不動産登記の手続きをする際に生じる利益相反の問題は、親と未成年の子との関係だけではありません。
 

→ 利益相反行為(親と未成年の子のケース)についてはこちら
 

会社と取締役が取引の当事者となったり、関与したりする場合も、利益相反の問題が生じます。

 

そこで、どのような場合に会社と取締役が利益相反の状態となるのか、また、会社と取締役が利益相反となった場合、不動産登記の手続きにどのような影響を与えるのか見ていきます。

 

【ⅰ.会社と取締役間の利益相反とは】

 

法律上、会社は「法人」として取引の主体となる資格があります。ただ、会社が実際に取引をするか否かを決めるのは、その業務執行機関となる取締役などです。また、その一方で取締役自身も「個人」として取引の主体になれます。そのため、会社とその取締役が同じ法律上の取引の当事者となったり、関与したりする場合、利益相反となるケースがでてくるのです。

 

会社法という法律で、取締役は、株式会社のために職務を忠実に行わなければならないと定められています(会社法355条)。そのため、法律上の取引をする際も、取締役は自身が役員になっている会社に不利益を及ぼすような行為をしてはいけないということになります。したがって、取引において会社と取締役間で利益が相反する場合、一定の制限がされているのです。具体的には、法律上の取引で会社と取締役間で利益が相反する場合、原則として株主総会または取締役会の承認決議を得なければなりません(会社法356条1項②③ 365条1項)。

 

【ⅱ.会社と取締役の利益相反行為の具体例】

 

会社と取締役の利益相反行為には、直接取引と間接取引があります。

 

直接取引とは、取締役が自己または第三者のために会社(株式会社)と取引しようとするケースのことです(会社法356条1項②)。取締役自身が会社の相手当事者となって取引するときだけではなく、他の会社の代表者となって、自身が取締役をしている会社と取引する場合も含みます。

 

直接取引の具体例としてどのような場合があげられるでしょうか。まずは、会社と取締役間で売買などの有償契約をするときです。会社が取締役へ特定のものを贈与する場合も直接取引の利益相反行為にあたります。その他、会社が取締役に貸付をしたり、会社が取締役の債務を免除したりしたときなどです。

また、同じ人が代表取締役であるA社とB社の間で取引をする場合も直接取引による利益相反行為になります。なぜなら、ある会社(A社)の取締役(代表取締役)をしている人が、他の会社(B社)の代表者(代表取締役)となって、ある会社(A社)と取引をしているからです。この場合、原則A社とB社の双方で株主総会または取締役会の承認を得る必要があります。

 

一方、間接取引とは、会社(株式会社)が、その会社(株式会社)の取締役以外の人と取引をする際、その会社(株式会社)の取締役と利益が相反する場合のことです。(会社法356条1項③)。代表的な例として、取締役の債務を担保するために会社の不動産に抵当権などの担保権を設定する行為があげられます。また、担保設定者となる会社の取締役が、債務者となる会社の代表者であるときも、間接取引による利益相反の関係が生じます。

 

【ⅲ.会社と取締役の利益相反行為と登記手続き】

 

会社と取締役の利益相反の問題が絡んでくる場合、不動産登記の手続きにはどのような影響がでてくるのでしょうか。

 

会社と取締役間で利益相反の生じる取引をする場合、原則として株主総会または取締役会の承認を得なければなりません。そのため、不動産登記の手続きを行う際にも、それを証明する書類を提出することが求められます。具体的には、利益相反行為を承認した株主総会または取締役会の議事録を提出します。

 

また、承認議事録が株主総会議事録の場合は作成者、取締役会議事録の場合は出席した取締役及び監査役がそれぞれ実印で承認議事録に押印しなければなりません。そのため、会社と取締役が利益相反となる不動産登記手続きをする際、押印者の印鑑証明書の提出も必要です。代表取締役が押印者である場合は会社の印鑑証明書、平取締役や監査役が押印者である場合は個人の印鑑証明書を提出します。

 

その他、承認議事録の押印者の資格証明に関する書面や情報を提供する必要があります。しかし、こちらは会社法人等番号の提供によって代えることが可能です。
 

→ 会社法人等番号による資格証明書などの代替についてはこちら

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