会社設立時において、出資者である発起人は設立手続きの際に出資金の払込をする必要があります。会社設立時に出資金の払込を行う場合、払込時期、払込取扱機関となりうる金融機関、払込先口座の名義人の範囲などについて知っておかなければなりません。また、登記申請の際に提出する払込を証する書面の作成にもいくつかの注意点があります。

 

会社法制定後においては、発起設立の方法で会社設立登記の手続きをする場合、払込金保管証明書の提出が不要となりました。(募集設立の方法で行う場合は必要です。)

 

→ 発起設立と募集設立についてはこちら

 

払込金保管証明書の提出が不要である発起設立の方法を選択すれば、より迅速に会社設立の手続きを進められます。そのため、今日において株式会社を設立する場合、発起設立の方法で手続きを行うケースが大半です。

 

そこで、発起設立の方法で会社設立手続きを行う場合の出資金の払込時期、払込取扱機関となりうる金融機関、払込先口座の名義人の範囲、払込を証する書面とその作成などについて具体的にみていきます。

 

【ⅰ.出資金の払込時期】

 

株式会社の設立手続きのなかで、発起人は設立時発行株式の引受をした後、遅滞なく出資金の払込をしなければなりません。(会社法34条①)「設立時発行株式の引受」は、定款上または発起人全員の同意により行われます。そのようなことから、これまでは発起人による出資金の払込が可能となるのは、定款作成日または発起人全員の同意があった日以降という取扱がされていました。

 

しかし、令和4年6月13日法務省民商第286号の通知により、定款作成日または発起人全員の同意があった日より前に出資金の払込があった場合でも、発起人等の口座に払込がされているなど、当会社設立手続きに際して出資されたものと認められるものであれば差し支えない旨の見解が示されました。

 

そのため、上記のようなケースであれば、定款作成日または発起人全員の同意があった日より前に出資金の払込ができることになります。

 

【ⅱ.出資金の払込取扱機関と口座名義人】

 

出資金の払込は、発起人が定めた銀行などの払込取扱機関においてしなければなりません。(会社法34条②)

発起人が出資金の払込取扱機関として定められる「銀行など」とは、具体的にどの金融機関があたるのでしょうか。また、払込先の口座名義人の範囲はどのようになっているのかも気になるところです。

 

払込取扱機関となりうる金融機関および払込口座名義人の範囲の詳細は、以下のとおりです。

【払込取扱機関となりうる金融機関】

 

発起人が出資金の払込取扱機関として定められる主な金融機関は、銀行、信用金庫、労働金庫、信託銀行などです。また、実店舗が存在しないネット銀行を払込取扱機関に定めることもできます。

 

 

【払込口座名義人の範囲】

 

払込された出資金を受領する権限があるのは、設立中の会社を代表する者になります。そのため、出資金の払込をする口座の名義は、発起人代表とするのが原則です。

 

会社設立中に選任、選定された設立時取締役、設立代表取締役名義の口座に払込をすることも可能となっています。しかし、この場合、発起人が口座名義人となっている設立時取締役、設立時代表取締役に払込金の受領権限を委任した旨を証明できる委任状を登記申請の際に提出しなければなりません。

 

発起人および設立時取締役(設立時代表取締役も含む)以外の名義となっている口座は、一定の例外を除き、出資金の払込口座として認められません。

 

【ⅲ.設立登記の際に提出する払込を証する書面】

 

会社設立の登記を申請する際、設立手続きのなかで発起人より出資金の払込がなされていることを明らかにする必要があります。そのため、出資金の払込を証する書面を会社設立の登記申請の際に提出しなければなりません。

 

払込を証する書面は、以下の書類を合綴して作成します。

  • 設立時代表取締役が作成した払込金の額を証明する書面
  • 出資金払込口座の預金通帳のコピー

 

口座の預金通帳のコピーは、預金通帳の表紙の表裏(金融機関名 支店名 口座番号、口座の名義人がわかるもの)と出資金が入金されている旨およびその日付がわかるページのものが必要です。

 

出資金の払込取扱機関がネット銀行の場合、「金融機関名 支店名 口座番号、口座の名義人、出資金が入金されている旨およびその日付」が確認できる部分を印刷したものが出資金払込口座の預金通帳のコピーの代わりになります。

 

また、払込を証する書面を作成するにあたって、出資金払込口座の預金通帳の記載内容には注意が必要です。預金通帳上、「入金」、「振込」などによって実際にその預金口座へお金が払い込まれていなければなりません。出資金払込口座に元々に入金されていたお金をそのまま出資金とするのは不可です。

 

なお、払込を証する書面を作成する場合、以前は上記2つの書類を合綴したうえ、会社の代表印で捺印や割印をする必要がありました。しかし、商業・法人登記の書面等への押印規定の見直しに関する通達(令和3129日法務省民商第10号)が示され、会社の代表印での捺印や割印は不要となっています。

 

→ 商業・法人登記の書面等への押印規定の見直しについてはこちら

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