亡くなられた被相続人の方が、生前に資産運用をされていた方であった場合、投資信託を保有されているケースもあります。投資信託も株式と同様、財産権に当たります。そのため、被相続人の方が生前に保有されていた投資信託も相続財産となるため、相続手続きを行わなければなりません。

 

【ⅰ.投資信託とは】

 

投資信託とは、投資家の方から集めた資金をひとまとめにして、それを専門家が運用して収益を得る金融商品のことです。運用によって利益が出た場合、償還金や分配金という形で投資家の方に還元されます。
 

投資信託は、元本保証の金融商品ではないため、運用の成績次第で利益を得られることもあれば、元本割れして損失を被ることもあります。ただ、投資信託は、複数の資産を投資対象とするものもあるため、分散投資の実践が可能です。分散投資には、大幅な元本割れを防ぐ効果があるため、値動きが異なる国内外の株式や債券へ同時に投資すれば、リスクを抑えながらの運用ができます。
 

2014年(平成26年)1月より、NISA(少額投資非課税制度)が始まって以降、年々投資信託の運用をしやすい環境になっています。2024年(令和6年)1月からは新NISAがスタートし、年間投資枠・非課税保有限度額が拡大したり、非課税保有期間が無期限になったりするなど、さらに活用しやすくなりました。そのような環境の変化により、今後は投資信託を運用される方が増加し、それにともなって投資信託の相続手続きをしなければならない機会も多くなることが予想されます。

 

【ⅱ.投資信託の相続手続きの流れ】

 

投資信託の相続手続きは、一般的に以下の手順で行います。

 

【1.被相続人の方が亡くなられた旨の連絡】

投資信託の相続手続きをする場合、まず、被相続人の方が亡くなられた旨の連絡をしなければなりません。
 

投資信託を運用する際、投資信託を販売する販売会社、投資信託の運用方針を決めて指示する運用会社、投資家の方から集めたお金を管理する受託会社の3つの会社がかかわりますが、投資信託の相続手続き先は販売会社です。そのため、被相続人の方が亡くなられた旨の連絡も銀行や証券会社などの販売会社に対して行います。
 

もし、販売会社がよくわからない場合は、「取引残高報告書」を確認しましょう。投資信託を保有していると、販売会社から「取引残高報告書」という書類が送られてきます。この書類の内容を確認すれば、販売会社である金融機関を把握することが可能です。
 

被相続人の方が亡くなられた旨の連絡を行うと、販売会社側から相続手続きに必要な書類のご案内が届くので、それにしたがって手続きを進めていくことになります。

 

【2.必要書類の収集と投資信託の相続手続き方法】

投資信託の相続手続きをするには、被相続人の方と相続人の方の相続関係を証明する戸籍一式、相続人全員の印鑑証明書が原則必要になります。そのため、相続手続きをする前に、これらの書類を収集しなければなりません。なお、法定相続情報一覧図の写しを、被相続人と相続人の相続関係を証明する戸籍一式の代わりに提出することも可能です。

→ 法定相続情報証明制度についてはこちら
 

また、被相続人が遺言で投資信託を相続する相続人を定めているときを除き、原則相続人の方全員で投資信託の相続手続きを行わなければなりません。2014年(平成26年)2月25日に最高裁で「委託者指図型投資信託を複数の相続人が共同相続した場合、相続開始と同時に各相続人へ当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象になる」という判断が下されました。そのため、相続人の方全員で手続きを行わなければ、販売会社側も応じないと考えられるからです。

 

【3.投資信託の相続手続き書類の提出】

必要書類の収集が済みましたら、相続手続き依頼書と必要書類を一緒に販売会社へ提出します。販売会社側は提出された書類を確認し、問題がなければ被相続人の方が保有されていた投資信託の相続手続きを進めます。
 

また、投資信託の相続手続きは、被相続人の方の口座から相続人の方口座へ移管する方法で行います。そのため、被相続人の方名義の投資信託を相続する相続人の方が、販売会社の口座を保有していない場合、事前に相続人の方名義の口座を開設しなければなりません。

 

【4.相続人口座への移管手続き】

相続人の方名義の口座への移管手続きは、完了まで一定の時間を要します。(証券会社によっては、提出書類の受付日より2ヶ月程度かかるケースもありました。)移管手続きが完了すると、販売会社から相続手続き完了通知が発送されます。相続手続きの完了後は、相続人の方名義の口座内で、投資信託の取引をしたり、解約したりすることが可能になります。

 

【ⅲ.投資信託を相続する際の注意点】

 

投資信託には、設定された一定期間しか購入できない単位型のものと、いつでも購入できる追加型のものがあります。単位型の投資信託の中には、一定期間解約が制限されるものも存在します。相続対象となる投資信託がこのタイプのものである場合、解約する際、遺産分割のときに想定した価格よりも、大幅に下がってしまう可能性もあるので注意が必要です。
 

投資信託を相続する場合は、税務上の問題にも気を配らなければなりません。相続した投資信託を解約して現金化したときの価格が、被相続人の取得した価格よりも上回っていた場合、譲渡益が発生するので、所得税や住民税等の税金が発生します。
 

また、相続人のうちの1人の方が投資信託を相続して解約した場合、その現金の一部を他の相続人の方へ渡すと原則贈与とみなされてしまいます。そのため、遺産分割協議書に代償分割する旨を明記しておくなど贈与税が発生しないようにしておかなければなりません。
 

投資信託の相続手続きをする場合、事前に税務署や税理士の先生へ確認して、税務上の問題を解決しておくことが大事です。

 

【ⅳ.司法書士も投資信託の相続手続きができます】

 

投資信託の相続手続きは、預貯金の相続手続きと似ている部分が多いです。しかし、手続きを進めていくなかで、「口数」や「基準価額」など投資信託特有の文言が出てきます。そのため、投資信託に関する知識があまりない方がご自身でお手続きをされる場合、少し戸惑われることがあるかもしれません。被相続人の方が数千万円単位の投資信託を保有されていた場合、相続税の申告が必要となるケースもあります。
 

司法書士は遺産承継業務により、ご本人の代わりに投資信託の相続手続きを代行することが可能です。当事務所においても、投資信託の相続手続きを取り扱っております。

→ 遺産承継業務についてはこちら

 

また、相続税の申告が必要となる場合は、提携させていただいている経験豊富な税理士の先生をご紹介させていただくことも可能です。

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