相続人になる方が複数名いるケースで、そのうちの1名の単独名義とする相続登記をするには、遺言書が存在するなど一定の場合を除き、相続人全員による遺産分割協議を行った上で、手続きを進める必要があります。 

 

→ 相続登記の手続き方法についてはこちら 

 

被相続人の相続関係が比較的単純なケース(例:相続人が被相続人の配偶者と子である場合等)では、相続人間で相続に関する話し合いがまとまって、スムーズに相続登記の手続きが進む場合も多いです。これに対して、被相続人の相続関係が複雑なケースでは、相続人間で相続に関する話し合いがまとまるまで時間がかかり、相続登記の手続き完了まで長期間を要するケースも少なくありません。 

 

当事務所においても、相続関係が複雑なケースの相続登記のお手続きをさせていただいたことがいくつかありますが、その一つとして、相続人になる方が複数の家族間にわたる場合の事例を紹介させていただきます。(ご依頼者様の個人情報の関係上、実際の事例内容を一部変更させていただいております。)

 

【事例】

 

お亡くなりになられた被相続人の兄の方から、同人の単独名義とする相続登記のお手続きのご依頼を受けました。被相続人の相続関係は、以下のとおりでした。(以下より、当事例の当事者の方をABC等で標記させていただきます。)

 

  • 被相続人A(配偶者と子はいない)は、父Cと母Dの実子で、ご依頼者BCDの実子。
  • CDは、Aの生前に離婚して、Cは後妻であるEと再婚。CEの間には、FGH3名の実子が存在。
  • DCと離婚後、Aを引き連れてIと再婚。その後にIAを養子縁組。
  • IにとってもDとの結婚は再婚で、Iと先妻Jとの間には、実子Kが存在。
  • Aの両親CDおよび養親Iは、Aの生前に亡くなっている。

 

【相続関係および相続分の内容解説】 

 

被相続人Aには、配偶者はいません。また、相続順位が第1順位の直系卑属(子や孫等)もいないため、Aの相続権は第2順位である直系尊属(父母、祖父母等)へ移ります(民法8891項①)。

 

しかし、Aの両親CDおよび養親I等の直系尊属の方は、全員Aの生前に亡くなられているため、同人の相続において、第2順位に該当する方もいないことになります。そのため、Aの相続権は第3順位である兄弟姉妹へ移ることになります(民法8891項②)。そのため、本事例のAの法定相続人は、Aの兄弟姉妹全員ということになります。

 

兄弟姉妹とは、同じ親から生まれた子どものことを指します。ここで言う「同じ親」とは、両親だけではなく片親も含みます。今回の事例に当てはめてみると、Aの両親CDの子であるB、片親の父Cとその後妻Eの子であるFGH、養親Iと先妻Jの子であるKは、いずれもAと「同じ親」から生まれた子どもであるため、Aの兄弟姉妹にあたります。 

 

したがって、BFGHK5Aの法定相続人になります。

 

また、Aの相続における各法定相続人の法定相続分は、以下のとおりとなります。

 

相続人 相続分
B 6分の2
F 6分の1
G 6分の1
H 6分の1
K 6分の1

 

法律(民法)により、片親のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、両親を同じくする兄弟姉妹の2分の1とする旨が規定されています(民法9004項但書)。 

 

今回の事例では、BのみがAの両親を同じくする兄弟姉妹に該当し、FGHK4名は、Aの片親のみを同じくする兄弟姉妹になります。そのようなことから、BFGHKは、21111の割合で相続することになるため、Aの相続における法定相続分は、上記表のとおりとなるのです。

 

【当事務所でのお手続き】 

 

被相続人Aは生前に遺言書を残されていなかったため、同人名義の不動産をご依頼者Bの単独名義とするには、Aの相続人全員(BFGHK5名)で遺産分割協議を行った上で、相続登記の手続きをする必要があります。

 

ご依頼を受けた後、当事務所側で上記の旨をお伝えさせていただいたところ、ご依頼者B以外の4名の相続人のうち、FGH3名の方とは、定期的な交流があり、スムーズに話し合いができる状況であるとのことでした。一方、被相続人Aの養親であるIとその先妻Jとの間の子であるKとは、面識自体はあるものの、直近10年以上は疎遠状態であり、電話番号等の連絡先もわからないとのことでした。

 

幸い、ご依頼者Bは積極的に動いていただける方で、Kの自宅住所を把握されていたため、手紙でご連絡の上、ご事情をお伝えいただけるとのことでした。そのため、K側で当事情をご理解いただいた上、お手続きにご協力をいただける旨の了承を得られ次第、当事務所側で書類等のやり取りをさせていただく形でお手続きを進めさせていただくことになりました。

 

手紙でご連絡していただいた後、ご事情をご理解いただくのに少々お時間を要したようですが、Kから当手続きにご協力いただける旨の了承を得られたとのご連絡が依頼者Bからありました。ご連絡を受けた後、当事務所側でKに対して、相続登記のお手続きに必要となる書類(遺産分割協議書、印鑑証明書等)のご捺印やご準備についてのご案内をさせていただき、無事ご対応していただくことができました。

 

また、FGHについては、依頼者Bとの間で、Bの単独名義とする形で相続登記のお手続きを進めさせていただくことに同意されていたので、スムーズに書類のご捺印やご準備のご対応をしていただけました。

 

上記により、必要書類が揃った後、管轄の法務局へBの単独名義とする相続登記の申請をさせていただき、無事お手続きを完了させていただくことができました。

 

 

今回ご紹介した事例では、ご依頼者の方と疎遠状態にあった相続人の方にご協力いただけたため、相続関係が複雑なケースであるものの、ご依頼から4ヶ月程度で相続登記のお手続きをさせていただくことができました。

 

ただ、今回の事例とは異なり、疎遠状態にある相続人の方が複数名いたり、お手続きに非協力的であったりすると、ご依頼からお手続き完了までさらに時間を要したり、手続き完了自体が困難になったりする場合もございます。

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