2018年相続法改正により、遺言制度に関する見直しが行われています。

 

【ⅰ.自筆証書遺言の方式緩和】

 

自筆証書遺言書を作成する際、遺言書と一体のものとして相続財産の全部または一部の目録を添付するとします。このような場合、その財産目録自書以外の方法でも作成等が可能となりました。
 

自筆証書遺言書は、遺言者が全文、日付、氏名を自書したうえ、これに捺印して作成しなければならないのが原則です。しかし、遺言の対象となる相続財産が多数ある場合、それを全部自書で作成するのは大きな負担になります。そのため、自筆証書による遺言書の作成方法は、特に高齢者の方にとって利用しづらい状況にありました。
 

このような点をふまえて、自筆証書遺言書の作成方式が緩和され、遺言書に添付する財産目録は、自書以外の方法で作成等ができるようになったのです。
 

→ 自筆証書遺言書とその具体的な作成方法についてはこちら

 

【ⅱ.遺言執行者の権限の明確化】

 

相続法改正により、遺言執行者の権限が明確化され、その権限に基づいて行った効果についても規定されています。

 

【遺言執行者の権限およびその行為の効果】

 

遺言執行者は、遺言の内容を実現するために相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します(民1012条①)。そして、この権限内において、遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接その効力が生じる旨が規定されました。(民1015条)

遺言の内容の実現が遺言執行者の職務であると規定されたことから、その遺言の執行の内容が相続人の利益とならないものであってもかまいません。そのため、相続人にとって利益とはならない内容の遺言であっても、遺言執行者としては、遺言者の意思を実現するために職務を行えばよいということになります。

また、遺贈を内容とする遺言で遺言執行者の定めがある場合、その執行の職務を行うことができるのは、遺言執行者のみです。したがって、遺贈の受遺者がその履行を請求する場合、遺言執行者の定めがある場合は遺言執行者を相手にすることになります。一方、遺言執行者の定めがないときの履行請求の相手方は、遺言者の相続人全員です。

 

【遺言執行者の通知義務】

 

遺言執行者として指定された者が就任承諾をしてその任務を開始した場合、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない旨が規定されています(民1007条②)。
 

遺言執行者の通知義務が規定された理由は、相続人の利益を保護するためです。遺言者が亡くなった後、遺言執行者が指定されていないときは、相続人全員で遺言の執行業務をしなければなりません。したがって、遺言の内容および遺言執行者の存在の有無は、相続人にとっての重要事項であるといえます。
 

そのようなことから、相続人が遺言の内容および遺言執行者の存在の有無を把握できるように遺言執行者の通知義務が規定されたのです。
 

なお、条文上では、「相続人」に対して遺言執行者は遺言の内容を通知しなければならないとされています。そのため、遺贈によって権利を承継する相続人以外の人に対しては通知しなくてよいのが原則です。ただ、包括遺贈によって権利を承継した包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有します。そのため、包括受遺者に対しては遺言の内容を通知する必要があると考えられます。

 

【相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言)についての遺言執行者の権限】
 

相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言)があって、遺言執行者が存在する場合、遺言執行者は対抗要件を備える(共同相続人の権利取得を他の人に主張できるようにする)ために必要な行為をすることができる旨が規定されました(民1014条②)。
 

→ 相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言)についてはこちら
 

今回の相続法改正により、相続人が相続で権利を承継する際、法定相続分を超える部分については、登記などの対抗要件を備えなければ、他の人にその権利を主張できなくなりました(民899条の2①)。
 

→ 相続の効力などに関する見直し(2018年相続法改正)についてはこちら
 

そのため、遺言執行者が相続人へ権利を承継させる手続きをする際、対抗要件を備えさせる手続きも行えるようにする必要があります。
 

しかし、相続法改正前の規定では、遺言執行者が相続人へ権利を承継させる手続きをする際、対抗要件を備えさせる手続きも行えるか否かが明らかではありませんでした。
 

そのようなことから、対抗要件を備えさせる手続きも行える旨を規定して、相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言)についての遺言執行者の権限を明確にしたのです。
 

また、相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言)の対象財産が預貯金である場合、遺言執行者は対抗要件を備えさせるために必要な行為だけではなく、預貯金の払戻しや解約の手続きができる旨も規定されています。(民1014条③本文)

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