公正証書遺言の具体的な作成手順は、以下のとおりになります。

 

【ⅰ.遺言書作成の相談・依頼から遺言書作成日決定まで】

 

公正証書で遺言を作成する場合、まず遺言者がその内容の原案を考えるところからはじめます。(考えた遺言書の原案の内容をメモしたり、記録を残したりしておくのが望ましいです。)

 

遺言書の原案が出来上がった後、事前予約の上、公証人がいる公証役場まで足を運び、遺言書作成の相談、依頼、打合せなどを行います。その際には、公正証書で作成する遺言書の原案と下記の必要書類の提出が必要です。(遺言書作成の相談、依頼、打合せなどは電話・メール、遺言書の原案と必要書類の提出はメール・郵送・FAXなどの方法で行うことも可能です。)

公正証書遺言作成の必要書類 

  • 遺言者の本人確認書類(例 印鑑証明書+本人の実印、免許証・マイナンバーカードなどの身分証明書+認印)
  • 遺言者と受益相続人等との続柄がわかる戸籍謄本、住民票(本籍記載のもの)
  • 相続人以外の人に遺贈する場合は、その人の住民票(本籍記載のもの)
  • 預貯金などの通帳またはその写し
  • 財産に不動産がある場合は、登記事項証明書(登記簿謄本)、固定資産評価証明書
  • 証人の用意できる遺言者は、証人予定者のお名前、住所、生年月日及び職業をメモしたもの
  • 相続人または受遺者以外の人を遺言執行者にする場合、その人の特定資料

 

※  遺言者の財産や遺言の内容によっては、上記以外に必要となる書類が追加となる場合もあります。                                  

 

遺言書作成の相談、依頼、打合せ・書類提出の後、公証人側で公正証書遺言の原案を作成し、その内容を遺言者側にメールなどで通知します。遺言者側は、公証人側から通知を受けた公正証書遺言の原案の内容を確認の上、修正点があればその旨を公証人側に伝えて修正してもらいます。公正証書遺言の原案の内容に問題がない(公証人側で内容修正の上問題がない場合も含む)場合、遺言者側からその旨を伝えると、公証人側で公正証書遺言として作成する遺言書の内容を確定します。

 

公正証書遺言として作成する遺言の内容の確定後、遺言者側と公証人側で打合せをした上で、公正証書遺言の作成日を決定します。

 

ⅱ.公正証書遺言の作成当日】

 

遺言者は、公正証書遺言の作成日時に公証役場まで出向きます。そこで、2人の証人の立会のもと、公証人が関与する形で公正証書遺言を作成します。

 

公正証書遺言の作成、公正証書遺言の正本・謄本の交付などの具体的な当日の手続き手順は、以下のとおりです。

【1.遺言内容の口授・公正証書遺言の原案の読み聞かせ】

最初に、遺言者本人から公証人に対して公正証書遺言として作成する遺言の内容を口授します。その後、遺言者からの口授を受けた公証人は、遺言者の真意の存在を確認の上、事前に作成済の公正証書遺言の原本を遺言者と2名の証人に読み聞かせて、その内容の確認を求めます。

 

【2.遺言者および証人の署名と押印】

公証人から読み聞かされた公正証書遺言の原本の内容に問題がない場合、遺言者と証人はそれぞれ署名と押印を行います。押印する際の印鑑は実印でなければならないという規定はありません。ですが、遺言者については、印鑑証明書で本人確認などを行う関係で、押印は実印を求められるのが通常です。

 

【3.公証人の署名と押印】

遺言者と2人の証人の署名と押印が済んだ後、公証人は証書が方式にしたがって作成されたものである旨を付記した上で、署名と押印をします。これにより、公正証書遺言が完成することになります。

 

【4.遺言書の交付および保管】

公正証書遺言は原本、正本、謄本の3種類が作成され、そのうち正本と謄本は遺言者側へ交付され、原本は公証役場で保管されるのが通常です。

 

【5.公正証書遺言の作成費用の支払い】

公正証書遺言を作成するには、そのための費用を支払わなければなりません。遺言者は、遺言書作成の当日、正本・謄本の交付を受ける際に規定の手数料を現金またはクレジットカードで支払うことになるのが原則です。

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