取締役、代表取締役が辞任した場合の登記手続き

役員と株式会社は委任の関係にあります。(会社法330条)そのため、取締役や代表取締役側が自らの意思で辞任することも可能です。

 

そして、取締役や代表取締役が辞任してその地位を退いた場合、その旨の登記手続きをしなければなりません。

 

 

 

【@.平取締役が辞任した場合の登記手続き】

 

 

取締役の辞任の効力は、その意思表示が会社側へ到達した日に生じます。そのため、平取締役が辞任した場合、その日から原則として2週間以内に退任登記の手続きをする必要があります。

 

しかし、取締役が辞任したことによって、法令または定款で定めた取締役の員数を欠くことになった場合、そのままの状態では辞任した取締役の退任登記はできません。なぜなら、辞任した取締役は権利義務取締役となるからです。

 

→ 権利義務取締役についてはこちら

 

上記のケースで辞任した取締役の退任登記をするには、後任の取締役を選任して、法令または定款で定めた取締役の員数を満たすようにしなければなりません。

 

 

 

【A.代表取締役である取締役が辞任した場合の登記手続き】

 

 

取締役と代表取締役を同時に辞任した場合、「辞任」を登記原因として取締役および代表取締役の退任登記をするのが原則です。

 

取締役のみを辞任した場合、原則として取締役の辞任による退任登記と代表取締役の資格喪失による退任登記を行います。なぜなら、取締役を辞任すれば、その地位を前提とする代表取締役の地位を失うからです。

 

→ 取締役、代表取締役の資格を喪失した場合の登記手続きについてはこちら

 

なお、取締役を(取締役と代表取締役を同時に)辞任したことによって、その者が権利義務取締役になった場合の結論は、平取締役のケースと基本的に同じです。

 

 

 

【B.代表取締役の地位のみを辞任する場合の登記手続き】

 

 

取締役としての地位は維持して、代表取締役の地位だけを辞任する場合、辞任による代表取締役の退任登記を行います。ただ、代表取締役に選定された方法によって、被選定者の辞任の仕方も変わってくるので注意が必要です。

 

取締役会を設置している会社において取締役会で選定された場合、被選定者が辞任を意思表示するだけで代表取締役の地位のみを辞任することができます。取締役会を設置していない会社で、定款の定めに基づき取締役の互選で選定された代表取締役も同様です。

 

これに対して、取締役会を設置していない会社において、定款に直接定められた場合および株主総会の決議で選定された場合、被選定者の辞任の意思表示だけでは退任できません。定款変更または株主総会の承認決議を経ることによってはじめて辞任できます。

 

また、各自代表(特定の代表取締役を選定しない場合)の場合は、代表取締役の地位のみを辞任することはできません

 

 

 

【C.辞任による退任登記の必要書類】

 

 

取締役、代表取締役の辞任による退任登記を申請する際に必要となる書類は、以下のとおりです。

 

 

【取締役の辞任の場合】

 

  • 辞任届

 

 

【代表取締役の辞任の場合】

 

  • 定款の定め、株主総会の決議で選定された場合は株主総会議事録
  • 定款の定めに基づく取締役の互選で選定された場合は定款および辞任届
  • 取締役会で選定された場合は辞任届

 

※  取締役の辞任にともなう代表取締役の資格喪失による退任登記を申請する場合、提出しなければならない書類はありません。

 

 

また、2015年の役員変更登記の改正で、法務局に印鑑を提出している代表取締役が辞任する場合、辞任届に届出印(会社の実印)を押印するか、個人の実印を押印して印鑑証明書を一緒に提出しなければならなくなりました。

 

→ 役員変更登記の改正についてはこちら

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