私生活のなかでは、親子間で財産を譲渡したり、共同で相続したりするケースが少なくありません。その際、子が未成年である場合、利益相反の問題が生じます。不動産の売買や相続に関する登記手続きをする際にも、親と未成年の子の利益相反行為に関する問題が絡んできます。

 

そこで、親と未成年の子の利益相反行為について詳しくみていきましょう。

 

【ⅰ.親と未成年の子の間で利益相反が生じたときは特別代理人を選任する】

 

利益相反行為とは、複数当事者間で一定の行為をする際、一方に利益が生じた場合に他方が不利益となるような行為をいいます。法律上の行為で生じる利益相反行為はいくつかありますが、親と未成年の子の間で行われる法律上の行為はその一例です。

 

未成年の子は、原則自分1人で法律上の行為をすることができません。有効な法律行為をするためには、法定代理人である親の同意を得る必要があります(民5条①)。また、親は未成年の子の親権者にあたります(民818条)。そのため、親が代理人となって未成年の子の法律行為をすることが可能です(民824条本文)。

 

しかし、未成年の子と親との間で法律上の行為をする場合、親が未成年の子の代理人となって取引できるとすると、未成年の子に不利益が生じてしまう可能性があります。なぜなら、一方では親が当事者として、もう一方では未成年の子の代理人としての立場になり、事実上親だけでその内容を決められる状態となるからです。しかし、それでは公平性が保たれないので好ましくありません。

 

そこで、上記のような親と未成年の子の間で利益相反が生じるケースでは、家庭裁判所に申立てをして特別代理人を選任してもらうことになります(民826条①)。選任された特別代理人が、利益相反の状態にある親の代わりに未成年の子の代理人となり、法律上の行為をするのです。これにより、法律上の行為をするにおいての未成年者の利益が守られます。
 

→ 特別代理人の選任についてはこちら

 

【ⅱ.親と未成年の子の利益相反行為の具体例】

 

親と未成年の子の間で法律上の行為をする際、利益相反の状態が生じるのは具体的にどのような場合でしょうか。

 

まずあげられるのは、未成年の子の財産を親へ譲渡したり、親の財産を有償で未成年の子へ譲渡したりするときです。たとえば、父親の所有する不動産を未成年の子へ売却するとしましょう。この場合、父親と未成年の子との間で利益相反の状態が生じます。そのため、不動産の売買契約を締結する場合、父親に代わって特別代理人が未成年の子を代理することになります。また、両親がいる場合、原則父親と母親が共同で親権を行使しなければなりません(民818条③本文)。したがって、母親と特別代理人が共同で未成年の子を代理して、父親と不動産の売買契約を締結することになります。

 

不動産売買の登記を行う際、親子間の利益相反が生じたとき、手続きにはどのような影響があるのでしょうか。特別代理人が登記手続きに関与する場合、その代理権を明らかにするために選任審判書の添付が必要となります。その他については、通常の場合と変わりません。

 

それから、相続の場合でも親と未成年の子の間で利益相反となるケースがあります。たとえば、相続が発生して、親と未成年の子が同時に法定相続人になったとしましょう。その際、親と未成年の子が遺産分割協議をすると利益相反となります。
 

→ 法定相続人のなかに未成年の子がいる場合の遺産分割についてはこちら
 

また、親が未成年の子に代わって相続を放棄するときも、親自身が同時に放棄しない限り、利益相反行為となってしまうのです。

 

【ⅲ.利益相反行為の判断基準と効力】

 

ある法律上の行為が利益相反にあたるか否かは、その行為の外形上で判断されます。その行為の内面的な要素については基本的に考慮されません。たとえば、共同相続人となった親と未成年の子が、遺産分割協議をすることになりました。このような場合、仮に未成年の子にとって有利な協議内容であったとしても利益相反行為になってしまいます。

 

また、利益相反にあたる場合で、特別代理人を選任することなく親と未成年の子で法律上の行為をするとどのような効力が生じるのでしょうか。この場合は、無権代理行為となり、原則無効となります。しかし、未成年の子が成年に達した後、その無権代理行為を追認して、その効力を有効にすることが可能です。

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