相続の効力などに関する見直し(2018年相続法改正E)

2018年相続法改正により、相続の効力などに関する見直しが行われています。

 

 

 

【@.共同相続における権利承継の対抗要件規定】

 

 

相続による権利承継は、遺産分割によるものか否かにかかわらず、法定相続分を超える部分については対抗要件を備えなければ他の人に権利主張ができない旨の規定が設けられました(民899条の2@)。

 

たとえば、被相続人の相続人が2名(相続分は各2分の1ずつ)で相続財産が不動産だけだったとします。このようなとき、相続人の1人が不動産を単独で相続した場合、登記をしなければもう1人の相続人の法定相続分(持分2分の1)に関する部分について、他の人に権利主張ができないことになります。

 

 

共同相続における権利承継の対抗要件規定は、以下のような理由で設けられました。

 

 

【@.遺言の有無や内容を知らない債権者の利益を保護するため】

 

相続法改正前において、相続分の指定または相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言)で相続人の1人が単独で不動産を取得した場合、対抗要件である登記をしなくても、他の人に権利主張が可能でした。たとえ、遺言の有無や内容を知らない債権者が、代位によって法定相続分による相続登記を行ったうえで不動産を取得する相続人以外の者の持分の差押えをしても、その手続きは原則として無効となります。そのようなことから、権利行使が困難となり、債権者の利益が害されてしまう状態にありました。

 

しかし、共同相続における権利承継の対抗要件規定の創設により、相続分の指定または相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言)で相続人の1人が単独で不動産を取得しても、法定相続分を超える部分については登記手続きをしなければ他の人に権利主張できなくなりました。そのため、上記のような場合、差押えをした債権者の権利主張が原則として認められるので、その利益保護がはかられることになります。

 

 

【A.登記制度や強制執行制度の信頼性を確保するため】

 

相続分の指定や相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言)による不動産の権利承継を登記しないで他の人に主張できるとすると、実際の権利関係と登記上の権利関係の不一致が生じるケースも多くなります。それにより、不動産取引の安全が害され、登記制度の信頼性も低くなってしまいます。また、不動産競売などの強制執行手続きにおいても同様の問題が起こりかねません。

 

しかし、共同相続における権利承継の対抗要件規定が存在すれば、上記のような問題を解消できます。それにより、登記制度や強制執行制度の信頼性が確保されることになるのです。

 

 

 

【A.相続によって承継する権利が債権である場合】

 

 

相続によって承継する権利が債権であっても、法定相続分を超える部分については、対抗要件を備えなければ、他の人にその権利主張できない点は同じです。

 

相続によって債権を承継した場合に必要な対抗要件の内容は、債権譲渡と同じになります。そのため、債務者に対する通知または債務者からの承諾がなければ、法定相続分を超える部分の承継につき、債務者に対して権利主張ができません。対抗要件を備えるための債務者に対する通知は、共同相続人全員で行うのが原則です。

 

また、債務者以外の人に権利主張するためは、上記の通知または承諾が確定日付のある証書でなされる必要があります。

 

ただ、上記原則の例外として、法定相続分を超えて債権を承継した相続人が、相続債権に関する遺言または遺産分割の内容を明らかにして債務者にその承継を通知した場合、共同相続人全員が債務者に通知したものとみなす旨の規定も設けられています(民899条の2A)。

 

債権の相続に関して不満を持つ共同相続人が、対抗要件を備えるための通知手続きに協力しないケースも考えられます。そのようなことから、相続によって債権を承継する相続人が単独で通知できる制度が規定されたのです。

▲このページのトップに戻る