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人が亡くなって相続が発生した場合、相続人が被相続人の権利や義務を承継できる割合が法律上で定められていますが、これを法定相続分といいます。相続人全員で遺産分割を行う際、この割合を基準にして決めるケースも多いです。
ただ、法定相続分と異なる割合で遺産分割協議を行いたいと希望する相続人も存在します。そこで、法定相続分と異なる割合での遺産分割協議が可能なのかについてみていきます。
【ⅰ.法定相続分と異なる遺産分割協議は可能】
相続人全員で遺産分割協議を行う場合、必ず法定相続分のとおりに分割しなければならないわけではありません。法定相続分と異なる割合で遺産分割協議をすることも可能です。
民法では、「遺産分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。」と定められています。そのため、相続人間での話し合いがまとまれば、各相続人が取得する遺産の内容や割合を自由に決めることも可能なのです。「相続人のうちの1人が遺産をすべて取得し、他の相続人は遺産を取得しない」という内容の遺産分割協議を成立させることもできます。
相続登記をする際も、遺産分割協議を行って権利を取得する相続人を決めた後に手続きをするのが一般的です。法定相続分どおりに登記をするケースはそれほど多くありません。
【ⅱ.被相続人のマイナス財産は原則法定相続分の割合で承継する】
相続の対象となる財産は、プラスの財産だけではありません。借金などのマイナスの財産もその対象となります。そこで、被相続人のマイナスの財産を相続する場合、遺産分割協議によって特定の相続人へ承継させることができるのでしょうか。
借金などのマイナスの財産は、法定相続分の割合で各相続人へ承継されるのが原則です。相続人間だけで特定の相続人へ承継させることはできません。なぜなら、これを認めてしまうと、債権者が不利益を受けてしまう場合が出てくるからです。たとえば、資力の乏しい相続人がマイナスの財産を単独で承継するとなると、債権者は債権を回収できなくなる可能性があります。そのようなことから、債権者に不利益が生じないように、原則としてマイナスの財産は、法定相続分の割合で各相続人へ承継されることになっているのです。
ただ、債権者に不利益が生じなければ、遺産分割協議によってマイナスの財産を特定の相続人へ承継させても問題は生じません。そのため、債権者の同意があれば、このような形で処理することが可能です。
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