不動産の権利に関する登記申請をするにおいて、登記名義人が登記識別情報を提供できない(登記済証を提出できない)場合、その代替となる手続き方法の1つが事前通知制度です。

 

そこで、事前通知制度とはどのような手続きなのか、その制度の内容、手続き方法などについてみていくことにします。

 

【ⅰ.事前通知制度とは】

 

事前通知制度とは、登記識別情報の提供(登記済証の提出)が必要となる登記において、これらの書類が提供(提出)されないで申請手続きがなされたとき、その登記が登記名義人本人の意思に基づいて申請されたのかを登記官側で確認したうえで登記手続きを実行するための制度です。

 

具体的には、登記識別情報が提供されない(登記済証が提出されない)で登記申請がなされた場合、登記官から申請人である登記名義人に対して「登記申請があった旨」および「その登記申請の内容が真実であると考えるのであれば、一定期間内にその旨の申出をすること」を通知します。

その後、申請人である登記名義人より、上記通知から一定期間内に申出がなされた場合、申請された登記が処理されることになります。

 

不動産の権利に関する登記において、登記識別情報の提供(登記済証の提出)は、申請人である登記名義人の本人確認としての機能があります。しかし、これらの書類が提出されないで登記申請がなされた場合、登記名義人の本人確認ができません。それにより、不実の登記がなされてしまう可能性がでてきてしまいます。

そのようなことから、事前通知制度を設けることにより、登記官側で申請人である登記名義人の本人確認を行って不実の登記がなされないようにしているのです。

 

【ⅱ.登記名義人への事前通知方法】

 

事前通知の方法によって登記手続きを進める場合、登記官は登記名義人に対して書面を送付する方法により通知します。具体的には、事前通知の方法で登記申請を行った件数ごとに事前通知書を登記名義人宛に送付します。

不動産の権利に関する登記の申請方法は、書面申請とオンライン申請がありますが、どちらの方法で登記の申請手続きを行った場合でも、上記の方法で事前通知がなされることになります。

 

また、事前通知書の送付先や送付方法については、登記名義人が個人であるか法人であるかによって異なります。具体的には、以下のとおりです。

【1.登記名義人が個人の場合】

 

登記名義人が個人である場合、その人の住所宛に本人限定受取郵便またはそれに準ずる方法によって送付します。

 

【2.登記名義人が法人の場合】

 

登記名義人が法人である場合、原則としてその法人の主たる事務所へ書留郵便などの方法で送付します。

 

ただ、登記名義人が法人の場合で事前通知の方法によって登記手続きを行う際、その法人の代表者の住所へ事前通知書を送付する旨の希望を申出することが可能です。

 

このようなときは、法人の代表者の住所に本人限定受取郵便またはそれに準ずる方法によって送付することになります。

 

【ⅲ.事前通知による登記手続きの流れ】

 

事前通知制度を利用しての登記は、以下の流れで手続きが進んでいきます。

 

【1.登記識別情報(登記済証)なしで登記申請】

 

事前通知制度を利用して登記をする場合、登記識別情報を提供しないで(登記済証を提出しないで)申請手続きを行います。申請書には、登記識別情報を提供できない(登記済証を提出できない)理由を記載して申請先の法務局へ提出します。

 

【2.登記官からの事前通知書の発送】

 

上記1の登記手続きを法務局で受け付けた後、登記官から登記名義人に対して事前通知書が発送されます。発送先や発送方法についてはⅱのとおりです。

 

【3.登記名義人の申出】

 

登記官より事前通知書が発送されてから一定期間内に、登記名義人は申請された登記の内容が真実である旨の申出をしなければなりません。申出期間は、登記官より事前通知書が発送されてから原則として2週間以内です。ただ、登記名義人の住所が外国にある場合は、4週間以内となります。

 

申出の方法は、登記の申請を書面で行ったかオンラインで行ったかによって異なります。書面申請の方法で手続きをした場合、事前通知書の下側にある申出書の回答欄に、登記名義人の名前を記載して、その横に申請書または委任状に押印した印鑑と同じ印鑑で捺印をします。その後、署名捺印をした申出書(事前通知書)を登記申請先の法務局へ返送する方法で申出を行います。

 

オンライン申請によって手続きをした場合、法務大臣の定めるところにより、登記名義人が事前通知の書面の内容を通知番号などにより特定し、申請された登記の内容が真実である旨に電子署名を行ったうえで、オンラインによってその情報を送信するという形で申出を行います。

 

【4.申出書の受領および登記の処理、実行】

 

登記名義人より返送された申出書が、登記申請先の法務局側が受領した後、登記の処理の作業を行って登記が実行されます。

 

【ⅳ.前住所地への通知】

 

登記識別情報を提供できない(登記済証を提出できない)ため、事前通知制度を利用して登記申請をする際、その登記が所有権に関するものであり、なおかつ登記義務者(登記名義人)の住所の変更登記がされている場合、原則として、その登記義務者の登記記録上の前住所への通知も行われます。

 

ただ、以下のケースに該当するときは、前住所への通知はされません。

  • 住所変更(更正)の登記の登記原因が行政区画若しくはその名称又は字若しくはその名称についての変更又は錯誤若しくは遺漏である場合 
  • 事前通知によって登記申請をした日が最後の住所変更(更正)登記の申請の受付年月日から3ヶ月を経過している場合 
  • 登記義務者(登記名義人)が法人である場合 
  • 資格者代理人(司法書士など)により本人確認情報の提供があり、その内容により申請人が登記義務者(登記名義人)であることが確実であると認められる場合

 

→ 資格者代理人による本人確認情報制度についてはこちら

 

【ⅴ.事前通知がなされない場合】
 

以下のケースのいずれかに該当する場合、登記識別情報を提供しない(登記済証を提出しない)で登記申請を行ったときでも、登記官より事前通知はなされません。

  • 資格者代理人(司法書士など)により本人確認情報が提供され、その内容を登記官が相当であると認めた場合

 

  → 資格者代理人による本人確認情報制度についてはこちら

 

  • 申請情報または委任状につき、公証人から登記義務者(登記名義人)である旨を確認するために必要な認証がなされ、その内容を登記官が相当であると認めた場合

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