NPO法人の「事務所の所在場所」は、登記事項とされています。NPO法人の主たる事務所を移転すると、登記事項である事務所の所在場所も変更となるため、その旨の登記手続きをしなければなりません。 

 

主たる事務所を移転する場合、定款変更の手続きをしたり、所轄庁の認証を受けたりしなければならない場合があります。また、主たる事務所の移転先によって、登記手続き方法が異なります。

 

【主たる事務所を移転する場合の定款変更の要否】 

 

NPO法人の主たる事務所の所在地は、定款の必要的記載事項とされています(NPO111項④)。また、主たる事務所の所在地を定款で定める場合、会社の定款と同様、最小行政区画である市区町村(例:埼玉県狭山市)まで記載すれば足りるとされています。

 

→ 会社の本店所在地の定款への記載方法についてはこちら

 

そのため、主たる事務所の所在地をどのような形で定款に記載しているかによって、主たる事務所を移転する際、定款変更を要するか否かの結論が異なります

 

たとえば、主たる事務所の所在地が「埼玉県狭山市中央三丁目6G206号」、定款に、「この法人は、主たる事務所を埼玉県狭山市に置く。」と定めているNPO法人があったとします。

 

上記NPO法人が主たる事務所の所在地を「埼玉県狭山市中央一丁目〇番〇号」に移転する際、定款変更の手続きは必要ありません。なぜなら、移転後の主たる事務所の所在地も埼玉県狭山市であるため、定款で定めた主たる事務所の所在地の内容に変更が生じないからです。この場合、理事会の決議で移転先の所在地や移転する年月日を決定した上で、主たる事務所の移転の手続きをします。

 

一方、定款に「この法人は、主たる事務所を埼玉県狭山市中央三丁目6G206号」と定めていた場合は、定款変更が必要となります。「埼玉県狭山市中央一丁目〇番〇号」へ主たる事務所の所在地が移転することで、定款で定めた主たる事務所の所在地の内容にも変更が生じるからです。

 

主たる事務所の移転の際に定款変更を要する場合、定款変更に係る社員総会の議決を経た後、理事会の議決で移転先の所在地や移転する年月日を決定する形で手続きを行います。 

 

【主たる事務所の所在地の移転と定款変更の要否との関係】

主たる事務所の所在地の定款の規定内容 主たる事務所の移転前の所在地 主たる事務所の移転後の所在地 定款変更の要否
主たる事務所の所在地を「埼玉県狭山市」と定めた場合 埼玉県狭山市中央三丁目6番G-206号 埼玉県狭山市中央一丁目〇番〇号 不要
埼玉県狭山市外 必要
主たる事務所の所在地を「埼玉県狭山市中央三丁目6番G-206号」と定めた場合 埼玉県狭山市中央一丁目〇番〇号 必要
埼玉県狭山市外 必要

 

【所轄庁の変更をともなう場合は所轄庁の認証を受ける必要がある】 

 

主たる事務所の移転を内容とする定款変更を行う際に所轄庁の変更をともなう場合、所轄庁の認証を受けなければ、当定款変更の効力は生じないとされています(NPO253項)。

 

NPO法人の所轄庁は、当法人の主たる事務所の所在地を基準として決まります。

 

→ NPO法人の所轄庁についてはこちら

 

そのため、主たる事務所の移転によってその所在地が変更になると、所轄庁の変更が生じるケースもあります。もし、定款変更を要する主たる事務所の移転をする際に、所轄庁の変更が生じた場合、変更前の所轄庁(移転前の所在地の所轄庁)を経由して、変更後の所轄庁(移転先の所在地の所轄庁)から認証を受けなければなりませんNPO261項)。 

 

たとえば、NPO法人の主たる事務所の所在地を「埼玉県狭山市」から「東京都」に移転する場合、定款変更を要する上に所轄庁の変更もともないます。そのため、上記内容の主たる事務所移転をする場合、定款変更に係る社員総会の議決を経た後、埼玉県知事を経由して東京都知事から当定款変更の認証を受ける必要があります。

 

【移転先が主たる事務所の管轄法務局区域内外によって登記手続き方法が異なる】 

 

主たる事務所の移転登記は、会社の本店移転の登記と同様、主たる事務所の移転先の所在地が、移転前の所在地の管轄法務局区域内にあるか否かで、その手続き方法が異なります。

 

→ 会社の本店移転登記についてはこちら

 

主たる事務所の管轄法務局区域内の所在地に移転する場合、移転前の所在地の管轄法務局に主たる事務所移転の登記申請書類を提出して、登記手続きを行います。

 

一方、主たる事務所の管轄法務局区域外の所在地に移転する場合、移転前の所在地の管轄法務局宛と移転後の所在地の管轄法務局宛の主たる事務所移転の登記申請書類を、移転前の所在地の管轄法務局へ同時に提出する方法で登記手続きをします。

 

主たる事務所の移転で、所轄庁の変更をともなわない場合、理事会の決議や社員総会の議決(定款変更を要する場合)を経れば、登記手続きを行うことが可能です。

 

これに対して、所轄庁の変更をともなう場合は、理事会の決議や定款変更に係る社員総会の議決を経た後、移転先所在地の所轄庁からの認証を受けて、はじめて登記手続きができるようになります。 

 

主たる事務所移転を内容とする定款変更の認証を受けるには、所轄庁に認証申請書類を提出後、数ヶ月程度の期間を要します。そのため、所轄庁の変更をともなう主たる事務所移転の登記は、手続き開始から完了まで、数ヶ月程度かかるのが通常です。

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