株式会社が資本金の額を減少する場合、債権者の利益を保護するため、債権者保護手続きを行わなければなりません(会社法4492項)。

 

債権者保護手続きのうち、債権者への個別催告については、一定の場合、省略できるケースもあります(会社法4493項)。一方、官報公告については、債権者保護手続きとして行う必要があり、当公告を省略することはできません。 

 

→ 資本金の額の減少と債権者保護手続きについてはこちら 

 

そこで、官報による減資公告とその手続き方法について見ていきます。 

 

【減資公告と決算公告を同時に行うこともある】 

 

定款で定める公告方法が官報で大会社以外の株式会社が、資本金の額の減少をする際、「減資の内容」、「債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨」の他、「当該会社の最終事業年度に係る貸借対照表の要旨が公告されている官報の日付および掲載頁」を官報公告する形で債権者保護手続きを行うのが通常です。

【官報の減資公告掲載例】

 

資本金の額の減少公告

 当社は、資本金の額を〇〇万円減少し、〇〇万円とすることにいたしました。

 この決定に対し異議のある債権者は、本公告掲載日の翌日から一箇月以内にお申し出下さい。

 なお、最終の貸借対照表の開示状況は次のとおりです。

 掲載紙   官報

 掲載の日付 令和〇年〇〇月〇〇日

 掲載頁   〇〇頁(号外第〇〇号)

 令和〇年〇〇月〇〇日

 埼玉県狭山市中央〇丁目〇〇番〇〇号

 〇〇株式会社

 代表取締役  〇〇 〇〇

 

しかし、官報で決算公告を行っていない株式会社の場合、上記のように最終の貸借対照表の開示状況を掲載する形で、官報による減資公告をすることができません。株式会社は、決算書類を承認する定時株主総会終了後に、遅滞なく貸借対照表の公告を行うことが義務付けられています(会社法4403項)。ですが、上記決算公告を行っていない株式会社も少なくないのが現状です。

 

上記のように官報で決算公告を行っていない株式会社が資本金の額の減少をする際、官報による減資公告の他、決算公告もしなければなりません。官報による減資公告と決算公告を同時に行うことも可能です。この場合、減資公告の左側に決算公告が掲載されることになります。

 

公告の申込から掲載までの期間は、減資公告と決算公告も同時に申込をする場合のほうが、減資公告のみ申込をする場合より、長くなるのが通常です。申込対象が減資公告のみの場合、掲載日は申込日より1週間前後の日になります。これに対して、申込対象が減資公告と決算公告の場合、申込日から掲載日まで2週間以上かかるケースもあります。 

 

また、官報公告掲載費用は、公告文の行数や公告の枠数等を基準に算出されるため、減資公告と決算公告を同時に行うときのほうが、減資公告のみ行う場合よりも、その金額は高くなります。減資公告のみ掲載する場合の費用相場は75,000円前後であるのに対し、減資公告と決算公告を同時に掲載する場合、150,000円前後が費用相場になります。

 

【官報による減資公告(決算公告)掲載の手続きの流れ】

 

官報による減資公告(決算公告)掲載の手続きは、以下の手順で進めていきます。 

 

【官報公告の掲載申込】 

 

最寄りの官報販売所に減資公告(決算公告)の掲載申込を行います。官報公告の掲載申込は、郵送・FAX・メール等による他、「全国官報販売協同組合」のサイト上の入力フォームからも手続きが可能です。掲載申込を行う際、掲載申込書、減資公告の原稿文(決算公告を同時に行う場合は貸借対照表の原稿も)を作成後、当書類を対象の官報販売所宛に送ることになります。

 

官報公告の掲載申込は、減資を行う会社の代表者が手続きを行うのが原則ですが、当会社の担当者・司法書士等の士業が代理者となって手続きを行うことも可能です。当事務所が、資本金の額の減少登記を代理でお手続させていただく場合、減資の官報公告の掲載申込についても、代理者としてお手続させていただいております。 

 

【官報公告の校正原稿の内容確認】 

 

官報公告の掲載申込後、官報販売所側で送った原稿をもとに官報に掲載される形の校正原稿を作成し、それを公告掲載申込者宛に送ります。公告掲載申込者が官報販売所から送られてきた校正原稿を受領後、その内容を確認し、不備があった場合は官報販売所側で修正対応してもらいます。 

 

【校了・公告掲載申込手続き完了】 

 

官報販売所から送られてきた校正原稿の内容に問題がない場合は、申込者側から官報販売所宛に原稿校了(内容確認が完了して印刷しても問題ない状況になること)の旨を連絡します。官報販売所側で当連絡を受領すれば、公告掲載申込手続きが完了となります。

 

公告掲載申込手続き完了後、官報販売所より、手続き完了の旨と公告掲載日が伝えられるとともに、申込書類の控え、公告掲載料金の請求書等が送られてきます。減資を行う会社の代理者が公告掲載申込手続きを行う場合、料金の請求書の送り先を公告掲載する会社宛とすることも代理者宛にすることも可能です。

 

なお、公告掲載料金の支払いは、公告掲載日の前日までに行う必要があります。 

 

【官報への公告掲載】 

 

官報販売所より伝えられた公告掲載日に、官報へ公告掲載がなされます。官報への公告掲載後、官報販売所より当公告掲載がなされた官報の原本1部が送られてきます。資本金の額の減少登記を行う際、公告掲載がなされた官報の原本を申請先の法務局へ提出して手続きをすることになります。

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