建物を所有する場合、建物の所有権だけではなく、その敷地となる土地を利用する権利が必要です。土地の利用権は、所有権であることが一般的ですが、借地権である場合もあります。
 

そこで、土地の利用権が借地権である建物を所有している人が亡くなって相続が発生した場合、どのような手続きが必要なのでしょうか?

 

【ⅰ.建物と借地権の相続手続き】

 

借地権も財産権なので、相続の対象に含まれます。そのため、相続人は建物と共に借地権を取得することになるのです。借地権の建物の相続手続きの方法ですが、建物の場合、被相続人から権利を取得する相続人へ名義を変更します。一方、借地権に関しては、相続により権利を取得した旨を地主に通知するだけです。
 

借地権には地上権と賃借権がありますが、後者である場合、借地権の相続手続きをする際、地主の承諾が必要になるのではとも考えられます。なぜなら、賃借人が他の者に賃借権を譲渡する場合、賃貸人の承諾が必要との規定(民612条①)があるからです。
 

しかし、相続は被相続人の権利や義務が相続人へ包括的に承継されるもので、譲渡のような特定承継ではありません。したがって、相続により借地権を取得した場合、地主の承諾は必要ないのです。
 

ただ、相続人が相続により借地権を取得した場合、その旨を地主に伝えなければ分かりません。そのため、相続人は自分が借地権を相続した旨を地主に通知することになります。

 

【ⅱ.建物と借地権が遺贈された場合】

 

借地権を有していた被相続人が、遺言で相続人以外の者へ遺贈により権利を承継させるケースもあるでしょう。そこで、遺贈により建物と借地権を取得した場合、相続で取得したときと何か違いがあるのでしょうか?
 

建物については被相続人から権利を取得した者への遺贈による名義変更手続きをします。登記手続きの方法は、相続を原因として名義変更する場合と異なりますが、建物の名義が権利取得者へ移転するという効果の面では同じです。
 

→ 遺贈による登記手続きについてはこちら

→ 相続による登記手続きについてはこちら
 

しかし、遺贈により借地権を取得する場合、相続の場合と異なり、地主の承諾を得なければなりません。そのため、遺言の効力が生じた後、地主へ承諾請求することになります。
 

地主に対する承諾請求は、遺贈により借地権を取得した受遺者と遺贈義務者(遺言者の相続人全員又は遺言執行者)が連署して行うのが一般的です。ただ、地主側は、遺贈による借地権移転の承諾義務はありません。そのため、地主へ承諾請求をしても断られてしまう可能性もあります。
 

もし、地主が遺贈による借地権移転を承諾しない場合、借地権者側は、裁判所へ申立をして、承諾に代わる許可をもらうことが可能です。ただ、遺贈により借地権が移転しても、地主に不利となるおそれがない場合に限られます(借地借家19条①)。

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