農地の相続登記の手続きのご依頼を受ける際、その対象不動産に農工銀行名義の抵当権が設定されているケースが散見されます。通常の抵当権抹消登記であれば、手続きをする際、それほど困難が生じることは基本的にありません。

 

→ 抵当権抹消登記の手続きについてはこちら

 

ですが、農工銀行の抵当権は、明治、大正、昭和初期くらいの年月日で設定されています。そのため、どのように抹消登記の手続きを行えばよいのかよくわからないという方も多いです。

 

農工銀行名義の抵当権が設定されている農地を相続した後に売却しようとする場合、農工銀行の抵当権設定登記の抹消登記の手続きをしなければならないのが原則です。そのため、今のうちに抹消登記の手続きをしておいたほうが好ましいといえます。

 

そこで、農工銀行名義で設定されている抵当権の抹消登記の手続き方法についてみていきます。

 

【ⅰ.農工銀行について】

 

農工銀行とは、農工業の改良発達のための貸付を目的とした特殊銀行で、1900年8月以降、北海道を除く全府県に各1行ずつ設立されました。

 

しかし、1921年に日本勧業銀行と農工銀行の合併に関する法律が制定されて、その後、全国各地の農工銀行はすべて日本勧業銀行に合併されました。

 

農工銀行は、以下のような経緯をたどり、現在ではみずほ銀行がその権利義務を承継しています。

ⅰ 1921年から1944年の間にかけて各都府県の農工銀行が日本勧業銀行に合併される
ⅱ 1971年に日本勧業銀行が第一勧業銀行に銀行名を変更
ⅲ 2002年の銀行再編の際、第一勧業銀行がみずほ銀行に銀行名を変更
ⅳ 2013年にみずほ銀行はみずほコーポレート銀行に合併される
ⅴ ⅳの合併と同時にみずほコーポレート銀行はみずほ銀行へ銀行名を変更

 

【ⅱ.農工銀行名義の抵当権抹消登記手続き】

 

ⅰのとおり、農工銀行の当時の権利義務は、みずほ銀行へ承継されています。そのため、農工銀行名義の抵当権の抹消登記手続きも、みずほ銀行へ連絡して手続きを進めていくことになります。

 

具体的な手続きの流れは、以下のとおりです。

 

【1.農工銀行抹消登記書類の発行請求】

 

みずほ銀行へ連絡をした後、農工銀行名義の抵当権が設定されている土地の登記情報を提供したうえで、抹消登記書類の発行を請求します。

 

請求を受けたみずほ銀行側は、提供した登記情報などを確認したうえで、抹消登記書類発行手続きのための書類(抵当権抹消依頼書 借用書)を出してくれます。

 

上記2つの書類に必要事項を記載したうえで、みずほ銀行へ提出します。

 

【2.農工銀行抹消登記書類の発行および受領】

 

抵当権抹消依頼書と借用書を提出後、みずほ銀行側は書類の発行手続きを進めてくれます。農工銀行からみずほ銀行への権利承継を証明する書類を準備することになるので、書類発行まで1週間から2週間程度かかるのが通常です。

 

書類が整ったら、みずほ銀行側からその旨の連絡があります。その後、みずほ銀行の店舗まで出向いて、書類を受領する形になります。

 

【3.農工銀行の抵当権抹消登記手続き】

 

みずほ銀行より、農工銀行の抵当権抹消登記書類を発行してもらった後、登記手続きを行います。農工銀行からみずほ銀行へ権利承継される過程で2回合併しています。そのため、抹消登記の原因日付によっては、合併移転の登記をしてから、農工銀行の抵当権抹消登記の手続きをしなければなりません。

 

しかし、みずほ銀行側で合併移転の登記が不要となる日付を登記原因日付して、抵当権抹消登記の手続きをすることを認めてくれます。そのため、1件の申請で抵当権抹消登記の手続きをすることが可能です。

 

ただ、農工銀行の抵当権が設定されたときに発行された登記済証は、再発行してもらえません。そのため、登記済証を提出できないときの代替の方法で手続きをすることになります。

 

→ 登記済証をなくしたときの登記手続き方法についてはこちら

 

農工銀行の抵当権抹消登記の場合、事前通知制度を利用して申請手続きを行います。

 

→ 事前通知制度についてはこちら

 

事前通知制度を利用して登記手続きを行う場合、手続き完了までの時間が長くなるのが通常です。特にみずほ銀行の本店所在地(東京都)から遠方の場所にある法務局へ登記手続きをする際には、申請から完了まで2週間程度かかってしまうケースもあります。

 

【ⅲ.当事務所での農工銀行の抵当権抹消登記手続き】

 

当事務所においても、農工銀行の抵当権抹消登記の手続きを受託させていただいております。当事務所の所在地(埼玉県狭山市)近辺の方だけではなく、遠方からのご依頼も承っております。

 

当事務所へ農工銀行の抵当権抹消登記のご依頼をいただいた際、以下の費用でお手続きをさせていただきます。

司法書士報酬  55,000円(税込)
実費(登録免許税、書類発行手数料など) 10,000〜15,000円程度
交通費 数千円〜

 

受託させていただいている事案にもよりますが、総額費用は70,000円前後になるのが通常です。

ただ、遠方所在地の土地の抹消登記手続きの場合、交通費の金額が数万円単位になる場合もございます。(具体的内容は下記をご参照お願い致します。) このような場合、お手続き費用の額が上記よりも高くなります。

 

また、当事務所で農工銀行の抹消登記の手続きをさせていただく際、以下の点をご了承いただけますようよろしくお願い致します。

【1.抹消登記書類発行の際に手数料がかかります】

 

みずほ銀行から農工銀行の抵当権抹消登記に必要な書類を発行してもらう際、手数料(5,000円+消費税)がかかります。当該発行手数料は、ご依頼者の方のご負担となっております。

 

 

【2.通常の抵当権抹消登記手続きよりも完了まで時間がかかります】

 

農工銀行の抵当権抹消登記の手続きをさせていただくには、みずほ銀行より必要書類を発行してもらう必要があります。同手続きの取扱い数はそれほど多いというわけではございません。そのため、みずほ銀行の担当者の方によっては、不慣れが原因で書類の準備に時間がかかってしまうケースもございます。

 

また、通常、事前通知制度を利用して登記手続きをさせていただくので、その点でも時間がかかってしまいます。

 

ご依頼内容によっては、お手続きから完了まで1カ月以上かかってしまう可能性もございます。そのようなことから、お手続きを急ぎたいという方は、なるべく早めにご依頼いただいたほうが確実です。

 

 

【3.書類再発行先の支店までの往復分の交通費が発生します】

 

農工銀行の抵当権抹消登記書類の再発行請求は、お手続き対象の土地の所在地を管轄する支店に対して行うのが原則です。

 

そのため、お手続き対象となる土地の所在地にあるみずほ銀行の支店まで出張させていただき、農工銀行の抵当権抹消登記書類を受領させていただく必要がございますので、上記の基本手数料の他、現地までの往復分の交通費が別途発生いたします。

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