行う場合、払込時期、払込取扱機関となりうる金融機関、払込先口座の名義人の範囲などについて知っておかなければなりません。また、登記申請の際に提出する払込を証する書面の作成にもいくつかの注意点があります。

 

会社法制定後においては、発起設立の方法で会社設立登記の手続きをする場合、払込金保管証明書の提出が不要となりました。(募集設立の方法で行う場合は必要です。)

 

→ 発起設立と募集設立についてはこちら

 

払込金保管証明書の提出が不要である発起設立の方法を選択すれば、より迅速に会社設立の手続きを進められます。そのため、今日において株式会社を設立する場合、発起設立の方法で手続きを行うケースが大半です。

 

そこで、発起設立の方法で会社設立手続きを行う場合の出資金の払込時期、払込取扱機関となりうる金融機関、払込先口座の名義人の範囲、払込を証する書面とその作成などについて具体的にみていきます。

 

 

 

@   出資金の払込時期

 

 

株式会社の設立手続きのなかで、発起人は設立時発行株式の引受をした後、遅滞なく出資金の払込をしなければなりません。(会社法34条@)「設立時発行株式の引受」は、定款上または発起人全員の同意により行われます。そのようなことから、発起人による出資金の払込が可能となるのは、定款作成日または発起人全員の同意があった日以降ということになります。

 

株式会社の設立手続きにおいて、定款認証後、発起人による出資金の払込が行われるケースも少なくありません。「設立時発行株式の引受後」という条件を満たせば、定款認証の前後関係なく出資金の払込が可能です。そのため、定款認証後に出資金の払込を行ってもかまいません。

 

 

 

A   出資金の払込取扱機関と口座名義人

 

 

出資金の払込は、発起人が定めた銀行などの払込取扱機関においてしなければなりません。(会社法34条A)

 

発起人が出資金の払込取扱機関として定められる「銀行など」とは、具体的にどの金融機関があたるのでしょうか。また、払込先の口座名義人の範囲はどのようになっているのかも気になるところです。

 

@ 払込取扱機関となりうる金融機関

 

発起人が出資金の払込取扱機関として定められる主な金融機関は、銀行、信用金庫、労働金庫、信託銀行などです。また、実店舗が存在しないネット銀行を払込取扱機関に定めることもできます。

 

A 口座名義人の範囲

 

払込された出資金を受領する権限があるのは、設立中の会社を代表する者になります。そのため、出資金の払込をする口座の名義は、発起人代表とするのが原則です。

 

会社設立中に選任、選定された設立時取締役、設立代表取締役名義の口座に払込をすることも可能となっています。しかし、この場合、発起人が口座名義人となっている設立時取締役、設立時代表取締役に払込金の受領権限を委任した旨を証明できる委任状を登記申請の際に提出しなければなりません。

 

発起人および設立時取締役(設立時代表取締役も含む)以外の名義となっている口座は、一定の例外を除き、出資金の払込口座として認められません。

 

 

 

B   設立登記の際に提出する払込を証する書面

 

 

会社設立の登記を申請する際、設立手続きのなかで発起人より出資金の払込がなされていることを明らかにする必要があります。そのため、出資金の払込を証する書面を会社設立の登記申請の際に提出しなければなりません。

 

払込を証する書面は、以下の書類を合綴して作成します。

 

・設立時代表取締役が作成した払込金の額を証明する書面

・出資金払込口座の預金通帳のコピー

 

上記2つの書類を合綴したうえ、会社の代表印で割印をすることになります。口座の預金通帳のコピーは、預金通帳の表紙の表裏(金融機関名 支店名 口座番号、口座の名義人がわかるもの)と出資金が入金されている旨およびその日付がわかるページのものが必要です。

 

出資金の払込取扱機関がネット銀行の場合、「金融機関名 支店名 口座番号、口座の名義人、出資金が入金されている旨およびその日付」が確認できる部分を印刷したものが出資金払込口座の預金通帳のコピーの代わりになります。

 

また、払込を証する書面を作成するにあたって、出資金払込口座の預金通帳の記載内容には注意が必要です。預金通帳上、「入金」、「振込」などによって実際にその預金口座へお金が払い込まれていなければなりません。出資金払込口座に元々に入金されていたお金をそのまま出資金とするのは不可です。

会社設立日はどのように決めるか

会社の設立手続きを行う際、会社設立日をいつにすればよいのか気になるところです。会社設立日の決め方は、事業される方によってさまざまです。

 

そこで、どのようにして会社設立日を決めていくのか、そのいくつかの基準と決め方についてみていきます。

 

 

 

@   会社設立日について

 

 

事業者の方が会社設立日を決めるにあたって、そもそも会社設立日とはいつなのかという点についてまず把握しておく必要があります。

 

会社設立日は、登記を申請した日になります。具体的には、登記申請書類を管轄の法務局に提出し、法務局側で受付してもらった日です。登記の完了日が会社設立日ではありません。

 

登記申請先の法務局が開いている日は平日のみで、土日祝日や年末年始は休業日です。そのため、土日祝日や年末年始を会社設立日に指定することはできません。つまり、会社設立日を決める場合、法務局の開庁日である平日を指定する必要があります。

 

そして、平日のどの日を会社設立日にするのか、各事業者の基準や考えで決めていくことになります。

 

 

 

A   縁起のよい日を会社設立日にする

 

 

会社を設立して事業を始める場合、だれもが成功したいと願っています。そのため、験を担ぐという意味で縁起のよい日を会社設立日に指定する方も一定数います。

 

一般的に縁起のよい日とされるのが、「大安」の日です。日本の暦には、その日の吉凶や運勢を示す六曜というものがあり、大安はそのなかの1つに該当します。大安は、六曜の6つの日(先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口)のなかでも、1番縁起のよい日とされているのです。

 

そのようなことから、「大安」の日を会社設立日に指定される方も少なくありません。平日の大安の日は1カ月に数日あるので、会社設立日を大安の日に指定する場合、手続き可能な直近の日を選択するのが通常です。

 

 

 

B   節税を考慮して会社設立日を決める

 

 

会社設立日として指定する日によって、節税効果が変わってきます。そのため、この点を重視して会社設立日を決めるのも1つの方法です。

 

都道府県や市区町村がその場所に事業所を置く会社に対して課税する法人住民税があります。法人住民税は、法人割部分と均等割部分で構成されますが、このうち均等割部分につき、会社設立日として指定する日によって節税をはかることができるのです。

 

法人住民税の均等割部分の税額は、会社の存在した期間が1年未満である場合、年額を12で除した後、会社が存在していた期間の月数を乗じて算出します。その際、会社の存在した期間に1カ月未満の端数日数がある(例 4月2日から4月30日まで)場合、その月は会社が存在していた期間の月数としてカウントされません

 

そのようなことから、1日以外の日を会社設立日に指定すればその月は課税されないことになるので、その分節税効果を得られるのです。

 

また、消費税免税事業者として会社設立した場合、会社設立日を決算日から離れた日を指定すると、その分免税を受けられる期間も長くなって節税効果を得られます

 

 

 

C   事業者の状況に合わせて会社設立日を決める

 

 

個人で事業をしている方が法人成りをして会社を設立する場合、事業者の状況に合わせて会社設立日を決めるという選択肢もあります。

 

たとえば、ある特定の日までに会社名義で事務所を借りたり、事業上で会社として取引の契約をしたりしたい場合があるとしましょう。このようなケースでは、その特定日までのなかで1番適した日を会社設立日にします。

 

事業年度が決まっている場合は、それに合わせて会社設立日を決める方法もあります。個人で事業をしているときの事業年度が毎年4月1日から3月31日まであれば、会社設立日は事業年度開始の4月1日にするという具合です。

発起設立による会社設立時の取締役、代表取締役の選任、選定方法と任期の定め方について

会社が活動していくためには機関の存在が必要となります。そのため、会社設立時において役員(取締役、代表取締役)を選任、選定しなければなりません。会社設立時において、取締役や代表取締役は会社法の規定に基づいて選ぶのが原則です。

 

そこで、発起設立で会社設立する場合の取締役および代表取締役とその選任、選定方法を任期の定め方と合わせてみていくことにします。

 

 

 

@   会社設立時の取締役とその選任方法

 

 

株式会社は必ず1人または2人以上の取締役を置かなければなりません。(会社法326条@)そのため、株式会社を設立する際、取締役を選任することになります。

 

会社設立時に選任された取締役のことを設立時取締役といいます。設立時取締役が行えるのは、設立事項の調査と設立時代表取締役の選定、解職することだけです。会社設立後の取締役のように、業務内容を決定したり、執行したりすることはできません。

 

そのようなことから、会社設立後の取締役と区別するために、取締役の前に「設立時」という文言がつけられているのです。

 

設立時取締役は、定款で定めるか発起人の議決権の過半数による賛成をもって選任することになります。(会社法38条、40条@)

 

選任された設立時取締役は、就任承諾の意思表示によってその地位に就きます。

 

 

 

A   会社設立時の代表取締役とその選定方法

 

 

取締役と同様、会社設立時に選定される代表取締役のことを設立時代表取締役といいます。設立時代表取締役の選定は、取締役会が設置されているか否かでその方法が変わってきます。

 

 

@ 取締役会が設置されている場合

 

原則として、設立時取締役の過半数の決定によって選定します。

 

しかし、定款で直接設立時代表取締役の氏名を定めたり、発起人の互選の規定を置いて発起人が選定したりすることも可能です。

 

 

A 取締役会が設置されていない場合

 

以下の3つの選定方法があります。

 

1.発起人の互選による方法

2.定款で直接設立時代表取締役の氏名を定める方法

3.定款に設立時取締役の互選で選任する規定を置いて設立時取締役が選定する方法

 

 

選定された設立時代表取締役がその地位に就くために就任承諾の意思表示が必要か否かは、選定方法によって変わってきます。

 

取締役会が設置されていない会社において、上記1.2の方法で選定された場合、代表取締役の地位と取締役の地位が一体化されます。そのため、設立時取締役の就任承諾をすれば、別途設立時代表取締役の就任承諾は必要ありません。設立時代表取締役に選定された時点で、被選定者はその地位に就きます。

 

一方、取締役会が設置されていない会社において、上記3の方法で設立時代表取締役を選定された場合、代表取締役の地位と取締役の地位は分化されます。取締役会が設置されている会社で設立時取締役の過半数の決定で選定された場合も同様です。

 

これらのケースでは、設立時取締役の就任承諾だけではなく、設立時代表取締役の就任承諾の意思表示があって、被選定者ははじめて設立時代表取締役の地位に就くことになります。

 

 

また、会社設立後に選定された代表取締役の就任承諾の要否も、上記結論と基本的に同じです。

 

→ 会社設立後に選定された代表取締役の就任承諾についてはこちら

 

 

 

B   取締役の任期の定め方

 

 

株式会社の取締役には任期の規定が存在します。そのため、株式会社の設立手続きの際には、選任する取締役の任期を定款で定めるのが通常です。

 

→ 取締役の任期についてはこちら

 

個人事業者が法人成りして1人または少数で会社経営する場合、非公開会社(発行するすべての株式に譲渡制限が定められている会社)にして、最長任期である10年と定めるのがよいでしょう。なぜなら、取締役を改選する機会を少なくできるので、その分コストを抑えられるからです。

 

ただ、代表者以外に複数名の平取締役を置く場合、それらの者の取締役としての適性を判断する機会を設けたほうが好ましいので、その点も考慮して任期を決めましょう。

 

一方、会社設立後、大きな規模で事業を行うために公開会社(非公開会社以外の会社)にする場合、取締役の任期を伸長することができません。そのため、取締役の任期は原則の2年以内にする必要があります。

事業内容(会社の目的)の定め方について

事業内容(会社の目的)は、定款の絶対的記載事項の1つです。そのため、会社を設立する際、定款を作成するにおいて、必ず事業内容を定めなければなりません。

 

事業内容の定め方については、以下のような規制が設けられているので、それにしたがって決めていく必要があります。

 

→ 事業内容の定めるにあたっての注意点についてはこちら

 

上記規制に反する形で事業内容を定めてしまうと、お手続きに支障が出てしまう可能性もあるので注意が必要です。

 

会社設立時、上記規制に対応させることを前提にいくつかの基準に沿って事業内容を定めます。そこで、具体的にどのように定めていけばよいのでしょうか。

 

 

 

@   将来行う予定のある事業内容も記載する

 

 

会社の事業内容を決める場合、会社設立後すぐに行おうとしている事業内容を選択することになるでしょう。個人事業者が法人成りをして会社設立する場合は、現在行っている事業内容を選択します。

 

しかし、それ以外にも将来行う予定のある事業内容も一緒に定めておいたほうが好ましいといえます。なぜなら、そのほうが手続きに関する手間やコストを省けるからです。

 

もし、会社設立後すぐに行おうとしている事業内容(現在行っている事業内容)だけを会社の目的として定款に定め、将来行う予定のある事業内容は定めなかったとしましょう。このような場合、その後に将来行う予定のある事業を実際に始めようとするとき、その事業内容を定款に定める会社の目的に追加しなければなりません。そのため、定款の変更手続きをする必要が出てきます。

 

また、会社の事業内容は、定款の絶対的記載事項であるだけではなく、登記事項でもあります。そのため、将来行う予定のある事業内容を追加する目的変更の登記の手続きもしなければなりません。

 

→ 目的(事業内容)の変更登記についてはこちら

 

そのようなことから、定款変更や登記の手続きをする手間やコストが発生してしまうのです。

 

しかし、将来行う予定のある事業内容をあらかじめ定款に定めておけば、上記手続きの手間やコストを省くことが可能となります。

 

 

 

A   取引先や金融機関からの印象を考慮して定める

 

 

会社を設立して事業を始めていく場合、取引先や金融機関などの外部からの印象も重要です。そのため、この点も考慮に入れて事業内容を定める必要があります。

 

事業内容を定める際、どのような事業を行っている会社であるのか、取引先にもわかりやすいように記載しましょう。たとえば、「建設工事」「不動産の売買、賃貸」、「飲食店の経営」など、その業界以外の人でも理解できるような文言を選ぶといった具合です。

 

会社間で取引をする際、その相手の会社に関する情報を把握するため、登記事項証明書(会社の謄本)を確認するのが通常です。その際、会社の登記事項証明書に記載されている事業がわかりやすい内容であれば、相手方の会社にも安心感を与えられます。それにより、自社への信用度も高まるでしょう。

 

また、会社の定款に定めた事業内容のわかりやすさは、金融機関から融資を受ける際にも重要です。事業内容がはっきりしていれば、将来の事業計画や事業実態の存在について信用してもらいやすくなります。その結果、融資の審査にもよい影響を与えられます。

 

それから、会社の事業内容を複数定める場合、各事業間で関連性のないものはあまり多くしないようにしましょう。関連性のない事業がたくさん記載されていると、その内容を目にした取引先や金融機関から懐疑的にみられてしまう可能性もあるからです。

 

 

 

B   許認可申請手続きに不都合が生じないように定める

 

 

会社の定款で定める事業内容が許認可の必要なものである場合、許認可申請手続きに不都合が生じないように定めなければなりません。

 

たとえば、建設業の許可を受ける場合、その業種を具体的に記載するか、「建築・土木工事の施工及び請負」など、どの業種でも許可を受けられるように記載することが大切です。

 

許認可申請手続きの際に要求される審査の基準に適合しない事業内容の文言である場合、訂正しなければならないケースも出てくるので注意しましょう。

 

 

 

C   最後にお決まりの文言を入れる

 

 

会社の事業内容にする業種を個別に定めた後、最後にお決まりの文言を入れておくのがおすすめです。

 

上記各号に附帯する一切の事業」の文言を最後に入れておけば、個別に定めた業種と関連のある事業も事業内容に含めることができます。それにより、幅広い業務にも対応可能となります。

 

また、定款に定めた事業内容以外の事業を行ったことによるトラブルを避けられるメリットもあります。

会社の実印(代表者印)と会社の印鑑証明書

会社の設立手続きをする際、設立する会社の商号(会社名)を決めた後、会社の実印(代表者印)を作成しなければなりません。また、会社設立の手続き終了後、会社の実印の印影を証明してもらえる会社の印鑑証明書を発行してもらえるようになります。

 

個人の場合と同様、会社が各種手続きや重要な契約をする際、会社の実印と会社の印鑑証明書が必要になる場合があります。

 

そこで、会社の実印となる印鑑作成と登録の届出、会社の印鑑証明書の発行手続きなどについてみていきます。

 

 

 

@   会社の実印の作成

 

 

会社の実印として使用する印鑑は、大きさが決まっています。辺の長さが1センチを超え、なおかつ3センチ以内の正方形のなかに収まるものなければなりません。そのため、会社の実印として使用する印鑑を作成する場合、上記の条件を満たす必要があります。

 

また、会社の実印は、契約などその重要な局面で使用するケースが多いので、貫禄があってしっかりしたものを作成したいところです。

 

そのようなことから、会社の実印として使用する印鑑の作成は、専門の業者へ依頼するのが通常です。店舗型のお店だけではなく、通販サイトも数多く存在するので、作成までの時間も短く、費用も低コストに抑えることができる環境となっています。

 

会社の実印として使用する印鑑は、使用予定の商号調査を行って問題ないことが確認できた後、業者へ作成を依頼することになります。

 

→ 会社設立時の商号調査についてはこちら

 

 

 

A   会社の実印登録の届出方法

 

 

会社の実印として使用する印鑑は法務局で登録しなければなりません。個人の場合、その人の住民登録のある市区町村で実印登録を行います。これに対して、会社の場合は、会社設立時に会社の代表者となる人が、その設立予定の会社の本店所在地を管轄する法務局で実印登録を行うのです。

 

会社の実印登録は、印鑑の届出をすることにより行います。具体的には、印鑑届書に必要事項を記載したり、捺印したりした後、その書類を設立予定の会社の本店所在地を管轄する法務局へ届出をします。(届出は会社設立の登記申請と同時に行います。)

 

印鑑届書には、会社名、本店、印鑑届出をする会社の代表者の資格、氏名、生年月日などの事項を書類の右上の欄に記載しなければなりません。また、書類の左上のスペースには、会社の実印として使用する印鑑を捺印します。さらに、書類の真ん中の住所と氏名欄に印鑑届出者である会社の代表者の住所、氏名を記載し、その右側にあるスペースに個人の実印で捺印する必要があります。(代理人に届出をしてもらう場合は、委任状に住所と氏名を記載して、個人の実印で捺印します。)

 

それから、印鑑届書には、印鑑届出を行う会社の代表者個人の印鑑証明書(発行から3カ月以内のもの)をつけなければならないのが原則です。ただ、会社設立登記の手続きにおいて、代表者の就任承諾書に印鑑証明書をつける場合、その書類を援用できます。そのため、上記の場合は別途用意する必要はありません。

 

 

 

B   会社の印鑑証明書の取得には印鑑カードが必要

 

 

会社設立の手続きと同時に会社の実印登録をすると、会社の印鑑証明書を発行してもらうことが可能となります。

 

ただ、会社の印鑑証明書を発行してもらうためには、原則として印鑑カードが必要です。印鑑カードとは、正当なカード所持者が法務局に実印登録をした者であることを証明するものになります。そのため、会社の印鑑証明書を取得するためには、まず印鑑カードの交付を受けなければなりません。

 

印鑑カードは、会社の実印登録が済んだ後に会社の本店所在地を管轄する法務局で交付してもらえます。会社設立時に印鑑カードの交付を受ける場合、設立手続きが完了した後に交付の申請手続きをするのが通常です。

 

印鑑カードの交付を受けるには、印鑑カード交付申請書に必要事項を記入し、登録した会社の実印を捺印したうえで法務局に提出しなければなりません。また、印鑑カードを交付してもらう際、同時に会社の印鑑証明書を取得することも可能です。

 

 

 

C   代理人による手続きも可能

 

 

会社の実印登録のための届出、印鑑カードの交付申請手続きなどは、原則として実印登録者である会社の代表者が行うものです。ただ、これらの手続きは代理人が行うこともできます。会社設立の手続きを司法書士などの専門家へ依頼する場合、司法書士などの専門家が代理人となって取得するのが通常です。

 

当事務所で会社設立の手続きをさせていただく場合も、ご依頼者の代理人となって、会社の実印登録のための届出と印鑑カードの交付申請手続きをさせていただいております。

 

また、代理人となって印鑑カードの交付申請手続きをさせていただいた場合、会社設立手続き完了後の書類などのお引渡しまでの間、一時的に印鑑カードを預からせていただく状態となります。そのため、会社の印鑑証明書の取得も必要に応じてさせていただくことが可能です。

商号(社名)変更した時に代表者印の改印は必要か

会社の商号(社名)を変更した場合、定款変更手続きをしたうえで商号(社名)変更の登記手続きをしなければなりません。

 

→ 商号(社名)変更の登記手続きについてはこちら

 

その際、法務局で登録した代表者印(会社の実印)も改印しなければならないのか気になるところです。

 

そこで、商号を変更したときの代表者印の改印についてみていきます。

 

 

 

@   代表者印を改印しなければならないという法的規制はない

 

 

代表者印の印影のなかには、基本的に社名が入っています。そのため、商号を変更して社名が変わると、代表者印の印影に入っている社名と実際の社名が相違してしまいます。そこで問題となるのが、商号変更の手続きをする際、実印登録をしている代表者印も変更しなければならないのかということです。

 

会社が商号変更をして社名を変えた場合、代表者印を変更しなくてもかまいません。なぜなら、そのようにしなければならないという法的な規制はないからです。したがって、会社が商号変更して社名が変わった場合でも、これまで使用してきた代表者印を引き続き使用できます。

 

 

 

A   商号変更時には代表者印も変更するのが通常

 

 

会社が商号変更して社名を変えた場合、法的には代表者印を変更する義務はありません。ですが、このような場合、商号変更をすると同時に代表者印も変更したほうが好ましいでしょう。

 

実際の社名とは違う社名が入っている代表者印で提出用の書類や契約上の書類に捺印すると、手続き上まぎらわしくなってしまうからです。また、取引先からの印象も悪くなってしまうので、事業を行う上でもデメリットが生じてしまいます。

 

そのようなこともあり、会社が商号を変更して社名を変える場合、同時に代表者印を変更するのが通常です。

 

 

 

B   代表者印の改印届出の手続き

 

 

会社の商号変更と同時にする代表者印の改印手続きは、会社の本店所在地を管轄する法務局に改印届書を提出することによって行います。改印届書は、会社設立時において実印登録をする際に提出した印鑑届書と同じものです。

 

→ 会社の実印(代表者印)の届出についてはこちら

 

代表者印の改印届書を提出する際、代表者の個人の印鑑証明書(発行から3カ月以内のもの)が必要になります。

 

また、代表者印の改印手続きをする際、代表者の住所について気にかけておいたほうがよいでしょう。改印手続きをするときに提出する印鑑証明書上の住所と登記されている代表者の住所が相違する場合、代表者の住所変更の登記手続きが必要となるからです。(改印手続きをする前、または同時に手続きをしなければなりません。)

 

→ 代表者の住所変更登記の手続きについてはこちら

 

 

 

C   代表者印の改印届書はいつ提出すればよいか

 

 

代表者印として使用する新しい印鑑を作成した後、会社の本店所在地を管轄する法務局へ改印届書を提出します。そこで、この改印届書の提出時期はいつなのかが気になるところです。

 

代表者の改印届書は、商号変更の登記申請の際、同時に提出することが可能です。商号変更の登記申請と同時に提出すれば、1回で手続きを済ませることができます。そのため、実務上においては、商号変更の登記申請をする際、同時に提出することが多いです。

 

一方、登記申請時点でまだ新しい印鑑ができていない場合は、商号変更の登記申請した後、提出することになります。

 

また、商号変更の登記申請と代表者印の改印届書の提出を同時にする場合、商号変更の登記申請と一緒に提出する書類(委任状や株主リスト)に新旧どちらの代表者印を捺印すればよいのかという問題も出てきます。

 

→ 株主リストについてはこちら

 

このような場合、新しい代表者印を捺印して手続きするのが原則です。

株主総会について

株式会社では、必ず株主総会を設置しなければなりません。株主総会で決議される事項のなかには、会社・法人登記の変更事項となるケースが多いです。したがって、会社・法人登記の手続きをするためには、株主総会についての理解は欠かせないといっても過言ではありません。

 

そこで、株主総会とはどのような会社の機関なのか、具体的にみていきます。

 

 

 

@   株主総会とは

 

 

株主総会とは、会社の実質的な所有者にあたる株主が集まって、会社に関する重要事項を決定するところです。株主総会では、主に会社の人事や経営に関する事項が決議されます。会社・法人登記の手続きにおいて、株主総会の決議事項のなかで主に関連してくるのは、役員の選任決議および定款変更の決議です。

 

→ 役員の選任決議および定款変更の決議に関する会社・法人登記についてはこちら

 

株主総会には、定時株主総会と臨時株主総会の2つの種類があります。前者は、毎事業年度の終了後、一定の時期に招集しなければならない株主総会です。事業年度は、原則として1年を超えることができません。そのため、定時株主総会は、1年に1回以上開催されることになります。

 

これに対して、後者は、必要に応じていつでも招集できる株主総会になります。

 

 

 

A   株主総会の決議事項と決議要件

 

 

@ 株主総会の決議事項

 

株主総会の決議事項は、会社に取締役会が設置されているか否かでその内容が変わってきます。

 

 

・取締役会が設置されている会社

 

取締役会が設置されている場合、株主総会において、法令に関する事項および定款に定めた事項に限り、決議することが可能です。(会社法295条A)

 

 

・取締役会が設置されていない会社

 

取締役会が設置されていない会社の場合、株主総会において、会社に関する一切の事項について決議できます。(会社法295条@)

 

 

A 株主総会の決議要件

 

株主総会の決議要件は、以下のとおりとなっています。

 

 

・普通決議

 

議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(定款で別段の定めをすることが可能)が出席し、その出席した株主の議決権の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合は、その割合)の賛成が必要

 

(主な決議事項:株主総会の議長の選任、定時総会で行う計算書類の承認)

 

 

・普通決議(役員に関する事項)

 

議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合は、その割合)が出席し、その出席した株主の議決権の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合は、その割合)の賛成が必要

 

(主な決議事項:取締役の選任)

 

 

・特別決議

 

議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合は、その割合)が出席し、その出席した株主の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合は、その割合)の賛成が必要

 

※  定款の定めにより、一定数以上の株主の賛成を要する旨などを設けることも可能

 

(主な決議事項:定款変更)

 

 

・特殊決議(会社法309条B)

 

議決権を行使することができる株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合は、その割合以上)、かつ、当該株主の議決権の3分の2以上(これを上回る割合を定款で定めた場合は、その割合)の賛成が必要

 

(主な決議事項:譲渡制限の定めの設定)

 

 

・特殊決議(会社法309条C)

 

総株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合は、その割合以上)かつ総株主の議決権の4分の3以上(これを上回る割合を定款で定めた場合はその割合)の賛成が必要

 

(主な決議事項:株主ごとに異なる取扱いをする旨の定款変更)

 

 

B   株主総会の招集手続き

 

 

株主総会を開催するには、株主総会の招集手続きをしなければならないのが原則です。株主総会の招集は、取締役(取締役会が設置されている会社は取締役会)が総会の議題や開催時期などを決定した後、取締役が行うと規定されています。(会社法296条B、298条)

 

ただ、実際は代表取締役(社長)が株主総会を招集する旨を定款で定めている会社が多いです。

 

また、株主総会の招集通知の発送時期も会社法で規定されています。

 

株主総会の招集通知は、株主総会の日の2週間前までに発しなければならないのが原則です。ただ、非公開会社(譲渡制限の定めのある会社)の場合は、株主総会の日から1週間前までに発すればよいことになっています。

 

さらには、非公開会社で、かつ、取締役会が設置されていない会社の場合、定款の定めにより、招集時期を株主総会の日から1週間より短い期間の日とすることも可能です。

 

それから、株主全員の同意があれば、招集通知を発することなく株主総会を開催することができます。

 

 

 

C   株主総会の開催場所

 

 

定款に株主総会の開催場所の規定が定められている場合、その場所で開催する必要があります。しかし、定款にその旨の定めがないときは、株主総会の招集の決定をする際、適宜開催場所を決めることが可能です。

 

会社法改正前の旧商法には、本店所在地またはこれに隣接する地で開催しなければならない旨の規定がありました。しかし、会社法にはこのような規定はないので、それ以外の場所でも株主総会を開催することができます。

 

ただ、過去に株主総会を開催したいずれの場所とも著しく離れた場所で開催する場合、原則として株主総会の招集の決定のときにその理由を明らかにしなければなりません。

取締役会について

株式会社の設置機関のなかの1つに取締役会があります。取締役会で決議された事項においても、株主総会で決議された事項と同様、会社・法人登記の変更事項になる場合が少なくありません。(取締役会が設置されている会社の代表取締役の選定や本店移転の決議など)

 

→ 会社の代表取締役の選定の登記についてはこちら

 

→ 本店移転の登記についてはこちら

 

そのため、会社・法人登記の手続きをする際、取締役会についての理解も必要です。

 

そこで、取締役会とはどのような機関なのかについて具体的にみていきます。

 

 

 

@   取締役会とは

 

 

取締役会とは、株式会社の業務執行の意思を決定する機関です。具体的には、株主総会で選任された取締役3名以上が集まって、会社の業務執行に関連する事項を決議していきます。

 

会社法制定前の旧商法において、株式会社は必ず取締役会を置かなければなりませんでした。しかし、会社法制定後では、株式会社の機関設計の内容によっては、取締役会の設置は任意となっています。そのため、中小規模の会社のなかには、取締役会を置いていないところも少なくありません。

 

一方、公開会社(譲渡制限が定められている会社以外の会社)など一定の機関設計の株式会社は、取締役会を置かなければなりません。また、会社を上場させるための条件として、申請日の一定年数前より、取締役会を設置して継続的に事業活動していることが求められています。

 

 

 

A   取締役会の権限

 

 

取締役会は、以下の職務を行う権限を有しています。

 

 

・ 取締役会が設置されている会社の業務執行の決定

・ 取締役の職務の執行の監督

・ 代表取締役の選定、解職

 

 

また、会社法上、決議事項として明記されているものについても、取締役会に決定権限があります。

 

取締役会の決議で決定する業務のなかには、取締役へ委任できるものもありますが、「重要な財産の処分および譲受」、「多額の借財」など会社の重要な業務執行の決定については取締役会で決議しなければなりません。会社法上、取締役会の決議事項とされているものの決定についても、取締役に委任できません。

 

 

 

B   取締役会の決議要件

 

 

取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(定款でこれを上回る割合を定めることは可能)が出席し、その過半数(定款でこれを上回る割合を定めることは可能)をもってすることになります。

 

取締役会の決議要件を定款で別段の定めをする場合、会社法上で規定されている定足数(最低出席議決権数)よりも軽減することはできません。この点、定足数を定款の定めにより軽減できる株主総会の決議とは異なります。

 

→ 株主総会の決議要件についてはこちら

 

また、取締役会の定足数の算定基準は、「議決に加わることができる取締役」とされていますが、これは現時点の取締役(取締役の権利義務者を含む)をいうのが原則です。

 

→ 取締役の権利義務者についてはこちら

 

ただ、取締役が亡くなったり、解任されたりして、現時点での取締役の人数が法律または定款に定める最低人数より少なくなってしまうケースも考えられます。

 

→ 取締役の死亡による退任登記についてはこちら

 

→ 取締役の解任による退任登記についてはこちら

 

このような場合、法律または定款で定める最低人数が取締役会の定足数の算定基準となります。

 

それから、取締役会で決議される事項において、特別な利害関係を有する取締役(例 取締役会で代表取締役の解職の決議をする際の当該代表取締役)は、その決議に加わることができません。そのため、特別な利害関係を有する取締役は、取締役会決議の定足数にも算入されないことになります。

 

 

 

C   取締役会の招集手続き

 

 

取締役会を開催するためには、招集手続きをしなければならないのが原則です。取締役会の招集手続きは、各取締役が招集する旨の規定が会社法で定められています。(会社法366条@本文)ただ、定款または取締役会で招集手続きを行う取締役を定めている場合、その取締役が招集することになります。(会社法366条@但書)

 

会社のなかには、社長である代表取締役を取締役会の招集権者として定款に定めているケースが少なくありません。そのため、実際には、代表取締役が取締役会を招集しているのが通常です。

 

取締役会の招集手続きは、取締役会を開催する日の1週間前までに、各取締役に対して通知することによって行わなければならないのが原則です。招集通知の期間は、定款の定めにより、1週間より短くすることができます。また、監査役設置会社(業務監査権限を有する監査役がいる会社)の場合、その監査役に対しても招集通知を発送しなければなりません。(会社法368条@)

 

上記の規定にかかわらず、取締役(監査役設置会社の場合は取締役および監査役)全員の同意があるとき、招集手続きを省略して取締役会を開催できます。(会社法368条A)

 

 

 

D   取締役会の開催場所

 

 

取締役会の開催場所に関する規定は特にありません。取締役や監査役は取締役会に出席するのが困難となるような場所ではないかぎり、どこで開催しても構いません。

株主総会議事録

株式会社は、計算書類の承認や事業内容の報告をするため、1年に1回のペースで定時株主総会を開催しなければなりません。また、会社の重要事項を決定するため、臨時株主総会が開催される場合もあります。

 

→ 株主総会についてはこちら

 

そして、開催された株主総会が終了した後、株主総会議事録が会社内で作成されます。株主総会議事録とはどのようなものなのか、作成義務の有無、作成方法などとあわせて具体的にみていきましょう。

 

 

 

@   株主総会議事録とその作成義務

 

 

株主総会議事録とは、株主総会で決議された事項や決議結果などの内容を記載(記録)した書面(電磁的記録)をいいます。

 

会社法上、株式会社は、株主総会の議事について法務省令で定める(会社法施行規則72条)ところにより、議事録を作成しなければならないとの規定があります。(会社法318条@)そのため、株式会社は、株主総会を開催した後、必ず株主総会議事録を作成しなければなりません。

 

事業規模がそれほど大きくない中小の会社のなかには、株主総会議事録を作成していないというケースも多いです。しかし、会社法上では、株主総会議事録の作成義務が規定されています。そのため、株主総会議事録を作成していないと法令違反になってしまうため、その点は改善する必要があります。

 

また、作成した株主総会議事録は、会社の本店に株主総会の開催日から10年間備え置かなければなりません。会社の支店がある場合、原則として株主総会の開催日から5年間支店に株主総会議事録の写しを備え置く必要があります。

 

上記規定に違反した場合、その会社の代表取締役は、100万円以下の過料に処せられてしまう(会社法976条FG)可能性もあるので注意しましょう。

 

 

 

A   株主総会議事録の作成方法

 

 

株主総会議事録の記載事項は、会社法施行規則72条で具体的に定められています。そのため、株主総会議事録は、上記規定に沿って作成しなければなりません。

 

株主総会議事録の記載事項は、以下のとおりです。

 

・開催日時および場所

・議事の経過の要領および結果

・出席した役員の氏名または名称

・会計参与が選解任に関し陳述した意見その他総会において述べた意見又は発言の内容

・議長の氏名

・議事録を作成する職務を行った取締役の氏名


 

また、上記記載事項から、取締役が株主総会議事録を作成するものとされています。株主総会議事録を作成できる取締役とは、原則として当該株主総会の開催時に取締役の権限がある人です。そのため、代表取締役だけではなく、平取締役であっても、上記の要件を満たせば、株主総会議事録を作成することができます。

 

→ 株主総会議事録を作成できる取締役の詳細についてはこちら

 

 

 

B   株主総会議事録への押印について

 

 

株主総会議事録への押印は、法律上、必須の要件とはなっていません。しかし、株主総会議事録の真正を担保してトラブル防止をはかるという観点からは、押印するほうが望ましいといえます。株主総会議事録への押印は、議事録作成者である取締役によって行われるのが原則です。

 

しかし、例外として、株主総会議事録への押印が必須となるときもあります。それは、株主総会の決議によって代表取締役を選定する(取締役のなかから、代表取締役を定めないときは、取締役を選任する)ケースです。

 

この場合、株主総会議事録に変更前の代表取締役(総会に出席していることが必要)の届出印が押印されていない限り、議長および出席した取締役の全員が、実印で株主総会議事録へ押印しなければなりません。

 

→ 代表取締役の就任登記の議事録等へ押印する印鑑についてはこちら

取締役会議事録

取締役会を設置している会社は、業務執行の決定をするにおいて、取締役会の決議を得なければなりません。

 

→ 取締役会についてはこちら

 

会社の業務執行の決定などについて決議をするために取締役会を開催した後、議事録が社内で作成されます。

 

そこで、取締役会議事録とはどのような書類なのか、具体的にみていくことにします。

 

 

 

@   取締役会議事録とその作成義務

 

 

取締役会議事録とは、取締役会で決議された事項およびその決議の結果などが記載(記録)された書面(電磁的記録)のことです。

 

会社法上、取締役会の議事について、法務省令で定める(会社法施行規則101条)ところに従い、議事録を作成しなければならないと定められています。(会社法369条B前段)そのため、取締役会を開催した場合、株主総会議事録と同様に取締役会議事録を作成しなければなりません

 

→ 株主総会議事録についてはこちら

 

作成した取締役会議事録は、取締役会の日から10年間会社の本店に備え置く必要があります。(会社法371条@)ただ、株主総会議事録と異なり、会社の支店に議事録の写しを備え置く必要はありません。

 

取締役会議事録の作成義務や備え置き義務に反すると、その会社の代表取締役は、100万円以下の過料に処せられてしまう可能性があるので注意が必要です。

 

 

 

A   取締役会議事録の作成方法

 

 

会社法施行規則101条では、取締役会議事録の作成について定めています。そのため、会社はこの規定に沿って取締役会議事録を作成しなければなりません。

 

取締役会議事録には、以下の事項を記載する必要があります。

 

・開催日時と場所

・議事の経過の要領および結果

・特別の利害関係を有する取締役がいる場合はその氏名

・取締役が競業取引に関しての報告など取締役会において述べた意見又は発言の内容

・取締役会が株主等の請求により招集された場合はその旨

・特別取締役による取締役会の場合はその旨

・出席した株主、執行役、会計参与、会計監査人の氏名または名称

・議長の氏名

 

 

取締役会議事録を作成する際、会社外の者からもその内容が明確になるように上記事項を記載するのが好ましいといえます。なぜなら、取締役会議事録の記載内容を明確にしておくことで、取締役の業務執行の適法性を証明できるからです。

 

 

 

B   取締役会議事録への署名(記名)、押印

 

 

取締役会議事録が書面で作成されている場合、取締役会に出席した取締役および監査役は、その議事録に署名(記名)、押印しなければなりません。(会社法369条B後段)

 

 

取締役会に出席して決議に参加した取締役が、取締役会議事録の議事の内容に異議をとどめない場合、その決議に賛成したものと法律上推定する旨の規定が会社法で定められています。(会社法369条D)このような法律上の効果が生じる関係から、取締役会議事録への署名(記名)と押印の義務が出席取締役および監査役に課せられているのです。

 

この点、議長および出席取締役の署名義務が原則として課されていない株主総会議事録とは異なります。

 

また、取締役会に出席した取締役および監査役が取締役会議事録へ押印する際、実印以外の印鑑でも構わないのが原則です。しかし、取締役会の決議によって、代表取締役を選定する場合、変更前の代表取締役が取締役会に出席し、なおかつ議事録に届出印を押印していない限り、出席取締役および監査役は、議事録に実印で押印しなければなりません。

 

→ 代表取締役の就任登記の議事録等へ押印する印鑑についてはこちら

株主総会議事録に記載する出席した役員および議事録作成者

株主総会議事録は、会社法施行規則72条で定められた事項を記載して作成しなければなりません。

 

→ 株主総会議事録の記載事項についてはこちら

  

上記の記載事項のなかには、「株主総会に出席した役員の氏名または名称」、「議事録を作成する職務を行った取締役の氏名」があります。もし、定時株主総会で取締役などの役員改選があった場合、上記に該当するのは新旧どちらの役員なのか、または新旧いずれの役員も該当するのかなどの問題が生じます。

 

そこで、株主総会に出席した役員および議事録を作成した取締役とは、どのような人が該当するのか、具体的にみていきます。

 

 

 

@   出席した役員および議事録作成者の具体例

 

 

株主総会議事録に記載する出席した役員とは、原則として、当該株主総会の開催時に役員としての権限のある人のことです。議事録作成者も当該株主総会の開催時に取締役としての権限のある人のことを指すと解されています。

 

そのようなことから、上記基準を満たす人を、出席した役員および議事録作成の職務を行った取締役として、株主総会議事録にその氏名を記載することになります。

 

定時株主総会で取締役改選があった場合について、いくつかのケースに分けてみていきましょう。

 

 

@ 定時株主総会終了時の任期満了により取締役の改選があった場合

 

定時株主総会が終了した時点で前任者の任期が満了し、後任者が取締役として就任します。そのため、株主総会の開催時において、前任者は役員としての権限がありますが、後任者はありません。したがって、株主総会議事録に出席した役員として記載する者および議事録作成者となれる取締役は前任者のみです。

 

 

A 定時株主総会の開催前に取締役が辞任した場合

 

定時株主総会が開催される前に前任者がすでに辞任しているので、前任者には株主総会の開催時において、役員としての権限はありません。一方、定時株主総会で役員として選任された後、席上で就任承諾した後任者は、就任時点で役員としての権限を有することになります。

 

そのため、株主総会議事録には、出席した役員として後任者のみを記載することができます。また、議事録作成者となれるのも後任者のみです。

 

 

B 定時株主総会の開催時に取締役が辞任して、新取締役が就任した場合

 

定時株主総会の開催時に前任者が辞任して後任者が就任した場合、前任者と後任者双方とも株主総会の開催時に役員としての権限を有しています。

 

そのため、このケースでは、株主総会議事録には、前任者と後任者ともに出席した役員として記載できます。また、前任者と後任者ともに議事録作成者となることが可能です。

 

 

C 定時株主総会の改選時に前任者が権利義務者である場合

 

任期満了または辞任によって退任した取締役が権利義務者である場合、その地位を脱するまで(後任者が就任するまで)、取締役としての権限があります。

 

→ 取締役の権利義務者についてはこちら

 

また、後任者も定時株主総会の開催時に席上で取締役就任の承諾をすれば、その時点から取締役としての権限を有します。

 

したがって、前任者と後任者ともに、出席した役員として株主総会議事録にその氏名を記載することができ、また議事録作成者にもなれます。

 

 

 

A   就任承諾書を株主総会議事録の記載によって援用する場合の注意点

 

 

定時株主総会で取締役改選があり、取締役に選任された人が総会中に就任の承諾をしたとします。この場合、上記取締役の就任登記をする際に提出する就任承諾書を株主総会議事録の記載によって援用することが可能です。

 

ただ、就任承諾書を株主総会議事録の記載により援用できるのは、取締役に選任された人が株主総会に出席して、その場で就任を承諾している必要があります。そのため、就任承諾書を株主総会議事録の記載によって援用するには、株主総会議事録に出席した役員として取締役に選任された人の氏名が記載されていなければなりません。

 

株主総会議事録に出席した役員として取締役に選任された人の名前が記載されていない場合、就任承諾書を株主総会議事録の記載によって援用できません。そのため、このようなケースでは、取締役の就任登記の手続きをする際、就任承諾書を提出しなければならないので注意が必要です。

役員変更登記に関する改正について

役員変更登記を申請する際に添付する書類と役員の氏に関する記録の仕方についての改正があり、2015年2月27日から施行されています。

 

 

 

@ 役員変更登記の添付書面の改正点

 

 

@ 取締役、監査役等役員が就任する場合

 

会社の設立登記又は役員が就任する際の役員就任の登記を申請する際に就任承諾書(就任承諾を援用する場合は株主総会議事録)に記載された役員の氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている公的な身分を証明する書面の写しを添付することになりました。

 

ただ、取締役、代表取締役の就任の際、印鑑証明書を添付する場合および再任の場合は添付する必要はありません。

 

また、公的な身分を証明する書面とは以下の書類があげられます。

 

・  住民票の写し又は戸籍の附票

・  運転免許証のコピー

・  住民基本台帳カードのコピー

 

 

 

A 代表取締役等が辞任する場合

 

法務局に印鑑を届けている代表取締役等の会社の代表者の辞任の登記を申請する場合において、添付する辞任届に法務局に届けた会社の実印又は個人の実印を押印し、個人の実印を押印した場合は個人の印鑑証明書も添付することになりました。

 

 

 

A 役員の氏の記録に関する改正点

 

 

取締役、監査役等の役員又は清算人の就任や氏の変更等の登記を申請する際、あらたに登記することになる人が婚姻によって氏を改めた場合、婚姻前の氏も記録することができるようになりました。

 

上記の申出をする場合、登記申請書に婚姻後の氏と婚姻前の氏を記載し、なおかつ婚姻によって氏が変更したことを証明する戸籍を添付する必要があります。

 

 

上記改正内容の詳細は、法務省のホームページにも記載されています。

 

→ 役員変更登記に関する改正について(法務省HP)はこちら

取締役再選の際に行う重任登記

株式会社の取締役は、会社法の規定により任期が定められています。(取締役の任期は、原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結のときまでです。)そのため、取締役の任期満了する定時株主総会の開催時に、取締役改選の手続きをしなければなりません。

 

取締役の改選をした後、役員変更の登記を行うことになりますが、その際に「重任」を登記原因として手続きをする場合があります。

 

→ 役員変更の登記についてはこちら

 

そこで、重任登記について、具体的にみていくことにします。

 

 

@   重任とは?

 

 

重任とは、取締役の任期満了の際、時間を置かずに再選された取締役が就任した後に申請する役員変更登記の原因のことです。たとえば、ある株式会社の取締役Aが任期満了となる定時株主総会において再選された場合、重任を原因として役員変更の登記手続きを行います。

 

上記ケースにおいて、取締役Aは、定時株主総会の終結のときまでに退任と就任をしています。そのため、役員変更の登記手続きをする際、任期満了による退任登記と就任登記をしなければならないのが原則です。

 

しかし、退任と就任に時間的な間隔がない場合、退任登記と就任登記を1つの登記であらわす重任登記によって手続きができます。

 

 

 

A   登記原因が重任とならない場合

 

 

取締役が再選された場合、重任を原因とする役員変更の登記手続きをするケースが多いです。しかし、取締役が再選されたときでも、以下のような場合、重任登記をすることができません。

 

 

@ 定時株主総会で辞任した取締役が再選された場合

 

定時株主総会の開催中に辞任した取締役が、その定時株主総会で再選されて直ちに就任した場合、重任登記ではなく、辞任登記と就任登記の手続きをする必要があります。

 

→ 取締役の辞任登記についてはこちら

 

「重任」の登記原因は、退任原因が任期満了であるときだけ、同日に再選されて就任した場合に利用することが可能です。そのため、退任原因が辞任である上記のケースでは、登記原因を重任として手続きすることはできません。

 

 

A 任期満了となる定時株主総会の際に取締役改選を忘れていた場合

 

取締役が任期満了となる定時株主総会の際、取締役の改選をするのを忘れてしまい、後の株主総会で取締役に再選された場合も重任登記はできません。

 

上記のケースでは、定時株主総会が終結したときに取締役の任期は満了します。一方、取締役として再選されて就任するのは、後の株主総会のときです。そのため、任期満了による退任のときと再選による就任のときの時間的な間隔があるので重任登記ができないのです。

 

 

 

B   再選決議や重任登記をしないとどうなるか?

 

 

個人事業者が法人成りしたような中小規模の会社では、役員構成が取締役1人ということもめずらしくありません。このような会社は、何年も役員構成が変わらないため、取締役の任期満了を迎えてもその定時株主総会の際や終了後に、再選決議をしなかったり、重任登記を放置してしまったりすることも多いです。そこで、もし、上記のように取締役の再選決議や重任登記をしないとどのようになってしまうのでしょうか。

 

商業・法人登記においては、基本的に登記事項に変更が生じたとき、一定の期間までに登記をしなければならないことになっています。そのため、上記のように再選決議や登記手続きをしないと、その懈怠期間によっては、会社の代表者に過料が命じられることもあるので注意が必要です。

 

また、取締役の任期満了にともなう再選決議や重任登記をしないまま、長期間放置してしまうと、その会社がみなし解散になってしまう可能性もあります。みなし解散とは、一定期間登記をしていない会社が職権により解散したとみなされる制度のことです。株式会社の場合、最後に登記をしてから12年経過すると、一定の手続きを得た後、その会社の登記上に職権で解散の登記がなされます。

 

当事務所でお手続きさせていただいた役員変更の登記においても、長期間再選決議や重任登記をされていない状態にあり、残り1年程度でみなし解散の対象になってしまうケースもありました。

 

そのようなことから、取締役の任期をしっかり管理したうえで、任期満了を迎えた場合、必ず再選(改選)決議をしたうえで役員変更の登記手続きを忘れずにすることが大切です。

権利義務取締役について

取締役が任期満了となる定時株主総会で再選されない場合、退任することになるので、原則として取締役の退任登記の手続きを行います。取締役が辞任して退任した場合も同様です。

 

→ 取締役の任期満了による退任とその登記についてはこちら

 

→ 取締役の辞任による退任とその登記についてはこちら

 

しかし、取締役が任期満了や辞任により退任した場合であっても、退任登記をすることができない場合があります。それは、当該取締役が権利義務取締役に該当する場合です。

 

そこで、権利義務取締役について具体的にみていきます。

 

 

 

@   権利義務取締役とは?

 

 

権利義務取締役とは、退任した取締役がその後も取締役の権利義務を有している人のことをいいます。

 

取締役が任期満了または辞任によって退任した場合、それによって、取締役がいなくなったり、法令や定款で定めた取締役の員数を欠く状態になったりしたとしましょう。このような場合、会社法では、退任した取締役が後任の取締役が就任するまで、引き続き権利義務を負わなければならないと定めています。(会社法346条@)

 

そのような規定があることから、任期満了または辞任によって退任した取締役が権利義務取締役に該当する場合、後任の取締役を選任しなければ、退任登記をすることができません

 

取締役と同様に代表取締役も権利義務代表取締役になる場合があります。具体的には、取締役の任期満了または辞任により退任したときや代表取締役の地位のみを辞任したときなどによって、代表取締役がいなくなったり、定款で定めた代表取締役の員数が欠けたりした場合です。(会社法351条@)

 

しかし、代表取締役としての地位は、取締役の地位を有していることが前提となります。そのため、上記のようなケースでも、取締役を退任して権利義務取締役とならない場合、権利義務代表取締役にもなりません。

 

たとえば、取締役がAとBの2名、代表取締役がAという役員構成の株式会社(取締役会を設置していない会社)があったとしましょう。この場合、Aが取締役を辞任した場合、取締役の権利義務を承継することなく、確定的に退任します。それにより、取締役の地位を前提とする代表取締役の地位も退任することになります。これにより、代表取締役がいなくなってしまいますが、Aは権利義務代表取締役にはならないのです。

 

 

 

A   複数の取締役が退任したときの権利義務取締役について

 

 

複数の取締役が同時に退任した際、どの退任取締役が権利義務取締役となるのでしょうか。

 

たとえば、定款で取締役の員数が3名以上と定めている取締役会設置会社でA、B、C、Dの4名の取締役が在籍していたとします。このうち、取締役A、B、Cの3名が同時に退任し、その後任者を選任しなかった場合、取締役が2名不足することになります。そのため、退任した取締役A、B、Cの3名のうち、2名を権利義務取締役として取り扱えばよいとも考えられるところです。

 

ですが、上記のケースでは、退任した取締役A、B、C全員が権利義務取締役となります。同時に複数の取締役が退任した場合、どの取締役が権利義務取締役に該当するのかという区別をすることができません。そのようなことから、同時に退任した取締役全員を権利義務取締役として扱うことにしているのです。(S37・8・18民事甲2350号)

 

 

 

B   権利義務取締役の権限

 

 

権利義務取締役は、取締役の退任後も引き続きその権利義務を負っている人のことをいうので、通常の取締役と同じ権限を有しています。そのため、取締役会の構成員になって、会社の業務執行の決定を行うことが可能です。

 

また、権利義務取締役が代表取締役となって、会社の業務執行をすることもできます。

 

 

 

C   権利義務取締役の退任日はいつか?

 

 

退任した取締役が権利義務取締役となっている場合、その後、後任の取締役が就任すれば、退任した取締役は、その権利義務から解放されます。それにより、取締役の退任登記を申請することも可能となります。

 

そこで、権利義務取締役についての退任登記をする場合、その日付はいつになるのでしょうか。権利義務取締役が取締役を退任したのは、任期満了日または辞任した日です。そのため、任期満了日または辞任した日をもって、権利義務取締役の退任登記を行います。

 

また、権利義務取締役が代表取締役に選定されていて、その後、権利義務取締役の後任の取締役が就任したときの退任日はどのようになるのでしょうか。この場合、取締役の退任日は上記と同じです。一方、代表取締役の退任日は、権利義務取締役ではなくなった日になります。

 

 

 

D   権利義務取締役の辞任および解任は可能か?

 

 

権利義務取締役の地位は、法律の規定によって与えられたものです。そのため、権利義務取締役を辞任したり、解任したりすることができません

 

また、株主による取締役の解任の訴え(会社法854条)によっても、権利義務取締役の解任請求することはできないという最高裁の判例もあります。(最判H20・2・26判決)

 

もし、権利義務取締役をその地位から退かせたいのであれば、後任の取締役を選任するなどして対応する必要があります。

取締役の任期の変更

会社法には、株式会社の取締役の任期規定があるので、会社の定款に取締役の任期を定めるのが通常です。

 

→ 取締役の任期についてはこちら

 

そして、一度定款で取締役の任期を定めた後、会社の事情により、その任期を変更したいという場合も存在します。このようなとき、取締役の任期を変更することも可能です。

 

そこで、取締役の任期の変更はどのように行うのか、また、任期変更によって在任取締役の任期にどのような影響を与えるのかみていきます。

 

 

 

@   取締役の任期の変更をするには定款変更の決議が必要

 

 

株式会社では、定款で取締役の任期を定めています。そのため、取締役の任期を変更するためには、株主総会を開催して、定款変更の決議をしなければなりません。

 

株主総会の定款変更決議によって、取締役の任期を変更した後、当該株主総会の議事録を作成すれば手続き完了です。取締役の任期は登記事項ではないので、取締役の任期を変更しても、登記手続きをする必要はありません。

 

また、取締役の任期変更にともない、変更後の内容を記載した定款を新しく作成する場合、その定款について、公証人の認証を受けなくてもかまいません。株式会社の設立手続きの際に作成する定款は、公証人の認証を受けなければなりませんが、その場合とは異なります。

 

→ 株式会社設立の定款認証(電子定款認証)手続きについてはこちら

 

 

 

A   任期変更によって在任取締役の任期に与える影響

 

 

株式会社の取締役の任期を変更する際、通常、在任する取締役が存在します。そこで、取締役の任期を変更することによって、在任取締役の任期にどのような影響を与えるのでしょうか。取締役の任期を伸長した場合と短縮した場合について、それぞれみていくことにします。

 

 

@ 任期を伸長した場合

 

取締役の任期を伸長すると、その効果は在任取締役にも及ぶのが原則です。そのため、在任取締役の任期満了前に取締役の任期を伸長した場合、その在任取締役の任期は、原則として伸長後の任期満了のときまでとなります。

 

たとえば、非公開会社(譲渡制限会社)の株式会社において、取締役の任期が、約2年(選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結のときまで)だったとします。それを約2年から約10年に変更した場合、それ以降、在任取締役の任期も約10年となるのです。(任期の起算日は、在任取締役が選任されたときになります。)

 

そのため、上記のケースにおいて、約2年の任期満了を迎える定時株主総会の少し前に取締役の任期を伸長する変更を行うと、在任取締役の任期も伸長されるため、改選手続きをしないで済ませることができます。

 

一方、定時株主総会で取締役の任期伸長の変更決議をする際、当該総会で任期満了を迎える在任取締役にその効果が及ばないようにする方法はあるのでしょうか。

 

まずあげられるのが条件付で決議をする方法です。任期伸長の変更の効力発生時期を定時株主総会の終結後とすれば、当該総会で任期満了を迎える在任取締役にその効果を及ばないようにすることができます。

 

また、「在任取締役の後任として何某を取締役に選任した」旨を定時株主総会の議事録に記載しておくことで、任期伸長の変更の効果を在任取締役に及ばないようにすることが可能です。取締役の任期伸長の変更をする際、反対の意思表示があるなど特段の事情が存在する場合、任期伸長の変更の効果は在任取締役に及びません。そのため、上記の文言を記載しておけば、在任取締役の任期を伸長しない趣旨だと判断され、任期伸長の変更の効果を及ばないようにすることができるのです。

 

 

A 任期を短縮した場合

 

定款変更を行って取締役の任期を短縮した場合、在任取締役にもその効力が及んで任期が短縮されます。もし、取締役の任期を変更する旨の定款変更を行ったことにより、在任取締役の選任のときから起算した短縮後の任期がすでに満了している場合、その在任取締役は退任することになります。

 

上記のケースにおいて、在任取締役の退任日はいつになるのでしょうか。在任取締役は任期満了により退任するので、選任のときから起算した短縮後の任期満了日が退任日になるのではとも考えられます。ですが、この場合、取締役の任期を短縮する旨の定款変更を行った日が退任日となります。 

 

また、在任取締役が取締役の任期短縮にともなって退任となった場合、その際に生じた損害賠償を株式会社に請求できるのかという問題も存在します。取締役の任期短縮によって在任取締役が退任となったときの効果は、取締役を解任されたときと変わりません。会社法では、取締役が正当な理由なく解任された場合、株式会社に対し、解任によって生じた損害賠償を請求できると規定されています。(会社法339条A)そのため、取締役の任期短縮によって退任した在任取締役も解任された場合と同様、株式会社に対して損害賠償を請求できるのではとも考えられるところです。

 

東京地裁の判例(2015年6月29日判決、判例時報2274号113頁)では、取締役の任期短縮によって退任した在任取締役は、会社法339条Aの規定の類推適用により、任期短縮による退任に正当な理由がある場合を除いて、株式会社に対して損害賠償を請求できるという判断が下されています。

 

株式会社が取締役の任期を短縮する場合、それによって退任となる在任取締役から損害賠償を請求される可能性があるので、その点を注意しなければなりません。

取締役が亡くなった場合の登記手続き

死亡は取締役の退任原因となります。そのため、株式会社の取締役が亡くなった場合、原則として登記原因が発生した日(取締役の死亡日)より2週間以内に、取締役の退任登記の手続きをしなければなりません。(会社法915条@)

 

 

 

@   取締役の死亡による退任登記

 

 

取締役の死亡による退任登記の手続き方法は、亡くなった取締役が会社の代表者であるか否か、または役員構成の内容によって異なります。

 

 

@ 亡くなった取締役が平取締役である場合

 

平取締役が亡くなった場合、取締役の死亡による退任登記の手続きだけ行えばよいのが原則です。

 

取締役の死亡による退任によって、法令または定款で定めた取締役の員数を欠いてしまうこともありますが、その場合でも、亡くなった取締役の死亡による退任登記をすることは可能です。

 

ただ、法令または定款で定めた取締役の員数を欠く状態となり、新たな取締役の選任手続きをすること怠った場合、会社の代表者に対して100万円以下の過料が課せられる可能性もあります。(会社法976条)

 

そのようなことから、取締役の死亡による退任登記の手続きをする際、それによって法令または定款で定めた取締役の員数を欠くことになった場合、同時に後任の取締役を選任しておくべきだといえます。

 

 

A 亡くなった取締役が会社の代表者である場合 

 

亡くなった取締役が会社の代表者である場合、取締役と代表取締役の死亡による退任登記をしなければなりません。具体的には、「代表取締役である取締役何某は、年月日死亡」を登記すべき事項として、同時に退任登記を行います。

 

代表者である取締役が亡くなることで、代表者がいなくなってしまった場合、後任の代表者を選任しなければなりません。そのため、このようなときは、亡くなった代表者である取締役の退任登記と同時に後任として選任された代表者の就任登記(場合によっては取締役の就任登記も同時に)をする必要があります。

 

また、取締役の死亡による退任登記をしたことにより、代表者が変更になった場合、会社の印鑑に関する手続きもあわせて行わなければなりません。

 

→ 会社の印鑑に関する手続きについてはこちら

 

 

 

A   取締役の死亡による退任と権利義務取締役について

 

 

取締役が任期満了または辞任で退任することによって、法令または定款で定めた取締役の員数を欠く状態になったとします。このようなとき、退任取締役は権利義務取締役となるため、後任者を選任しなければ退任登記ができません。

 

→ 権利義務取締役についてはこちら

 

しかし、取締役の退任原因が死亡である場合、取締役の権利義務発生の要因とはなりません。そのため、取締役の死亡による退任登記をする場合、権利義務取締役に該当するか否かを考慮することなく手続きを進めることが可能です。

 

 

 

B   取締役の死亡による退任登記の必要書類

 

 

取締役の死亡による退任登記を申請する際、その取締役の死亡を証明する書類を提出しなければなりません。

 

具体的には、以下の書類が該当します。

 

・取締役の死亡の記載がある戸籍謄本

・死亡診断書

・遺族の人から会社宛への死亡届

代表取締役の就任承諾について

会社法において、取締役などの役員と株式会社との関係は、委任に関する規定に従う旨の規定があります。(会社法330条)そのため、株主総会で取締役に選任された場合、それだけでは被選任者(選任された人)が取締役の地位に就くわけではありません。選任後、会社側から就任の申込を受けたうえで、さらに被選任者が就任承諾をしてはじめてその地位に就くのです。

 

代表取締役も取締役なので、株式会社とは委任の関係にあります。ですが、代表取締役に選定された場合、被選定者がその地位に就くために就任承諾をする必要のあるケースとする必要のないケースが存在します。

 

そこで、代表取締役の地位に就くために被選定者の就任承諾が必要な場合と不要な場合とは、それぞれどのようなときなのでしょうか。会社の機関設計ごとにその詳細をみていきます。

 

 

 

@   取締役会が設置されていない場合

 

 

取締役会が設置されていない会社において、以下の方法で代表取締役を選定します。

 

@ 定款に直接定める方法

A  株主総会の決議による方法

B 定款の定めに基づく取締役の互選による方法

 

そして、上記の方法で代表取締役に選定された被選定者がその地位に就こうとする際、就任承諾が必要な場合と不要な場合があります。

 

まず、上記@、Aの方法で代表取締役に選定された場合、被選定者はその地位に就くために就任承諾をする必要ありません。なぜなら、被選定者の取締役と代表取締役の地位は一体化したものとされるからです。被選定者が取締役の就任承諾をすれば、その時点で会社を代表する取締役(代表取締役)となります。そのため、代表取締役の地位に就くため、別途就任承諾をする必要はないのです。

 

一方、上記Bの方法で選定された場合、被選定者は就任承諾をしなければ、代表取締役の地位に就くことはできません。なぜなら、被選定者の取締役と代表取締役の地位は分離されたものとして扱われることになるからです。

 

この場合、被選定者が取締役として就任承諾をしても、それだけでは代表取締役として就任承諾をしたことになりません。被選定者が代表取締役の地位に就くためには、別途代表取締役の就任承諾をする必要があります。

 

 

 

A   取締役会が設置されている場合

 

 

取締役会が設置されている会社では、取締役会の決議によって代表取締役を選定します。取締役会の決議で選定された場合、その被選定者の取締役と代表取締役の地位は分離されたものとして扱われます。

 

したがって、取締役会の決議で選定されたとき、その選定者が代表取締役の地位に就くためには、代表取締役の就任承諾をしなければなりません

 

 

 

このように、代表取締役の地位に就くための就任承諾が必要か否かは、その選定方法によって変わってきます。

 

 

また、株式会社の設立の際に選定された設立時代表取締役の就任承諾の要否も、上記結論と基本的に同じです。

 

→ 会社設立時の設立時代表取締役選定の際の就任承諾の要否についてはこちら

取締役の任期が満了した場合の登記手続き

取締役の任期が満了すると、その取締役は任期満了日をもって退任します。

 

→ 取締役の任期についてはこちら

 

そのため、取締役が任期を迎えた場合、その者の退任の登記手続きや改選(再選)の登記手続きをしなければなりません。

 

 

 

@   平取締役の任期が満了した場合

 

 

平取締役の任期が満了した場合、その取締役の退任登記をする必要があります。取締役の任期満了にともない、別の者を後任の取締役として選任した場合、前任の取締役の退任登記だけではなく、後任の取締役の就任登記も同時に行います。

 

ただ、取締役の任期満了により退任した場合であっても、それによって、法令や定款で定めた取締役の員数を欠く状態のときは、その取締役の退任登記をすることができません。なぜなら、退任する取締役は権利義務取締役となるからです。

 

この場合、任期が満了した取締役の退任登記をするには、後任の取締役を選任して、取締役の員数が法令や定款で定めた員数を満たすようにする必要があります。

 

→ 権利義務取締役についてはこちら

 

一方、任期満了を迎える取締役が定時株主総会において再選された場合、退任登記をする必要はありません。この場合、取締役の再選にともなう重任登記をすることになるからです。

 

→ 取締役再選の際に行う重任登記についてはこちら

 

その他、株式譲渡制限の規定を廃止して公開会社となった場合も取締役の任期が満了します。したがって、その際に任期満了となる取締役の退任登記をしなければなりません。

 

→ 公開会社についてはこちら

 

 

 

A   代表取締役である取締役の任期が満了した場合

 

 

任期満了を迎えた取締役が代表取締役である場合も、平取締役のときと同様に取締役の退任登記をしなければならないのが原則です。

 

また、代表取締役の地位は、取締役の地位を前提としているので、代表取締役である取締役が任期満了により取締役を退任した場合、代表取締役も退任したことになります。そのため、原則として代表取締役の退任登記も取締役の退任登記と同時に行わなければなりません

 

この場合の代表取締役の退任原因は「資格喪失」となります。なぜなら、取締役の地位を退くことで、代表取締役の資格も失うことになるからです。

 

→ 取締役、代表取締役の資格を喪失した場合の登記手続きについてはこちら

 

 

 

B   任期満了による退任登記の必要書類

 

 

取締役の任期満了による退任登記を申請する際、取締役改選を行った定時株主総会の議事録を提出する必要があります。上記の定時株主総会議事録に、「任期満了により取締役が退任した」旨の記載がない場合、定款も提出しなければなりません。

 

また、取締役の任期満了にともない、取締役の就任登記や重任登記を行う場合、それらに関する書類も一緒に提出する必要があります。

 

→ 取締役の就任(重任)登記の手続きおよび必要書類についてはこちら

取締役、代表取締役が辞任した場合の登記手続き

役員と株式会社は委任の関係にあります。(会社法330条)そのため、取締役や代表取締役側が自らの意思で辞任することも可能です。

 

そして、取締役や代表取締役が辞任してその地位を退いた場合、その旨の登記手続きをしなければなりません。

 

 

 

@   平取締役が辞任した場合の登記手続き

 

 

取締役の辞任の効力は、その意思表示が会社側へ到達した日に生じます。そのため、平取締役が辞任した場合、その日から原則として2週間以内に退任登記の手続きをする必要があります。

 

しかし、取締役が辞任したことによって、法令または定款で定めた取締役の員数を欠くことになった場合、そのままの状態では辞任した取締役の退任登記はできません。なぜなら、辞任した取締役は権利義務取締役となるからです。

 

→ 権利義務取締役についてはこちら

 

上記のケースで辞任した取締役の退任登記をするには、後任の取締役を選任して、法令または定款で定めた取締役の員数を満たすようにしなければなりません。

 

 

 

A   代表取締役である取締役が辞任した場合の登記手続き

 

 

取締役と代表取締役を同時に辞任した場合、「辞任」を登記原因として取締役および代表取締役の退任登記をするのが原則です。

 

取締役のみを辞任した場合、原則として取締役の辞任による退任登記と代表取締役の資格喪失による退任登記を行います。なぜなら、取締役を辞任すれば、その地位を前提とする代表取締役の地位を失うからです。

 

→ 取締役、代表取締役の資格を喪失した場合の登記手続きについてはこちら

 

なお、取締役を(取締役と代表取締役を同時に)辞任したことによって、その者が権利義務取締役になった場合の結論は、平取締役のケースと基本的に同じです。

 

 

 

B   代表取締役の地位のみを辞任する場合の登記手続き

 

 

取締役としての地位は維持して、代表取締役の地位だけを辞任する場合、辞任による代表取締役の退任登記を行います。ただ、代表取締役に選定された方法によって、被選定者の辞任の仕方も変わってくるので注意が必要です。

 

取締役会を設置している会社において取締役会で選定された場合、被選定者が辞任を意思表示するだけで代表取締役の地位のみを辞任することができます。取締役会を設置していない会社で、定款の定めに基づき取締役の互選で選定された代表取締役も同様です。

 

これに対して、取締役会を設置していない会社において、定款に直接定められた場合および株主総会の決議で選定された場合、被選定者の辞任の意思表示だけでは退任できません。定款変更または株主総会の承認決議を経ることによってはじめて辞任できます。

 

また、各自代表(特定の代表取締役を選定しない場合)の場合は、代表取締役の地位のみを辞任することはできません

 

 

 

C   辞任による退任登記の必要書類

 

 

取締役、代表取締役の辞任による退任登記を申請する際に必要となる書類は、以下のとおりです。

 

 

@ 取締役の辞任の場合

 

・  辞任届

 

 

A 代表取締役の辞任の場合

 

・  定款の定め、株主総会の決議で選定された場合は株主総会議事録

・  定款の定めに基づく取締役の互選で選定された場合は定款および辞任届

・  取締役会で選定された場合は辞任届

 

※  取締役の辞任にともなう代表取締役の資格喪失による退任登記を申請する場合、提出しなければならない書類はありません。

 

 

また、2015年の役員変更登記の改正で、法務局に印鑑を提出している代表取締役が辞任する場合、辞任届に届出印(会社の実印)を押印するか、個人の実印を押印して印鑑証明書を一緒に提出しなければならなくなりました。

 

→ 役員変更登記の改正についてはこちら

取締役、代表取締役を解任(解職)した場合の登記手続き

取締役や代表取締役などの役員が職務執行の際に不正行為をした場合、会社側は、その取締役や代表取締役を解任(解職)して対応することもあります。

 

会社側が取締役や代表取締役を解任(解職)した場合、その旨の登記手続きをすることになります。

 

 

 

@   取締役、代表取締役の解任(解職)手続き

 

 

取締役、代表取締役の解任(解職)の手続きは、以下の方法によって行います。

 

 

@ 取締役の解任

 

取締役の解任は、原則として株主総会の普通決議によって行います。ただ、累積投票によって選任された取締役を解任するには、株主総会の特別決議を経なければなりません。累積投票とは、複数の取締役を選任する際、各株主が保有する1株につき選任する取締役と同じ数の議決権が与えられ、それぞれの取締役に投票しても、1人の取締役に集中して投票してもよいという制度のことです。

 

→ 株主総会の決議要件についてはこちら

 

取締役を解任された場合、その者は取締役の地位を失うことになるので、退任することになります。

 

株主総会で取締役を解任する際、その理由の有無は問われません。ただ、解任に正当な理由がない場合、会社側は解任された取締役から損害賠償の請求を受ける可能性があるので注意が必要です。

 

また、取締役の職務執行の際に不正な行為があったにもかかわらず、その取締役の解任議案が株主総会で否決されたとします。このような場合、一定の条件を満たした株主は、その取締役の解任の訴えを請求することが可能です。(会社法854条)

 

上記訴えの判決が確定した場合、その取締役は解任されます。

 

 

A 代表取締役の解職

 

代表取締役の解職は、選定した方法と同じ方法で行います。

 

→ 代表取締役の選定方法についてはこちら

 

各自代表の場合は(取締役のなかから代表取締役を定めていない場合)、代表取締役の解職をすることはできません。

 

また、代表取締役である取締役が取締役を解任されると、取締役を退任すると同時に代表取締役の資格喪失により退任します。なぜなら、代表取締役の地位は取締役の地位の存在が前提となっているからです。

 

 

 

A   取締役、代表取締役の解任(解職)による退任登記

 

 

取締役、代表取締役の解任(解職)による退任登記の手続き方法と必要書類は以下のとおりです。

 

 

@ 解任(解職)による退任登記の手続き方法

 

取締役が解任された場合、「解任」を登記原因として、その者の退任登記を行います。代表取締役が解職された場合も同様です。

 

また、代表取締役である取締役が取締役を解任された場合、「解任」を登記原因とする取締役の退任登記と「資格喪失」を登記原因とする代表取締役の退任登記同時に行います。

 

 

A 解任(解職)による退任登記の必要書類

 

取締役の解任による退任登記をする場合には、解任決議を行った株主総会議事録を提出しなければなりません。

 

代表取締役の解職による退任登記をする場合に必要となる書類は、以下のとおりです。

 

・定款に定めの削除および株主総会の決議による解職の場合は、株主総会議事録

・取締役の過半数の一致による解職の場合は、定款及び取締役の過半数の一致を証する書面

・取締役会の決議による解職の場合は、取締役会議事録

取締役、代表取締役が資格喪失により退任した場合の登記手続き

会社法では、取締役の欠格事由が定められています(会社法331条@)。もし、取締役の地位に就いている人が、欠格事由に該当することになったとき、その日をもって取締役を退任することになります。

 

上記の場合、欠格事由に該当することになった取締役の資格喪失による退任登記をしなければなりません。

 

 

 

@   取締役の欠格事由

 

 

会社法で定める取締役の欠格事由は、以下のとおりです。

 

 

@ 法人

 

この規定により、株式会社の取締役となれるのは個人のみとなります。

 

 

A 成年被後見人、被保佐人など

 

取締役の地位に就いていた人が、精神上の障害によって判断能力に問題が生じたとします。その際、後見または保佐開始の申立てをした後、家庭裁判所から後見または保佐開始の審判を受けた場合、資格喪失により取締役を退任することになります。

 

 

B 会社法など一定の法律の規定に違反したり、罪を犯したりして、刑に処せられた後、その執行が終わり、またはその執行を受けることがなくなってから2年を経過しない者

 

 

C Bで規定する法律以外の法律の規定に違反し、禁固以上の刑に処せられた後、その執行が終わるまで、またはその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予を受けた者は除きます。)

 

B、Cにおいては、違反した規定や犯した罪の法律の種類によって、取締役の欠格事由となる範囲が異なります。

 

Bの場合、刑に処せられて執行が終わったり、受けることがなくなったりしてから2年を経過した後、はじめて欠格事由から外れることになります。これに対してCの場合、執行が終わったり、受けることがなくなったりすれば、その時点で欠格事由から外れるのです。

 

また、Bの場合、処せられた刑の範囲の定めがないのに対し、Cの場合は禁固以上の刑に処せられた場合に限られる点にも違いがあります。

 

 

 

A   取締役の地位にある人が破産した場合はどうなるか

 

 

会社法制定前の旧商法の規定では、取締役の地位にある人が破産した場合も欠格事由の1つとされていました。一方、会社法の規定において、破産者は取締役の欠格事由とはされていません。そのため、取締役の地位にある人が破産しても、資格喪失により退任することはありません。

 

しかし、取締役の地位にある人が破産すると、委任の終了によって退任します。なぜなら、委任者または受任者が破産したとき、委任は終了する旨が民法で規定されているからです(民653条)。したがって、会社と委任の関係にある取締役が破産すると、その関係が終了して退任となります。

 

ただ、取締役の地位にある人が破産しても欠格事由に該当するわけではありません。そのため、破産により退任となった取締役が株主総会で選任されれば、再びその地位に就くことが可能です。

 

 

 

B   資格喪失による退任登記の手続き方法

 

 

取締役が欠格事由に該当することになった場合、「資格喪失」を原因として取締役の退任登記を行います。

 

また、代表取締役である取締役が欠格事由に該当することになると、取締役の地位だけではなく代表取締役の地位も失います。そのため、この場合は、「資格喪失」を原因として、取締役と代表取締役の退任登記をしなければなりません。

 

 

 

C   資格喪失による退任登記の必要書類

 

 

取締役、代表取締役の資格喪失による退任登記の手続きをする際、以下の書類が必要となります。

 

 

@ 取締役の場合

 

・退任する取締役が欠格事由に該当したことを証明する書類

(後見、保佐の開始審判書、判決書の謄本など)

 

A 代表取締役の場合

 

取締役の資格喪失により代表取締役の地位も同時に失うので、上記書類以外に提出する必要はありません。

株主リスト

株主総会決議が必要となる登記を行う場合、株主総会議事録を添付して手続きをします。しかし、2016年10月1日以降、株主総会議事録の他に株主リストを添付しなければならなくなりました。

 

株主リストの添付が義務付けられる法人は、株式会社の他、投資法人と特定目的会社です。(投資法人と特定目的会社の場合は、社員リストになります)

 

 

 

@ 株主リストとは

 

 

株主リストとは、会社の株主の具体的な情報を記載した書面のことです。株式会社の場合、株主総会決議または株主全員の同意を要する登記手続きを行うとき、原則株主リストを添付しなければなりません。種類株主総会決議または種類株主全員の同意を要する登記手続きをするときも同様です。

 

なぜ、商業法人登記の手続きにおいて、株主リストの制度が創設されたのでしょうか。それは、株主総会議事録を偽造して商業法人登記を行う犯罪行為の発生を抑制するためです。このような犯罪行為を防ぐためには、商業法人登記の真実性を担保する仕組みが必要になります。それを実現するため、株主総会決議等が必要な商業法人登記を行う場合、株主リストの提出が必要となったのです。

 

株主リストが提出されることで、法務局側もその会社の株主の情報を把握できるようになりました。それにより、法務局側でも虚偽の商業法人登記がされるのをある程度防ぐことが可能になったと言えるでしょう。また、法人の透明性が確保されることで、法人格悪用の抑制効果も期待されます。

 

 

 

A 株主リストの記載内容

 

 

株主リストに記載すべき株主の範囲は、商業登記規則で定められています。

 

具体的には、株主総会決議や種類株主総会決議を要する登記手続きを行う場合、議決権を行使できる株主の中で、議決権割合の多い株主から順に総議決権数の3分の2に達するまで記載しなければならないのが原則です。ただ、株主の数が10人以上の場合、記載するのは議決権割合の多い上位10名になります。(状況によっては10人以上記載しなければならない場合もあります)

 

一方、株主全員または種類株主全員の同意を要する登記手続きを行う場合は、株主全員を記載しなければなりません。

 

株主リストには、具体的にどのようなことを記載するのでしょうか。その内容も商業登記規則で定められており、株主の氏名(名称)と住所、保有株式数、議決権数となっています。また、株主総会決議や種類株主総会決議を要する登記手続きを行うときに添付する株主リストには、上記の他、議決権数の割合も記載しなければなりません。

 

 

 

B 株主リスト作成の注意点

 

 

株主リストを作成する場合、注意しなければならない事項がいくつかあります。

 

まず、株主リストの作成は、法務局へ印鑑を提出している代表者が原則行います。役員改選などで代表者が変更になるときは、登記申請をする際に代表者である人が作成しなければなりません。株主総会で代表者の地位を退いた人には、株主リストの作成権限はないので注意しましょう。

 

次に、株主リストは、登記事項となる株主総会の議案ごとに作成する必要があります。たとえば、取締役の選任と社名の変更に関する決議を1回の株主総会の決議で行った場合、それぞれの議案に関する株主リストを作成しなければならないのが原則です。ただ、各議案を決議した株主の内容が同じであるときは、1通の株主リストを作成して、その旨を明記することで構いません。

 

それから、議決権を行使できる株主であれば、すべて株主リストの記載の対象となります。株主総会に欠席したり、議決権を行使しなかったりした株主でも、議決権があれば株主リストへの記載の対象から外れません。

 

また、株主の数が10名以上の株式会社の場合であっても、株主リストへ10名以上の株主の情報を記載しなければならないケースがあります。たとえば、議決権数が10番目に多い株主が2名いるとき、株主リストへその両方の株主の情報を記載しなければなりません。そのため、このような場合では、合計11名の株主の情報を記載することになります。

株式会社の役員の住所と氏名の変更登記

株式会社の取締役に就任すると氏名が登記され、代表取締役に就任すると氏名と住所が登記されます。その後、さまざまな事由で役員の氏名や住所に変更が生じた場合、その旨の登記手続きをしなければなりません。

 

 

 

@ 住所と氏名の変更登記が必要となる場合

 

 

株式会社の取締役または代表取締役である方が結婚をしたり、養子縁組をしたりして氏が変更になったとしましょう。このようなときは、取締役または代表取締役の氏名変更の登記をします。それから、株式会社の代表取締役の方が、就任後に転居して住所が変わった場合、住所変更の登記が必要です。

 

また、転居以外にも株式会社の代表取締役の住所変更登記が必要になるケースもあります。それは、住居表示の実施や変更、行政区画の変更にともなう地番の変更によって住所変更が生じたときです。ただ、地番変更をともなわない行政区画の変更の場合は、住所変更の登記をする必要はありません。なぜなら、その旨の登記がないときでも、法律上変更登記があったものとみなされるからです。(商登法26条)

 

 

 

A 登記をしないと過料を命じられる可能性がある

 

 

役員が辞任したり、任期満了により退任したりした場合、基本的に役員の変更登記を忘れてしまうことはあまりないでしょう。ですが、役員の住所や氏名が変更になったとき、その登記手続きをしないままにしてしまうことが多いです。会社の代表者や担当者によっては、登記しなければならないことを知らない方もいます。

 

役員の住所や氏名が変更になった場合、その旨の変更登記をしないと過料を命じられる可能性があります。会社の登記事項に変更が生じたとき、2週間以内に本店所在地においてその変更登記をしなければなりません。(会社法915条1項)役員の住所や氏名も会社の登記事項に含まれます。もし、上記の変更登記をしないと、100万円以下の過料に処すると法律で定められているため注意が必要です。(会社法976条)

 

役員の住所や氏名の変更登記を怠って過料の対象になった場合、どのくらいの金額の支払いを命じられるのかはケースバイケースです。裁判所側が、登記を怠った期間などを総合的に判断して過料の額を決めています。一般的に登記義務が発生してから手続きをしなかった期間が長いと、それだけ過料の額も大きくなると考えられます。

 

そのようなことから、株式会社の「取締役の氏名」および「代表取締役の住所、氏名」に変更が生じて登記義務が発生した場合、速やかに手続きをしたほうがよいでしょう。

 

 

 

B 株式会社の役員の住所と氏名の変更登記の必要書類

 

 

株式会社の役員の住所と氏名の変更登記をする場合、必要書類は登記委任状のみです。ただ、役員の変更後の住所や氏名を住民票や戸籍の記載どおりに登記しなければなりません。そのため、住所変更の場合は住民票、氏名変更の場合は戸籍を用意する必要があります。

 

また、2015年に役員変更登記に関する改正が行われ、婚姻により役員の氏名変更登記をする際、婚姻前の氏も登記するよう申出をすることができるようになりました。この場合、婚姻により氏が変更になったことを証明できる戸籍を提出しなければなりません。

 

→ 役員変更登記に関する改正についてはこちら

 

 

それから、住居表示の実施や変更、行政区画の変更にともなう地番の変更で代表取締役の住所変更の登記をする場合、以下の書類も準備したほうがよいでしょう。

 

・市町村長の証明書

・住居表示の実施等にかかる住居番号決定通知書

 

役員の住所と氏名の変更登記をする際、原則3万円(資本金の額が1億円以下の会社は1万円)の登録免許税を納付しなければなりません。しかし、上記の書類を添付して代表取締役の住所変更の登記をすれば、登録免許税が課されなくなるからです。

代表取締役である取締役が退任したときの残存取締役の代表権について

取締役が複数名いる会社において、代表取締役である取締役が退任した場合、残った平取締役の代表権が復活するのか否かが問題になります。たとえば、取締役がA、Bの2名でAが代表取締役に選定されている会社があるとしましょう。このとき、代表取締役である取締役Aが辞任や死亡により退任すると平取締役Bが代表取締役になるのでしょうか。

 

 

 

@ 基本的に残存取締役の代表権は回復しない

 

 

複数の取締役の中から特定の代表取締役が選定された場合、他の取締役の代表権は剥奪されることになります。そのため、代表取締役である取締役が辞任や死亡により退任しても、残存取締役の代表権は当然に回復するわけではありません。

 

このようなケースでは、新たに取締役の中から代表取締役を選定する必要があります。上記の事例では、残存取締役Bを代表取締役に選定し、Aの代表取締役である取締役の退任登記とBの代表取締役の就任登記の手続きをすることになります。

 

また、退任したAの代わりにCを取締役に選任した後、代表取締役に選定することも考えられるでしょう。その場合は、Aの代表取締役である取締役の退任登記およびCの取締役と代表取締役の就任登記の手続きをしなければなりません。

 

 

 

A 定款の定めにより回復する場合がある

 

 

代表取締役である取締役が退任した場合、残存取締役の代表権は回復しないのが原則です。しかし、定款の定めによっては残存取締役の代表権が回復するケースもあります。

 

たとえば、定款に「当会社の取締役が1名であるときは、その者が代表取締役になる」という規定があったとしましょう。この場合、取締役が1名になると、その人が当然に代表取締役になるのです。

 

また、「当会社に取締役2名以内を置き、取締役の互選により代表取締役1名を置く」という規定が定款にあるときも残存取締役の代表権が回復します。なぜなら、この定款の規定は、「取締役が2名のときは互選によって代表取締役を定め、取締役が1名しかいない場合はその人が当然に代表取締役になる」という意味だと解されるからです。

 

このような定款の定めがあった場合、代表取締役である取締役の退任登記とともに残存取締役の「代表権付与」の登記を行います。

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