〒350-1308 埼玉県狭山市中央三丁目6番G-206号
相続発生後、相続登記の手続きを長期間怠ってしまうと、数次相続の発生により、相続関係が数世代間にわたってしまい、相続人の数もその分増えてしまうのが通常です。
上記のような状況になると、相続人同士がお互い疎遠状態であることも多くなり、相続人全員で話し合いをした上で、遺産分割協議に基づく相続登記の手続きを進めることが困難となってしまうケースも少なくありません。 一方、相続関係が数世代間にわたる場合でも、相続人全員の合意や手続きへの協力が期待できる状況であれば、相続登記の手続きができることもあります。
当事務所に相続関係が数世代間にわたる場合の相続登記のご依頼が来るケースもございますが、その中でお手続きをさせていただくことができた事例を紹介させていただきます。(ご依頼者様の個人情報の関係上、実際の事例内容を一部変更させていただいております。)
【事例】
お亡くなりになられた被相続人の子の配偶者の方から、同人の単独名義とする相続登記のお手続きのご依頼を受けました。ご依頼者の方の配偶者とその両親及び兄弟姉妹の方はすでに全員お亡くなりになられており、相続関係が3世代にわたっているため、お手続きが可能な状況にある今のうちに相続登記をしてしまいたいとのことでした。
被相続人の相続関係は、以下のとおりでした。(以下より、当事例の当事者の方をA・B・C等で標記させていただきます。)
|
【相続関係の内容解説】
数次相続が発生している相続において、被相続人の最終的な相続人を確定するには、被相続人の他、中間相続人の相続関係を調査する必要があります。当事例において、Aの最終的な相続人を確定するには、Aの他、B・C・D・Eの相続人を調査することになります。
【Aの相続について】
被相続人Aが死亡した昭和45年当時、同人の配偶者BおよびC・D・Eの3名の子は生存しています。そのため、B・C・D・Eの4名がAの相続人となり、同人を相続することになります(民法887条1項、890条)。
【Bの相続について】
Bが死亡した昭和50年当時、同人の子であるC・D・Eの3名の子は生存しています。そのため、C・D・Eの3名がBの相続人となり、BのAを相続する権利もC・D・Eが相続することになります(民法887条1項)。
【Eの相続について】
昭和60年にAとBの相続人の1人であるEが死亡しました。Eには、配偶者であるGと同人の子であるL・M・Nの3名の子がいるため、これらの方が相続人となります。そのため、EのAを相続する権利(Bの相続発生時にEが相続したBのAを相続する権利を含む)もG・L・M・Nの4名が相続することになります(民法887条1項、890条)。
【Dの相続について】
平成20年にAとBの相続人の1人であるDが死亡しました。Dには、配偶者・子を含む直系卑属はいない上、両親を含む直系尊属は全員死亡しているため、相続権は同人の兄弟姉妹へ移ることになります(民法887条、889条1項)。Dの兄弟姉妹のうち、CはDの死亡時はまだ存命であったため、Dの相続人になります(民法889条1項②)。一方、EはDより先に死亡しているため、Eの子であるL・M・Nが代襲相続人となります(民法889条2項)。したがって、C・L・M・NがDの相続人(代襲相続人)となり、DのAを相続する権利(Bの相続発生時にDが相続したBのAを相続する権利を含む)を相続することになります。
【Cの相続について】
平成25年にAとBの相続人の1人であるCが死亡しました。Cには、配偶者Fと1人の子Hがいましたが、2人ともCより先に死亡しています。そのため、Hの子であるI・J・KがCの代襲相続人となり、CのAを相続する権利(Bの相続発生時にCが相続したBのAを相続する権利を含む)の他、Cが相続したDのAを相続する権利(Bの相続発生時にDが相続したBのAを相続する権利を含む)を相続することになります(民法887条2項)。
以上により、G・I・J・K・L・M・Nの7名が、Aの最終的な相続人ということになります。
【当事務所でのお手続き】
お手続きのご依頼を受ける前の面談時において、ご依頼者G側より、同人の単独名義とする相続登記をされたい旨をお伝えいただきました。また、ご依頼者G側で、当お手続きの相続関係当事者についてある程度把握されていたので、その内容をお聞きさせていただきました。
ご依頼者Gからお聞きさせていただいた当手続きの相続関係当事者の内容から、上記事例のとおり、G・I・J・K・L・M・Nの7名がAの最終的な相続人になる旨をお伝えさせていただきました。その上で、ご依頼者Gの単独名義とする相続登記をさせていただくには、遺言書がある等の一部例外を除き、上記7名の相続人全員で遺産分割協議をしていただく必要がある旨もご説明させていただきました。
相続人7名のうち、I・J・Kはご依頼者Gの配偶者Eの兄弟姉妹の孫にあたる方でしたので、ご連絡が可能な状況にあるのかご確認させていただいたところ、幸いにも、Iとは連絡可能であり、Iを通じてJ・Kとも連絡を取ることができる状況にありました。そして、すでにIからJ・Kに当手続きについてお伝えいただき、I・J・Kの3名からもお手続きにご協力いただくことが可能とのことでした。
ご依頼者Gから上記事情をお聞きした後、相続登記のお手続きは可能な状況である旨をお伝えし、正式にお手続きのご依頼を受けました。最初に戸籍を取得させていただき、Aの最終的な相続人を正式に確定させていただいた上、7名の相続人全員に遺産分割協議書へのご署名・ご捺印をいただく手順でお手続きを進めさせていただくことにしました。
収集した戸籍の内容を確認させていただいたところ、ご依頼者Gからお話いただいたとおり、Aの最終的な相続人は、G・I・J・K・L・M・Nの7名でした。そこで、当事務所側で遺産分割協議書を作成させていただき、上記7名の相続人に当書類へのご署名・ご捺印をしていただくことになりました。
まず、Iへ遺産分割協議書を送付させていただき、I・J・Kにご署名・ご捺印のご対応をしていただきました。I・J・Kの間をIにしっかり取りまとめていただいたため、上記3名の遺産分割協議書へのご署名・ご捺印のご対応もスムーズに進みました。その後、ご依頼者のGに遺産分割協議書を送付させていただき、G・L・M・Nに当書類へのご署名・ご捺印のご対応をしていただくことができました。
遺産分割協議書へのご署名・ご捺印のご対応が済み、戸籍・相続人全員から準備いただいた印鑑証明書等の相続登記の必要書類が全部揃った後、管轄の法務局宛にご依頼者Gの単独名義とする相続登記の申請をさせていただき、無事お手続きを完了させていただくことができました。
【総評】
今回紹介した事例は、相続関係が数世代間にわたってはいたものの、相続人全員との連絡が可能な状況であり、中間相続人や最終相続人の数が比較的少なかったため、ご依頼から3ヶ月程度で相続登記のお手続きをさせていただくことができました。
しかし、今回の事例の相続関係当事者以上に中間の相続人や最終的な相続人の数が多い場合、ご依頼からお手続きが完了するまでの期間が年単位に及んでいたかもしれません。さらに、相続人の中で、お手続きに非協力的な方や連絡を取ることができない方がいらっしゃった場合、相続人全員の合意を得ることやお手続き完了自体が困難になってしまう可能性もありました。
また、土地の利活用が阻害される等の社会的問題を引き起こしている所有者不明土地の発生を予防するために、法改正で2024年(令和6年)4月1日より、相続登記の申請が義務化されることになっています。
そのようなことから、相続登記は、手続き可能な状況のうちに済ませておくことが大切です。
担当:佐伯(さえき)
受付時間:9:00~18:30
定休日:土日祝祭日
遺産相続相談、遺言・相続手続き、遺言書作成のご相談、相続、売買、贈与、抹消などの不動産登記手続き、会社設立、役員変更などの会社の登記手続きは、実績のある埼玉・狭山の佐伯司法書士事務所にお任せください。
親切・丁寧な対応をモットーとしております。お気軽にご相談ください。
対応エリア | 狭山市、日高市、入間市、鶴ヶ島市、所沢市、川越市、飯能市、坂戸市、その他埼玉県、東京都など関東地方全域 |
---|
一般の相続関連業務
家庭裁判所で行う相続関連業務
不動産登記関連業務
会社・法人登記関連業務
業務に関するQ&A等
改正情報
お役立ち情報
相続に関する知識
遺言に関する知識
お客さまの声
事務所紹介
狭山市、日高市、入間市、鶴ヶ島市、所沢市、川越市、飯能市、坂戸市、その他埼玉県、東京都など関東地方全域